■従来よりも高い精度で薬物による腎障害のリスクを評価
日機装<6376>(東証プライム)は5月23日、日本ベーリンガーインゲルハイムと金沢大学との共同研究により、世界で初めて腎機能を適切に反映した創薬研究用ヒト腎細胞『3D-RPTEC(スリーディーアールピーテック)』の開発に成功したと発表。
今回開発した技術は、創薬研究において主に動物実験で行っていた薬物の評価を細胞実験に代替できること、また創薬プロセスの効率化に貢献することが期待される。
■世界初、創薬研究用ヒト腎細胞『3D-RPTEC』とは
創薬研究用ヒト腎細胞『3D-RPTEC』とは、ヒト由来の腎細胞を特殊な方法で培養することにより、これまで観察することが難しかった腎機能を適切に反映した世界で初めてのヒト腎細胞。実際に主要な薬物トランスポーター※20種ほどが機能することを確認している。
これを創薬研究用ツールとして用いることで、従来よりも高い精度で薬物による腎障害のリスクを細胞実験で評価することが期待できる。
※薬物トランスポーター:細胞膜に存在するタンパク質。イオンや低分子物質を細胞内に取り込む、あるいは細胞外へ排出させる装置の役割を持っている。腎細胞には、薬物輸送に関わる多数のトランスポーターの存在が知られている。
■創薬研究用ヒト腎細胞開発の背景
創薬研究において、薬物の評価(薬物動態や毒性)は主に動物実験が行われているが、種差の問題や動物愛護の観点から、動物実験の代わりにシミュレーションや細胞実験によって評価することが求められている。動物ではなく、ヒト由来の腎細胞で評価を行うため、種差の問題の解消に加え、動物実験と比較して細胞実験では、多くの薬物のデータをよりスピーディに、研究の初期段階から取得できるため、創薬の時間短縮やコスト削減も期待できる。しかしながら、創薬研究におけるニーズを満たすヒト腎細胞はこれまで存在しなっかた。
【製品概要】
・製品名:3D-RPTEC(スリーディーアールピーテック)
・販売日:2023年7月(予定)
(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)