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【小倉正男の経済羅針盤】世界経済デフレ化=白馬の騎士は不在
- 2015/8/24 10:06
- 小倉正男の経済コラム
■共産党独裁化で歴史上初の「恐慌」
夏も終わりである。まだ暑いが、盛りは過ぎた。
中国も誰もがわかっていることだがとりあえず終わった。不動産・建設、そして株式もブーム終焉にほかならない。中国発の「恐慌」であり、これは共産党独裁化での歴史上初の「恐慌」ということになる。
中国の巨大な需要にくっついていた、あるいは依存していたといったらよいのか、そうした諸国は大変である。ロシア、韓国、南米諸国、アジア諸国など・・・。韓国など右往左往しただけであり沈没状態に陥ることになる。
中国は、リーマンショックの世界経済危機時に、国内インフラ投資など巨大な需要で世界経済を下支える役割を果たした。いわば、世界経済の「白馬の騎士」として大きな貢献を演じたわけである。中国はいま「恐慌」に直面しているが、これは中国経済が、ある意味「一丁前」になったことを意味する。
中国に依存してきた、あるいは依存しようとしてきた諸国が多いことでも、中国経済が「一丁前」であることがわかる。日本も輸出・輸入に加えて「インバウンド」ということで爆買い需要などに依存してきた。
■世界はデフレ経済に突入
生産・供給力はすぐつくれるが、消費・需要力は簡単にはつくれない。これはいつも繰り返す世界資本主義の宿命だが、中国も身をもってそうしたことを学習することになる。
中国経済の「恐慌」で、石油などの需要は反落、世界はデフレに向かうしかない。
アメリカの利上げ、日本の消費税再増税などは吹き飛んだというか、スケジュールは軒並みに大きくズレ込むしかないとみられる。
余談だが、日本のどこかの生命保険エコノミストなど、「日本にバブルが到来する」とずっと吹聴してきている。面白いなと思ってみていたが、どうすることやら――。
今回の中国の「恐慌」を下支えするのはアメリカ経済しかないのだろうが、そうした勢いはあるかどうか――。リーマンショック時の中国経済のような「白馬の騎士」=需要創出はちょっと無理ではないか。
■リーマンショックとの違いは「中国政府=習近平ショック」
リーマンショックとの違いだが、中国の「恐慌」は官製バブル崩壊にほかならない。不動産・建設でも株式でも、「最後の買い手」が地方政府を含む政府である。その点では、「中国政府ショック」「習近平ショック」という構造になる。
長い目でみれば、これも共産党独裁が崩壊していく過程なのだろうか。
ともあれ、中国経済のほうは、市場経済に政府が介入している官製バブル崩壊だけに低迷は長期化が不可避となる。
日本は、日銀などの再々度にわたる異次元テコ入れなどを発動するにしても、デフレ克服は簡単ではないだろう。
リーマンショック時は、中国が巨額財政出動で国内インフラ投資を行った。この大判振る舞いは中国をGDPで世界2位の座に押し上げたが、同時に官製バブルの出発点となった。
今回は、バブル崩壊を癒すバブルが存在しない。そこが根本的に違う。世界経済のデフレ化を止める「白馬の騎士」はどこにも見当たらない。
(小倉正男=経済ジャーナリスト。『M&A資本主義』『トヨタとイトーヨーカ堂』(東洋経済新報社刊)、『日本の時短革命』『倒れない経営』『第四次産業の衝撃』(PHP研究所)など著書多数。東洋経済新報社で編集局記者・編集者、金融証券部長、企業情報部長などを経て現職。)