金型部品のパンチ工業、民間企業で世界初の月面探査に挑むダイモンと技術パートナー契約を締結
- 2023/5/16 16:53
- プレスリリース
パンチ工業<6165>(東証プライム)は、2023年5月8日、ロボット・宇宙技術開発ベンチャーのダイモンと技術パートナー契約を締結し、ダイモンが手掛ける月面探査計画「Project YAOKI(ヤオキ)」の一員として参画することとなったと発表。
月面探査車への3Dスキャナ計測サービスの提供を契機に、金型部品、FA(ファクトリーオートメーション)部品・機器の製造で培った技術力を活かし、金属部品加工や金属一体化技術「P-Bas」による新素材開発で、ダイモンとともにProject YAOKIを成功に導く手伝いをするほか、航空宇宙産業の貢献を目指す。同社は今後も、発展が見込まれる宇宙分野への展開を積極的に進め、事業の成長を図っていく。
■月面探査車計画 Project YAOKI
「Project YAOKI」は、ダイモンが開発した月面探査車YAOKIを月面に輸送し、月面走行および月表面の接写画像データの獲得を行い、資源確保や居住区など人類の活動拠点構築に向けた月面探査を行うプロジェクト。2023年には、NASAの商業月面輸送サービス(CLPS)に採択された米国の民間企業インテュイティブ・マシーンズ社のミッションIM-2で打ち上げる月着陸船Nova-Cに、YAOKIが1台搭載される。YAOKIは、着陸後に月面へ落下して探査を開始する予定。
●YAOKIの特長―超小型、超軽量、高強度
・重量:徹底的に無駄を省き、4輪以上が常識とされる車輪を2輪とすることで、わずか498gと、従来比1/10の超軽量小型を実現。
・強度:通常、数回で十分とされる強度解析を100回以上繰り返し、100m落下に耐える高強度を達成。
・性能:球形の車輪で本体を覆い、上下対称にする事で、転倒しても走行が可能。「七転び八起き」を由来としてYAOKIと命名。
【株式会社ダイモン】
2012年に創業したロボット・宇宙技術開発ベンチャー。月面探査車YAOKIを中核として、月面探査事業、地上ロボット事業、教育エンタメ事業に取り組んでいる。
・社名:株式会社ダイモン(Dymon Co.,Ltd.)
・代表:代表取締役/CEO/CTO 中島 紳一郎
・所在地:東京都大田区大森南4-10-20(本社)
・資本金:8,000万円
・設立:2012年2月
(1)製品測定
3Dスキャナによる形状測定サービス「3D計測パートナーズ」の技術を活用し、設計と実機の精度保証や、ケースと本体のクリアランス(隙間)仮説検証などを行う。
同社では、2016年から、現物を3Dスキャナで3Dデータ化して、図面がない部品などを復元する「リバースエンジニアリング」事業に取組んでいる。この3Dスキャナの測定技術を活用したサービス「3D計測パートナーズ」で、NASAから求められている品質保証要件を満たし、月へのYAOKI打ち上げの土台作りに貢献する。また、転倒しても走行が可能という特長を持たせるためには、車輪と本体の間に適切な隙間が必要。3D計測パートナーズでは、その数値をデータ化し検証することで、最適な寸法を導き出す。
(2)新素材開発
「P-Bas」の焼結技術により、 YAOKIの車輪用の、軽量かつ耐摩耗性、耐熱性に優れた新素材を開発する。
「P-Bas(ピーバス:Punch Bonding and sintering)」は、接合(bonding)と焼結(sintering)の技術を意味する当社独自の造語で、どちらも専用の設備で複数の金属部品や金属粉末を加圧・加熱して加工する技術。
同件では「焼結」の技術を用いて、軽量で耐摩耗性、耐熱性に優れた合金を開発し、YAOKI車輪への使用を目指している。
(3)金属加工
YAOKIの車輪と本体をつなぐ、モーター軸固定用部品の加工(高硬度アルミ材)でYAOKI開発に貢献する。
1975年の創業以来、同社が培ってきた、顧客の図面の通りに加工するオーダーメードの「特注品」加工技術の応用で、難易度の高い航空宇宙産業の部品加工も手掛ける。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)