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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】アルファの収益改善基調を見直し、8月期末一括で2%台の配当利回り
- 2015/8/25 07:59
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
アルファ<4760>(JQS)はPOP広告など店舗販促用品を企画・製作・販売する総合販売促進企業である。株価は210円近辺のモミ合いから下放れたが、地合い悪化の流れに押された形だ。8月期末一括で2%台の配当利回り、0.7倍近辺の低PBRも注目点であり、収益改善基調を見直して反発展開だろう。
■POP広告やイベント関連用品などの総合販売促進企業
スーパーや家電量販店などの小売業者や、食品メーカー向けなどに、POP広告やイベント関連商品など、消費関連市場におけるセールスプロモーション(販売促進)に係るさまざまな販促用品を企画・製作・販売する総合販売促進企業である。14年8月期の商品別売上構成比は、自社企画製品15.4%、別注製品54.1%、商品30.5%だった。
日本最大級の販促通販サイト「POP GALLERY」による自社企画製品の拡販、メーカー・小売のタイアップ企画である消費者向け販促キャンペーンの受注拡大、動画POPなどデジタルサイネージ(デジタル技術を活用した広告媒体)を組み込んだ新販促商品・サービスの企画・提案営業を強化している。五感を刺激して購買意欲を喚起させる新メニューとして、香りのプロモーションツール「かおるくん」が好調だ。
■中期成長に向けて「買い物コミュニケーション創造企業」を目指す
中期的な収益力向上に向けては、ショッパー(買い物客)の購買行動やインサイト(深層心理)を捉えた「買い物コミュニケーション創造企業」を目指している。中期経営計画では目標数値として16年8月期の売上高78億円、経常利益2億円、純利益1億円を掲げている。
15年7月にはオーケー企画(東京都)の株式を取得して完全子会社化する基本合意書を締結(株式譲渡予定は9月1日目途)した。同社は全国のホームセンターやドラッグストアなどでの販売促進用器具・備品全般を扱う事業を展開している。同社を子会社化することによって、当社では比較的手薄な全国のホームセンターやドラッグストア向けの事業拡大が見込めるとしている。
■15年8月期増収増益予想、16年8月期も収益改善基調
今期(15年8月期)の非連結業績予想(10月14日公表)は、売上高が前期比4.5%増の70億円、営業利益が同8.8%増の1億70百万円、経常利益が同2.9%増の1億65百万円、純利益が同0.6%増の70百万円としている。配当予想は前期と同額の年間5円(期末一括)で予想配当性向は57.5%となる。
自社企画製品ではeコマースを利用した受注増加、別注製品では企画提案強化による消費者向け販促キャンペーンの受注増加、メーカーからの企画料・デザイン料など役務売上の増加、商品ではイベント関連の受注増加を見込み、採算性を重視した選別受注による粗利率改善や、販管費圧縮なども寄与して増収増益見通しだ。
第3四半期累計(9月~5月)は、売上高が前年同期比2.5%減の50億56百万円だったが、営業利益が同10.7%増の2億12百万円、経常利益が同10.5%増の2億14百万円、純利益が同25.4%増の1億19百万円だった。
中小スーパーの販促費削減傾向などが影響して減収だが、利益面では粗利率の高い自社企画製品の売上構成比上昇、採算性を重視した取引選別の継続、さらに販管費の削減などの効果が寄与して増益だった。純利益は前期計上した過年度法人税等の一巡も寄与した。
製品別売上高を見ると、自社企画製品はeコマース(オンラインショップ)売上が堅調だったが、中小スーパーの販促費削減傾向が継続して同1.5%減の8億17百万円、別注製品は大口スポット案件獲得が寄与したが、採算性を重視した取引選別を継続して同0.1%減の27億44百万円、商品はイベント関連が堅調だったが、全体として消費増税の影響が残り同7.0%減の14億93百万円だった。
四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(9月~11月)18億35百万円、第2四半期(12月~2月)15億78百万円、第3四半期(3月~5月)16億43百万円で、営業利益は第1四半期1億03百万円、第2四半期92百万円、第3四半期17百万円だった。クリスマス・年末・年始商戦などで上半期(9月~2月)の構成比が高い収益構造である。
通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が72.2%、営業利益が124.7%、経常利益が129.7%、純利益が170.0%である。上半期(9月~2月)の構成比が高い収益構造だが、粗利率の改善も寄与して通期の利益予想は増額余地があるだろう。
さらに来期(16年8月期)はオーケー企画を子会社化する効果も期待される。収益は改善基調だろう。
■株価は地合い悪化の影響を受けたが、収益改善基調を見直し
株価の動きを見ると、210円近辺のモミ合いから下放れの展開となり、8月24日には198円まで調整した。ただし個別の悪材料は見当たらず、地合い悪化の流れに押された形だ。そして売られ過ぎ感を強めている。
8月24日の終値198円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS8円70銭で算出)は22~23倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間5円で算出)は2.5%近辺、そして前期実績PBR(前期実績のBPS285円53銭で算出)は0.7倍近辺である。
週足チャートで見ると再び26週移動平均線を割り込んだが、52週移動平均線がサポートラインとなりそうだ。8月期末一括で2%台の配当利回りや、0.7倍近辺の低PBRも注目点であり、収益改善基調を見直して反発展開だろう。