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協立情報通信は反発の動き、24年3月期大幅増益予想
- 2023/5/22 09:57
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
協立情報通信<3670>(東証スタンダード)は、中堅・中小企業のICT化を支援するソリューション事業、およびドコモショップ運営のモバイル事業を展開している。成長戦略として事業別ポートフォリオの再構築、クラウドサービスの深化、サブスク型サービスの拡大、サポートサービスの強化、サステナブル経営の推進を強化している。23年3月期(22年3月期が決算期変更で13ヶ月決算だったため増減率非記載)は計画をやや下回って着地した。モバイル事業の収益が改善したが、ソリューション事業の大型案件先送りなどが影響した。ただし24年3月期は大幅増益予想としている。ソリューション事業とモバイル事業の融合による法人向けサービス強化などを推進する方針だ。DX関連や5G関連の本格化も背景として収益拡大を期待したい。株価は調整一巡して反発の動きを強めている。24年3月期大幅増益予想も好感する動きだ。高配当利回りも評価して戻りを試す展開を期待したい。
■ソリューション事業とモバイル事業を展開
中堅・中小企業のICT(情報通信技術)化を支援するソリューション事業、およびドコモショップ運営のモバイル事業を展開している。23年3月期のセグメント別業績は、ソリューション事業の売上高が16億26百万円で営業利益(全社費用等調整前)が3億87百万円、モバイル事業の売上高が33億56百万円で営業利益が2億17百万円だった。
ソリューション事業は、NEC<6701>、NTTドコモ<9437>、オービックビジネスコンサルタント<4733>、日本マイクロソフト、サイボウズ<4776>の主要パートナー企業5社の製品・サービスを融合し、情報インフラ、情報コンテンツ、情報活用の3分野を総合したワンストップソリューションの「経営情報ソリューションサービス」を提供している。
体感型フューチャーラボの「協立情報コミュニティー」において、製品活用体験セミナー、フェア、イベント、システム導入相談会、教育サービスなどを提供していることも特徴だ。
モバイル事業はNTTドコモの一次代理店であるティーガイア<3738>の代理店として、ドコモショップ6店舗(東京都内2店舗、埼玉県内4店舗)を運営し、個人向けモバイル端末などの店頭販売(店舗事業)および法人向けモバイルソリューション(法人サービス事業)を展開している。
■中期経営計画2024
中期経営計画2024(23年3月期~25年3月期)では、目標値として25年3月期売上高65億円、営業利益4.2億円、当期純利益2.8億円、純資産23億円、EPS232円、BPS1909円を掲げている。配当については配当性向30~40%を目途として、業績連動による適正な配当とともに、業績悪化時も一定水準を維持する方針としている。
成長に向けた基本方針としては、サステナブル経営の推進、事業別ポートフォリオの再構築(法人関連ビジネスの強化、店舗ビジネスの変革)、継続収益の拡大(クラウドサービスの深化、サブスク型サービスの拡大、サポートサービスの強化)を打ち出している。通信と情報の融合にモバイルを媒体として、設計・構築~導入支援・運用サポート~活用支援までをワンストップで提供することで、顧客の成長・発展に貢献する方針だ。
サステナブル経営の推進については、環境負荷への貢献、資源の削減、ダイバーシティの推進と人財育成、DXの推進、顧客・パートナーとの共創、コーポレートガバナンスの充実、コンプライアンスの徹底など、サステナブル(ESG、SDGs)経営を推進することにより、自らの成長と持続可能な社会の実現に貢献し、企業価値向上を目指す。
事業別ポートフォリオ再構築では法人関連ビジネスを強化し、売上構成比で21年3月~22年2月(売上高47億円)のソリューション(法人系)41.3%、ドコモ店舗の法人系15.8%、ドコモ店舗42.9%から、25年3月期(売上高65億円)にはソリューション(法人系)50.8%、ドコモ店舗の法人系26.2%、ドコモ店舗23.1%への変革を目指す。ドコモ店舗ビジネスについては、顧客の価値増大に貢献することで求められるショップを目指し、収益機会拡大を推進する。
継続収益拡大ではクラウドサービスの深化、サブスク型サービスの拡大、サポートサービスの強化を推進し、21年3月~22年2月の継続収益実績10億26百万円に対して、25年3月期の継続収益目標には17億円(保守料10億円、継続手数料4億円、レンタル・リース料2億円、ライセンス料1億円)を掲げている。
