マーチャント・バンカーズは24年10月期(決算期変更)実質大幅増益・増配予想

(決算速報)
マーチャント・バンカーズ<3121>(東証スタンダード)は5月12日の取引時間終了後に23年3月期連結業績を発表した。支払手数料や減損損失の増加で経常減益・最終赤字だったが、収益用不動産売却などで大幅増収、営業増益だった。24年10月期(決算期変更で7ヶ月決算)については実質大幅増益・増配予想としている。マーチャント・バンキング事業の成長が牽引し、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は安値圏でモミ合う展開が続いている。決算発表に対しても反応は限定的だった。ただし煮詰まり感を強めている。モミ合いから上放れの展開を期待したい。

■23年3月期営業増益、24年10月期(決算期変更)大幅増益・増配予想

23年3月期の連結業績は、売上高が22年3月期比60.0%増の43億52百万円、営業利益が7.8%増の3億61百万円、経常利益が31.8%減の1億49百万円、親会社株主帰属当期純利益が60百万円の赤字(22年3月期は70百万円の黒字)だった。配当は22年3月期と同額の2円(期末一括)とした。

営業外費用での支払手数料増加(1億10百万円増加)や、特別損失での減損損失増加(86百万円増加)などで経常減益・最終赤字だったが、収益用不動産売却などで大幅増収、営業増益だった。

マーチャント・バンキング事業は売上高が79.4%増の37億31百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が8.0%増の6億09百万円だった。収益の柱である賃貸用不動産から得られる賃貸収入が安定的に推移し、収益用不動産の一部やホテル物件の売却も実行した。なお収益用不動産の売却は4件、新規取得は4件だった。

オペレーション事業は売上高が3.1%減の6億20百万円、利益が64百万円の赤字(22年3月期は61百万円の赤字)だった。ホテル物件(ブルーポートホテル苅田北九州空港)の売却に伴って物件売却先の関係会社にホテル運営を引き継ぎ、給食業務受託も23年3月末をもって終了した。その他事業所はコロナ禍の影響で減収・赤字だった。

なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が3億11百万円で営業利益が25百万円の赤字、第2四半期は売上高が10億75百万円で営業利益が1億64百万円の黒字、第3四半期は売上高が18億47百万円で営業利益が1億50百万円の黒字、第4四半期は売上高が11億19百万円で営業利益が72百万円の黒字だった。

24年10月期(決算期変更で23年4月~10月の7ヶ月決算)の連結業績予想は、売上高が21億円、営業利益が4億70百万円、経常利益が3億円、親会社株主帰属当期純利益が1億95百万円としている。

12ヶ月決算の23年3月期との単純比較で、売上高は51.7%減収、営業利益は30.2%増益、経常利益は101.0%増益、親会社株主帰属当期純利益は黒字転換(2億55百万円増益)となる。配当予想は12ヶ月決算の22年3月期と同額の2円(期末一括)としている。実質的に大幅増益・増配予想となる。

セグメント別計画(増減率は12ヶ月決算の23年3月期との単純比較)は、マーチャント・バンキング事業の売上高が48.5%減の19億60百万円で利益(全社費用等調整前営業利益)が6.2%増の6億50百万円、オペレーション事業の売上高が77.4%減の1億40百万円で利益が20百万円の黒字(23年3月期は66百万円の赤字)としている。

マーチャント・バンキング事業は、収益力向上に向けて物件売却よりも取得に注力するため減収だが、安定的収益源の家賃収入が順調に拡大する見込みだ。オペレーション事業は23年5月末にインターネットカフェ事業から撤退し、残る事業は土岐グランドボウル(岐阜県土岐市)および子会社ケンテンのアパレル・雑貨等販売プロモーション事業となるため減収だが、不採算事業からの撤退によって収益改善する見込みだ。マーチャント・バンキング事業の成長が牽引し、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価はモミ合い煮詰まり感

株価は安値圏でモミ合う展開が続いている。決算発表に対しても反応は限定的だった。ただし煮詰まり感を強めている。モミ合いから上放れの展開を期待したい。5月16日の終値は281円、今期予想連結PER(7ヶ月決算の会社予想連結EPS6円63銭を12ヶ月換算した11円36銭で算出)は約25倍、今期予想配当利回り(7ヶ月決算の会社予想2円を12ヶ月換算した3円42銭で算出)は約1.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS134円50銭で算出)は約2.1倍、時価総額は約83億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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