イトーキは23年12月期1Q大幅増益、通期も大幅増益予想、さらに上振れ余地

(決算速報)
イトーキ<7972>(東証プライム)は、5月12日の取引時間終了後に23年12月期第1四半期連結業績を発表した。オフィス移転・リニューアル案件など需要が高水準に推移して増収、販売価格適正化や構造改革プロジェクト推進による売上総利益率改善も寄与して想定を上回る大幅増益だった。そして通期大幅増益予想を据え置いた。なお通常は第1四半期の構成比が高い季節特性だが、今期はワークプレイス事業のオフィス移転案件が期中に分散し、設備機器・パブリック事業では物流設備案件が下期に偏重するため、通常と異なる四半期構成になる見込みとしている。第1四半期の利益が想定を上回ったことも勘案すれば、通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は順調に水準を切り上げて年初来高値更新の展開だ。好業績や低PBRを評価して上値を試す展開を期待したい。

■23年12月期1Q大幅増益、通期も大幅増益予想、さらに上振れ余地

23年12月期第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比4.6%増の369億65百万円、営業利益が20.5%増の47億77百万円、経常利益が21.4%増の48億24百万円だった。親会社株主帰属四半期純利益は前期計上の債務免除益7億79百万円が剥落して2.7%減の32億96百万円だった。

リニューアル案件やオフィス移転案件など需要が高水準に推移して増収、販売価格適正化や構造改革プロジェクト推進による売上総利益率改善も寄与して想定を上回る大幅増益だった。営業利益8億円増益の要因分析は、売上増加に伴う利益増加+6億円、売上総利益率改善(カタログ価格改定・販売価格適正化、構造改革プロジェクト推進など)+3億円、販管費増加(DX推進のためのIT基盤強化など)▲3億円、物流費減少(構造改革プロジェクト推進による物流サービス収益力強化)+2億円としている。

ワークプレイス事業は、売上高が3.0%増の277億19百万円で、営業利益が14.3%増の40億59百万円だった。新しい働き方にあわせたオフィス移転・リニューアル案件を中心に需要が好調だった。増収効果や構造改革プロジェクト推進によって売上総利益率が改善した。

設備機器・パブリック事業は、売上高が9.6%増の87億89百万円で、営業利益が87.8%増の5億53百万円だった。博物館・美術館の展示ケースやデジタルサイネージ等の公共施設向け設備の需要が好調に推移した。増収効果や構造改革プロジェクト推進によって売上総利益率が改善した。

IT・シェアリング事業は、売上高が8.3%増の4億20百万円で、営業利益が30.4%増の1億31百万円だった。システム開発事業、システム検証事業、オフィス空間シェア事業が堅調に推移した。

通期連結業績予想は据え置いて、売上高が22年12月期比5.4%増の1300億円、営業利益が41.8%増の65億円、経常利益が55.6%増の65億円、親会社株主帰属当期純利益が特別利益の一巡で30.1%減の37億円としている。配当予想は22年12月期比12円減配の25円(期末一括)としている。22年12月期の37円には特別配当20円が含まれているため、普通配当ベースでは8円増配との形となる。

セグメント別の計画は、ワークプレイス事業の売上高が7.9%増の927億円でセグメント利益(営業利益)が75.6%増の45億円、設備機器・パブリック事業の売上高が0.5%減の355億円でセグメント利益が5.5%減の14億円としている。設備機器・パブリック事業は前期の大型案件の反動減を見込むが、ワークプレイス事業において新しい働き方にあわせたオフィス移転・リニューアル案件を中心に需要が好調に推移し、構造改革プロジェクト推進で体質改善効果も継続する見込みとしている。

なお通常は第1四半期の構成比が高い季節特性だが、今期はワークプレイス事業のオフィス移転案件が期中に分散し、設備機器・パブリック事業では物流設備案件が下期に偏重するため、通常と異なる四半期構成になる見込みとしている。第1四半期の利益が想定を上回ったことも勘案すれば、通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。営業利益計画65億円は中期経営計画目標60億円を上回る見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

株価は順調に水準を切り上げて年初来高値更新の展開だ。好業績や低PBRを評価して上値を試す展開を期待したい。5月12日の終値は837円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS81円70銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の25円で算出)は約3.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1100円33銭で算出)は約0.8倍、そして時価総額は約382億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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