【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ビューティガレージは悪地合いで急落したが売られ過ぎ感、中期成長力を見直し

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 ビューティガレージ<3180>(東マ)は美容サロン向け美容商材ネット通販の最大手で、開業・経営ソリューション事業も展開している。株価は21日と24日の2日間で合計342円(30.16%)急落した。悪地合いに押されて換金売りが膨らんだ形だが売られ過ぎ感を強めている。16年4月期は大幅営業増益予想で増額含みであり、中期成長力を見直して切り返し展開だろう。なお9月7日に第1四半期(5月~7月)の業績発表を予定している。

■プロ向け美容商材ネット通販の最大手

 プロ向け美容商材ネット通販の最大手である。美容業界に新しい価値を創造し、サロンビジネスの繁栄に貢献することをミッションとして、IT(ネットでの通販)とリアル(ショールームでの販売)を融合連携させたBtoBビジネスモデルである。

 理美容室、エステサロン、ネイルサロン、リラクゼーションサロンなど、全国の美容サロン向けに、業務用理美容・エステ機器(スタイリングチェア、シャンプーユニット、パーマ機器、エステスチーマーなど)や、業務用化粧品・消耗品(ヘアケア製品、エステティック化粧品、マッサージオイル、ネイル商材など)を販売するプロ向け美容商材の物販事業を主力として、サロンの店舗設計デザイン事業、美容サロン開業・経営に関するソリューション事業なども展開している。

 グループ子会社は、店舗設計・施工事業のタフデザインプロダクト、美容師など求人マッチングサイト運営のサロンキャリア、アイラッシュ(まつ毛エクステ)商材卸売および開業・経営支援事業のアイラッシュガレージの3社である。

 中間流通を省いたダイレクト販売と大量一括購入によって実現した国内最安値保証、自社開発の「WEB&リアル店舗連動型」基幹POSシステム、自社物流センターを保有して業界をリードする利便性の高い配送サービス、中古・格安PB商品と開業支援ソリューションで新規開業者を集める仕組み、物販とソリューションのワンストップサービスでリピート利用に繋げる仕組みなども強みとしている。

■オンラインショップのアクティブユーザー数は増加基調

 販売チャネルは、登録会員数約24万口座、取扱商材約65万点で日本最大級のプロ向け美容商材ネット通販サイト「BEAUTY GARAGE Online Shop」を主力として、カタログ通販、全国9拠点のショールームでの販売を展開している。ショールームは中古品の買い取り・メンテナンス拠点としても機能している。

 15年4月期の物販事業の販路別売上構成比は、オンラインショップ経由が58.2%、電話・FAXが21.1%、ショールームへの来店が18.3%だった。オンラインショップ経由が増加基調である。

 また商品別売上構成比はPB機器50.0%、PB化粧品10.1%、NB機器17.2%、NB化粧品18.8%だった。SPA(製造直販)方式で自主開発したオリジナルブランド(PB)が全体の6割超を占めている。

 15年4月期末時点のオンラインショップ登録会員数は14年4月期比3万3412口座増加の23万9470口座で、このうち過去1年に購入履歴のあるアクティブユーザー数は同1万1495口座増加の7万7626口座、アクティブユーザー比率は同0.3ポイント上昇の32.4%となった。

 ソリューション事業では合計11の周辺ソリューションWEBサイトを運営し、15年3月にはサロンの開業・経営・教育に関する各分野のエキスパートによるセミナー情報サイト「BGアカデミー」を開設した。

■サロンコンシェルジュNO.1企業を目指す

 中期経営計画では、高い収益性と継続的な成長を可能とするビジネスモデルを確立し、開業と繁盛を総合支援するサロンコンシェルジュNO.1企業を目指している。そして目標数値に17年4月期の売上高100億円、経常利益7億円を掲げるとともに、一段の認知度・信用力向上に向けて早期の東証1部上場を実現する方針だ。

 成長に向けた重点戦略としては、美容業界のBtoB電子商取引市場における圧倒的NO.1地位を確立するIT戦略、SPA方式活用によって売れる商品を開発するメーカー戦略、リピート商材拡充によりフロー&ストック型収益構造に転換する専門商社戦略、開業支援・経営ソリューション充実によって総合受注を促進するワンストップソリューション戦略を掲げている。

