星光PMCは23年12月期1Q大幅営業減益、通期営業増益予想据え置き

(決算速報)
星光PMC<4963>(東証プライム)は5月12日の取引時間終了後に23年12月期第1四半期連結業績を発表した。原料価格上昇に対応して製品価格への転嫁を進めたが、高付加価値製品の販売数量減少、ベトナム工場の償却負担増加などで減収・大幅減益だった。通期の増収・営業増益予想は据え置いた。第1四半期の進捗率は低水準だが、積極的な事業展開で第2四半期以降の挽回を期待したい。株価は安値圏でモミ合う形だ。第1四半期大幅減益を嫌気する動きが優勢になったが下値限定的だろう。低PBRも評価材料であり、目先的な売りが一巡して出直りを期待したい。

■23年12月期1Q大幅営業減益、通期営業増益予想据え置き

23年12月期第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比1.0%減の74億57百万円、営業利益が46.4%減の3億11百万円、経常利益が54.0%減の3億90百万円、親会社株主帰属四半期純利益が50.9%減の3億05百万円だった。

原料価格上昇に対応して製品価格への転嫁を進めたが、景気減速による高付加価値製品の販売数量減少、22年10月に稼働したベトナム工場の償却負担増加などで減収・大幅減益だった。営業外収益では、海外子会社へのグループ内貸付金に対する評価替えによって為替差益が減少(前年同期は1億58百万円計上、今期は35百万円計上)した。

製紙用薬品事業は売上高が14.4%増の48億85百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が6.4%減の1億78百万円だった。国内外における差別化商品の拡販、原料価格上昇に対応した製品価格への転嫁などで増収だが、ベトナム工場の償却負担増の影響で減益だった。

樹脂事業は売上高が15.3%減の14億40百万円で、利益が30百万円の損失(前年同期は1億09百万円の利益)だった。中国の景気回復遅れに伴う粘着剤の販売数量減少で減収減益だった。

化成品事業は売上高が27.4%減の11億31百万円で、利益が35.3%減の2億61百万円だった。海外の景気減速の影響で主力製品の輸出数量が減少し、原材料価格上昇に対する価格転嫁の遅れも影響して減収減益だった。

通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が22年12月期比8.8%増の352億80百万円、営業利益が6.7%増の20億10百万円、経常利益が9.8%減の21億60百万円、親会社株主帰属当期純利益が5.9%減の15億50百万円としている。配当予想は22年12月期と同額の16円(第2四半期末8円、期末8円)としている。

差別化製品の市場投入を積極推進し、原材料価格高騰に対して遅れていた製品価格への転嫁が進展して、増収・営業増益通期予想としている。EBITDA(営業利益+減価償却費)については18.4%増の39億30百万円の計画で、過去最高だった21年12月期の41億59百万円に近い水準まで回復する見込みとしている。経常利益と親会社株主帰属当期純利益については為替差益等を見込まず減益予想としている。

製紙用薬品事業の計画は、売上高が9.1%増の218億50百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が47.3%増の12億20百万円、EBITDAが29.6%増の21億20百万円としている。差別化製品拡販と価格転嫁効果に加えて、前期後半に本格稼働したベトナム子会社が1年を通じて安定稼働することも寄与する見込みだ。

樹脂事業の計画は、売上高が10.5%増の76億10百万円、セグメント利益が30.1%増の4億60百万円、EBITDAが22.0%増の8億70百万円としている。製品価格への転嫁に加えて、中国を中心とする粘着剤の拡販、水性インキ用樹脂ラインナップ拡充やUV硬化型粘着剤拡販など製品ポートフォリオ転換を推進する。

化成品事業の計画は、売上高が5.9%増の58億20百万円、セグメント利益が32.0%減の7億10百万円、EBITDAが0.7%増の12億70百万円としている。生産性改善を目的とした大型設備投資に伴う減価償却費の増加が一時的な減益要因となるが、機能性モノマーの拡販や製品価格への転嫁を推進する。

通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高21.1%、営業利益15.5%、経常利益18.1%、親会社株主帰属当期純利益19.7%と低水準だが、積極的な事業展開で第2四半期以降の挽回を期待したい。

■株価は下値限定的

株価は安値圏でモミ合う形だ。第1四半期大幅減益を嫌気する動きが優勢になったが下値限定的だろう。低PBRも評価材料であり、目先的な売りが一巡して出直りを期待したい。5月12日の終値は565円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS51円12銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の16円で算出)は約2.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1015円10銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約171億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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