Jトラストは23年12月期1Q大幅増益で通期利益予想を超過達成
- 2023/5/15 09:39
- 決算発表記事情報
(決算速報)
Jトラスト<8508>(東証スタンダード)は、5月12日の取引時間終了後に23年12月期第1四半期連結業績を発表した。大幅増収増益で通期利益予想を超過達成した。新規連結取込や負ののれん発生益計上が寄与した。日本金融事業、韓国およびモンゴル事業、東南アジア金融事業とも、概ね計画を上回る水準で推移した。通期予想は上振れが濃厚であり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は下値固め完了感を強めている。好業績や株主還元強化を評価して出直りを期待したい。
■23年12月期1Q大幅増益で通期利益予想を超過達成
5月12日に発表した23年12月期第1四半期の連結業績(IFRS)は、営業収益が前年同期比111.6%増の261億36百万円、営業利益が365.2%増の92億93百万円、税引前利益が146.1%増の99億66百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益が147.7%増の91億24百万円だった。
大幅増益で通期利益予想を超過達成した。営業費用や販管費が増加したものの、新規連結取込や負ののれん発生益計上が寄与した。日本金融事業、韓国およびモンゴル事業、東南アジア金融事業とも、概ね計画を上回る水準で推移した。なお、その他の収益・費用(93億47百万円増の94億82百万円)では、前期のJTG証券の株式取得に伴う負ののれん発生益が一巡したが、吸収合併したミライノベートに係る負ののれん発生益を計上した。金融収益・費用(14億63百万円減の3億70百万円)では投資有価証券売却益が減少した。
セグメント別に見ると、日本金融事業は営業収益が41.5%増の30億53百万円で、営業利益が25.7%減の8億79百万円だった。JTG証券およびNexus Cardの連結取込も寄与して大幅増収だが、同時に販管費も増加し、前期のJTG証券の取得に伴う負ののれん発生益の反動も影響して減益だった。
韓国およびモンゴル金融事業は営業収益が166.8%増の112億61百万円、営業利益が5億78百万円の赤字(前年同期は11億75百万円の黒字)だった。JT親愛貯蓄銀行の連結取込や、貯蓄銀行業における貸出金の増加に伴う利息収支の増加などで大幅増収だが、貸倒引当金(損失評価引当金)繰入額の増加で減益だった。
東南アジア金融事業は、営業収益が43.6%増82億93百万円で、営業利益が41.5%増の7億19百万円だった。銀行業における貸出金増加や保有有価証券増加に伴う利息収支増加などで大幅増収となり、貸出債権のリスク低下や資金調達コスト減少などで増益だった。
不動産・再生可能エネルギー事業(23年12月期よりセグメント新設)は、営業収益が34億24百万円(前年同期は1億54百万円)で、営業利益が92億70百万円(同37百万円の赤字)だった。グローベルスの連結取込、吸収合併したミライノベートに係る負ののれん発生益が寄与した。
投資事業は、営業収益が23.0%増の92億26百万円、営業利益が2億04百万円の赤字(同4億22百万円の赤字)だった。訴訟費用が減少して赤字縮小した。その他事業は営業収益が4.6%減の1億36百万円、営業利益が436.8%増の56百万円だった。
通期連結業績予想(JTG証券の金融商品取引業を含まず)は据え置いて、営業収益が22年12月期比39.5%増の1150億円、営業利益が41.0%減の85億円、税引前利益が47.0%減の90億円、そして親会社の所有者に帰属する当期利益が2.9%増の130億円としている。配当予想は22年12月期比4円増配の14円(第2四半期末1円、期末13円)としている。連続大幅増配予想で、予想配当性向は14.4%となる。
セグメント別(不動産・再生可能エネルギーを新設)営業利益計画は、日本金融事業が46.6%増の57億64百万円、韓国およびモンゴル金融事業が14億32百万円の赤字(22年12月期は144億37百万円の黒字)、東南アジア金融事業が4億66百万円の赤字(同58百万円の黒字)、不動産・再生可能エネルギー事業が88億46百万円、投資事業が22億13百万円の赤字(同22億05百万円の赤字)、その他事業が40百万円としている。
日本金融事業は、保証事業における既存の信用保証残高からの安定的な保証料収益や、債権回収事業における大型債権購入による収益計上を見込んでいる。韓国およびモンゴル金融事業は、韓国の市中金利の高騰による調達金利の上昇、韓国全体における延滞増加、引当金積み増しを見込んでいる。対策として量の成長から質の成長への転換、徹底した延滞管理などを推進する。東南アジア金融事業は、金利上昇等に伴う調達コスト上昇などを見込んでいる。不動産・再生可能エネルギー事業では、ミライノベート吸収合併に伴う負ののれん発生益を第1四半期に計上した。今後はJグランドとグローベルスとのシナジー効果で収益拡大を目指す。
23年12月期は韓国における金利上昇影響などを考慮して営業減益予想(JTG証券の金融商品取引業を含まず)としている。ただし第1四半期は大幅増益で通期利益予想を超過達成した。新規連結取込や負ののれん発生益計上が寄与した形だが、日本金融事業、韓国およびモンゴル事業、東南アジア金融事業とも、概ね計画を上回る水準で推移している。通期予想は上振れが濃厚であり、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株価は出直り期待
株価は下値固め完了感を強めている。好業績や株主還元強化を評価して出直りを期待したい。5月12日の終値は391円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS97円01銭で算出)は約4倍、今期予想配当利回り(会社予想の14円で算出)は約3.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結1株当たり親会社所有者帰属持分1004円59銭で算出)は約0.4倍、時価総額は約575億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)