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ヒーハイストは急伸して底放れ、24年3月期営業黒字転換予想で収益改善基調
- 2023/5/26 10:02
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ヒーハイスト<6433>(東証スタンダード)は直動機器を主力として、精密部品加工やユニット製品も展開している。小径リニアボールブッシュの世界トップメーカーである。成長戦略として直動機器の「スマート生産プロジェクト」の一環とする設備投資や開発投資を推進している。23年5月には埼玉工場内の新工場A棟が稼働開始した。23年3月期は受注減少や原材料価格・物流費上昇で減収・営業赤字だったが、24年3月期は増収・営業黒字転換予想としている。埼玉工場内の新工場A棟が完成したことを受けて、自動化関連の需要に向けて直動機器のスマート生産体制を確立し、生産増強および販売拡大を図るとしている。中長期的には直動機器の需要拡大が予想され、積極的な事業展開で収益改善基調だろう。株価は急伸して底放れの動きとなった。ホンダの自動車レースF1復帰を材料視したようだ。1倍割れのPBRも評価材料であり、出直りを期待したい。
■小径リニアボールブッシュの世界トップメーカー
20年7月1日付で商号をヒーハイスト精工からヒーハイストに変更した。独自の球面加工技術や鏡面加工技術をコア技術として、直動機器(リニアボールブッシュや球面軸受けなど)、精密部品加工(レース用部品や試作部品の受託加工など)、ユニット製品(液晶製造装置向けなど)を展開している。
小径リニアボールブッシュの世界トップメーカーである。リニアボールブッシュは機械装置の稼働部に用いられる部品で、金属と金属の接触面を鋼球が転がりながら移動することで摩擦による影響を低減し、機械装置の寿命を延ばす役割を担っている。
23年3月期の部門別売上高は、直動機器が22年3月期比12.5%減の15億25百万円、精密部品加工がレース用部品の減少で14.5%減の6億74百万円、ユニット製品がリピート需要の増加などで2.0%増の2億13百万円だった。主要販売先はTHK<6481>および本田技研工業<7267>である。収益面では産業機械・電子部品・自動車関連の設備投資動向の影響を受けやすく、設備投資関連のため四半期業績が変動しやすい特性もある。
■生産能力向上と採算性向上を推進
収益力向上および経営基盤強化に向けた重点方針として、生産能力向上とコストダウンによる採算性向上、QCDの徹底追求による顧客対応力の強化、顧客ニーズに適合した応用製品の開発と販売、主力製品リニアボールブッシュの競争力強化による拡販、提案型技術営業による新規顧客開拓、海外販売網の構築・強化、従業員の上昇志向と能力の向上を推進している。
21年10月にはESG経営の一環として、秋田県の大学生有志(国際教養大学、秋田大学、秋田県立大学の3大学)が進めている花火打ち上げプロジェクト「輝け!僕らの秋田ゆめ花火プロジェクト」に協賛した。21年11月には、川越市と川越商工会議所が認定・表彰する「川越ものづくりブランドKOEDO E―PRO」において、クサビ式減速機構を搭載した超精密1軸ステージおよび超精密XYθステージが令和3年度大賞を受賞した。
成長戦略として直動機器の「スマート生産プロジェクト」の一環とする設備投資や開発投資を推進している。23年5月には埼玉工場内の新工場A棟が稼働開始した。自動化関連の需要に向けて直動機器のスマート生産体制を確立し、生産増強および販売拡大を図るとしている。
■23年3月期営業赤字、24年3月期は営業黒字転換予想
23年3月期の連結業績は売上高が22年3月期比12.0%減の24億14百万円、営業利益が5百万円の赤字(22年3月期は2億28百万円の黒字)、経常利益が98.6%減の3百万円、親会社株主帰属当期純利益が2百万円の赤字(同2億17百万円の黒字)だった。配当は22年3月期比3円減配の1円(期末一括)とした。
計画をやや下回り、営業赤字、経常大幅減益、最終赤字で着地した。産業用機械全体および中国市場での受注が減少し、原材料価格や物流費の上昇なども影響した。部門別売上高は、直動機器が12.5%減の15億25百万円、精密部品加工がレース用部品の減少で14.5%減の6億74百万円、ユニット製品がリピート需要の増加などで2.0%増の2億13百万円だった。
なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が5億66百万円で営業利益が7百万円の赤字、第2四半期は売上高が6億06百万円で営業利益が1百万円の赤字、第3四半期は売上高が6億04百万円で営業利益が8百万円の黒字、第4四半期は売上高が6億38百万円で営業利益が5百万円の赤字だった。
24年3月期連結業績予想は、売上高が23年3月期比%1.8%増の24億56百万円、営業利益が15百万円の黒字(23年3月期は5百万円の赤字)、経常利益が317.7%増の15百万円、親会社株主帰属当期純利益が6百万円の黒字(同2百万円の赤字)としている。配当予想は23年3月期と同額の1円(期末一括)としている。
増収、営業黒字転換、経常大幅増益、最終黒字転換の予想としている。埼玉工場内の新工場A棟が完成したことを受けて、自動化関連の需要に向けて直動機器のスマート生産体制を確立し、生産増強および販売拡大を図るとしている。中長期的には直動機器の需要拡大が予想され、積極的な事業展開で収益改善基調だろう。
■株価は急伸して底放れ
株価は急伸して底放れの動きとなった。ホンダの自動車レースF1復帰を材料視したようだ。1倍割れのPBRも評価材料であり、出直りを期待したい。5月25日の終値は262円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS1円01銭で算出)は約259倍、今期予想配当利回り(会社予想の1円で算出)は約0.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS515円74銭で算出)は約0.5倍、そして時価総額は約17億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)