 物販事業では、リピート商材である化粧品・消耗品の販売を拡大するとともに、機器分野ではPB商品、化粧品分野ではNB商品の品揃えを強化する。また物流コスト低減に向けて、16年4月期中を目途として中国にハブ倉庫を新設する予定だ。中国から日本に輸送する商品を、保管料の安い中国のハブ倉庫に一旦集めて検品などを行う。そして保管料の削減、効率的な輸送、不良品の早期発見に繋げる。

■サイト利便性向上や品揃え拡充を強化

 15年6月にはプロ向け美容業界の商材仕入用として国内初となるスマホ用バーコード発注アプリ「BGスマート発注」を導入した。商品に記載されたバーコードやQRコードをスマホで読み取るだけで、商品をカートに入れて発注できるバーコードリーダ機能などを搭載した。美容サロンにおける消耗品などの発注業務を簡素化して担当者の発注業務負担を軽減でき、当社への発注増加に繋げる。

 またクレジット決済サポートサービス「サロン決済ナビ」をオープンした。美容業界最安値クラスの決済手数料で、国内主要クレジットカード会社に対応している。エステサロン専用クレジット決済なども用意して、各サロンに適した決済端末の導入をサポートするサービスだ。

 15年7月にはソニー<6758>が15年2月に発表した肌解析システム「BeautyExplorer」の取り扱いを開始した。エステ・美容サロン、化粧品メーカー、美容関連製品販売店向けに開発された業務用の肌解析システムである。手のひらサイズ肌測定機とクラウドのシステムをリーズナブルな料金設定で当社顧客サロンに提供する。16年4月期業績に与える影響は軽微としているが、当社の品揃え強化や信用力向上に寄与する。

 また15年7月にはインターネットBGM配信サービス「モンスター・チャンネル」の提供も開始した。専用機器、設置工事、著作権手続が不要で、BGMアプリをパソコン、タブレット、スマートフォンにダウンロードして、アンプ、スピーカーを接続するだけで利用できるサービスだ。月額課金収入のビジネスモデルとなる。

■16年4月期も増収増益基調で増額含み

 なお15年4月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(5月~7月)16億70百万円、第2四半期(8月~10月)18億44百万円、第3四半期(11月~1月)16億99百万円、第4四半期(2月~4月)20億62百万円、営業利益は第1四半期51百万円、第2四半期1億25百万円、第3四半期79百万円、第4四半期1億21百万円だった。

 美容サロンの新規開業が春先に集中する傾向があるため美容機器の需要が高まり、当社の収益は第4四半期(2月~4月)の構成比が高いという季節要因があるようだ。また15年4月期のROEは14年4月期比3.5ポイント上昇して18.0%、自己資本比率は同3.3ポイント低下して51.9%だった。

 今期(16年4月期)の連結業績予想(6月9日公表)は、売上高が前期比16.7%増の84億88百万円、営業利益が同24.3%増の4億67百万円、経常利益が同17.0%増の4億58百万円、純利益が同21.2%増の3億01百万円としている。

 品揃え強化、サイトの利便性向上、さらに認知度・信用力向上なども寄与して登録会員口座数およびアクティブユーザー数が増加基調である。6月導入のスマホ用バーコード発注アプリ「BGスマート発注」も寄与して、物販事業が好調に推移するだろう。大手サロンチェーンなどからの店舗設計の受注も増加しているもようであり、増収増益基調が予想される。また会社予想は保守的としているため増額含みだろう。

 なお配当予想については現時点では未定としている。15年4月期(15年5月1日付の株式5分割前)は14年4月期比6円増配の年間24円(期末一括)で配当性向は11.5%だった。16年4月期も増収増益基調であり、増配余地があるだろう。

■株価は地合い悪化の影響を受けたが売られ過ぎ感

 なお6月30日に株式の立会外分売を実施した。分売株式数29万8500株、分売価格1185円だった。東証1部への市場変更における形式要件である株主数の充足を図るために実施した。

 株価の動き(15年5月1日付で株式5分割)を見ると、6月9日の上場来高値1470円から利益確定売りで反落し、概ね1100円~1200円近辺でモミ合う展開だったが、地合い悪化の影響を受けて21日と24日の2日間合計342円(30.16%)急落した。ただし個別の悪材料は見当たらず、悪地合いに押されて換金売りが膨らんだ形だ。そして売られ過ぎ感を強めている。

 8月24日の終値792円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS50円54銭で算出)は15~16倍近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS252円39銭で算出)は3.1倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形となり、一気に52週移動平均線も割り込んだ。ただし日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が30%を超えて売られ過ぎの水準だ。16年4月期は大幅営業増益予想で増額含みであり、中期成長力を見直して切り返し展開だろう。

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