朝日ラバーは24年3月期も減益予想だが保守的
- 2023/5/15 09:36
- 決算発表記事情報
(決算速報)
朝日ラバー<5162>(東証スタンダード)は、5月11日の取引時間終了後に23年3月期連結業績を発表した。卓球ラケット用ラバーや医療・衛生用ゴム製品が好調だったが、主力の自動車向けゴム製品が自動車生産低迷の影響を受け、原材料・エネルギーコスト上昇や販管費増加なども影響して減益だった。そして24年3月期も不透明感や先行投資などを考慮して減益予想としている。ただし保守的だろう。第14次3ヵ年中期経営計画を公表し、26年3月期の目標値に売上高85億円以上、営業利益率5%以上を掲げている。極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は24年3月期減益予想を嫌気して急落の形となったが下値限定的だろう。高配当利回りや低PBRも評価材料であり、目先的な売りが一巡して出直りを期待したい。
■23年3月期減益、24年3月期も減益予想だが保守的
23年3月期の連結業績は、売上高が22年3月期比2.6%増の72億05百万円、営業利益が36.4%減の1億85百万円、経常利益が37.8%減の1億94百万円、親会社株主帰属当期純利益が14.9%減の2億03百万円だった。なお親会社株主帰属当期純利益は税金費用が想定を下回ったため上振れて着地した。配当は22年3月期と同額の20円(期末一括)とした。配当性向は44.7%となる。
卓球ラケット用ラバーや医療・衛生用ゴム製品が好調だったが、主力の自動車向けゴム製品が自動車生産低迷の影響を受け、さらに原材料・エネルギーコスト上昇や販管費増加なども影響して減益だった。なお国内・海外別の売上高は国内が1.7%増の54億02百万円、海外が5.4%増の18億02百万円(アジアが6.0%増の16億75百万円、北米が1.5%減の1億16百万円、欧州が2.0%増の10百万円)だった。
工業用ゴム事業は売上高が1.1%減の57億65百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が24.4%減の4億円だった。売上面は卓球ラケット用ラバーの受注が回復したが、主力のASA COLOR LEDなどの自動車向けゴム製品が自動車生産低迷の影響を受けたため全体として減収だった。利益面は原材料・エネルギーコスト上昇や販管費増加なども影響した。
医療・衛生用ゴム事業は売上高が20.6%増の14億39百万円、セグメント利益が26.4%増の1億24百万円だった。プレフィルドシリンジガスケット製品や採血用・薬液混注用ゴム栓の売上が回復した。
なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が17億54百万円で営業利益が70百万円、第2四半期は売上高が18億24百万円で営業利益が65百万円、第3四半期は売上高が18億92百万円で営業利益が77百万円、第4四半期は売上高が17億35百万円で営業利益が27百万円の赤字だった。
24年3月期の連結業績予想は、売上高が23年3月期比0.1%減の71億95百万円、営業利益が15.2%減の1億57百万円、経常利益が23.0%減の1億50百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が47.8%減の1億06百万円としている。配当予想は23年3月期と同額の20円(期末一括)としている。予想配当性向は85.6%となる。
24年3月期も不透明感や先行投資などを考慮して減益予想としている。ただし保守的だろう。第14次3ヵ年中期経営計画を公表し、26年3月期の目標値に売上高85億円以上、営業利益率5%以上を掲げている。極的な事業展開で収益拡大を期待したい。
■株価は下値限定的
株価は24年3月期減益予想を嫌気して急落の形となったが下値限定的だろう。高配当利回りや低PBRも評価材料であり、目先的な売りが一巡して出直りを期待したい。5月12日の終値は531円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS23円37銭で算出)は約23倍、今期予想配当利回り(会社予想の20円で算出)は約3.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1077円92銭で算出)は約0.5倍、そして時価総額は約25億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)