■スタンダード市場上場維持基準適合に向けた計画書
22年4月に実施された東京証券取引所の市場再編に関してはスタンダード市場を選択し、スタンダード市場上場維持基準適合に向けた計画書を開示している。中期経営計画2024で打ち出した基本戦略を着実に遂行し、定量目標の達成による収益力の強化・利益の拡大、株主還元の充実、コーポレートガバナンスの充実、資本政策の検討・実施、IR活動の充実と情報発信の強化などによって企業価値の向上(時価総額の上昇)を図り、26年3月期にスタンダード市場上場維持基準の充足を目指すとしている。
なお資本政策の検討・実施については、流通株式比率37%以上の維持と株主利益に配慮しつつ、流通株式時価総額の適合に資する各施策(自己株式の処分、非流通株式の縮減、ストック・オプションの従業員行使など)について是非を検討する。
■23年3月期は計画を下回って着地、24年3月期は大幅増益予想
23年3月期の連結業績(22年4月~23年3月の12ケ月決算、22年3月期が決算期変更で21年3月~22年3月の13ヶ月決算のため増減率非記載)は、売上高が49億83百万円、営業利益が1億84百万円、経常利益が1億92百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が1億23百万円だった。配当は22年3月期と同額の55円(期末一括)とした。配当性向は53.5%となる。
計画(売上高52億円、営業利益2億20百万円、経常利益2億30百万円、親会社株主帰属当期純利益1億40百万円)をやや下回って着地した。モバイル事業の収益が改善したが、ソリューション事業の大型案件先送りなどが影響した。
ソリューション事業は売上高が16億26百万円、営業利益(全社費用等調整前)が3億87百万円だった。大型案件の先送り傾向がみられたが、基幹業務システムの標準化やクラウドサービスへの移行、DX化を推進するための各種ソリューションの導入支援が堅調だった。なお22年3月期(13ケ月決算)は売上高が21億96百万円で営業利益が5億28百万円だったが、年度末で検収が集中する傾向のある3月を2回含んでいる。
モバイル事業は売上高が33億56百万円、営業利益が2億17百万円だった。店舗事業ではスタッフの提案力強化、スマホ教室の充実、出張販売、商業施設におけるドコモショップサテライト開設など、顧客満足度の向上に向けたサービス強化を推進した。法人サービス事業では、法人向けモバイルの導入支援から運用管理までのトータルサービスを展開した。22年3月期(13ケ月決算、売上高31億48百万円、営業利益1億22百万円)に対しては収益改善した形である。
なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高11億55百万円で営業利益33百万円、第2四半期は売上高11億13百万円で営業利益40百万円、第3四半期は売上高12億32百万円で営業利益12百万円、第4四半期は売上高14億83百万円で営業利益99百万円だった。
24年3月期の連結業績予想は、売上高が23年3月期比4.3%増の52億円、営業利益が35.6%増の2億50百万円、経常利益が32.8%増の2億56百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が34.8%増の1億66百万円としている。配当予想は23年3月期と同額の55円(期末一括)で、予想配当性向は39.7%となる。
ソリューション事業とモバイル事業の融合による法人向けサービス強化などを推進する方針だ。DX関連や5G関連の本格化も背景として収益拡大を期待したい。
■株主優待制度は毎年3月末の株主対象
株主優待制度は毎年3月末時点で5単元(500株)以上保有株主を対象として、保有株式数に応じて島根県の特産品を贈呈(詳細は会社HP参照)する。
■株価は反発の動き
株価は調整一巡して反発の動きを強めている。24年3月期大幅増益予想も好感する動きだ。高配当利回りも評価して戻りを試す展開を期待したい。5月19日の終値は1540円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS138円58銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の55円で算出)は約3.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1578円86銭で算出)は約1.0倍、そして時価総額は約19億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)