■ミドルリスク・ミドルリターン銘柄に注目
今週の当コラムでは、ミドルリスク・ミドルリターン銘柄に絞ってスクリーニングすることにした。前提の相場シナリオとしては、前週までの半導体関連株の「一強相場」が、米国のデフォルト回避で「多極化相場」に変化することを想定した。参考にしたのは、前週末26日に半導体関連株とともに年初来高値を更新した小型株の2銘柄、OATアグリオ<4979>(東証プライム)と小池酸素工業<6137>(東証スタンダード)である。
※ミドルリスク・ミドルリターンとは、投資した資金が減る可能性がある程度ある一方で、投資した資金に対する利益もある程度期待できることを指す。ハイリスク・ハイリターンとローリスク・ローリターンの中間に位置する投資方法。
両銘柄に共通しているのは、業績が前期業績を再三上方修正し、今期業績も続伸し増配を予定していることであり、OATアグリオは、今12月期業績を早くも上方修正し連続増配幅を拡大させる。両銘柄とも年初来高値追いとなっているがなお割安であり、この類似の小型株、バリュー株が、ミドルリスク・ミドルリターンの有力候補になる。
OATアグリオは、主力製品のグリーンプロダクト向け殺菌剤が、現在、NHKが放映中の朝の人気テレビ小説『らんまん』に関連する。同テレビ小説は、民間植物学者牧野富太郎をモデルにして植物、花きなどがふんだんに登場するだけに関連株への人気波及が期待される。一方、小池酸素も、主力製品の新切断機(DBCファイバーレーザー)の受注が造船業界向けに好調で、この背景には海洋の脱炭素化の環境対応があり、関連株は、舶用エンジン株、舶用機器株、造船株などに広範囲に及ぶ。PER6倍台のOATアグリオ、同5倍台の小池酸素と同様にバリュー株が多いだけに、相場の方向を見定めてじっくり対応して面白そうだ。
■NHKの朝ドラ関連で農薬株、種苗株、花き関連株に上値余地
朝ドラ関連のOATアグリオと類似会社の農薬・肥料株でも、大市場の水稲向けよりも果樹、野菜向けなどに特化している銘柄をコード番号順にあげると、多木化学<4025>(東証プライム)、片倉コープアグリ<4031>(東証スタンダード)、アグロ カネショウ<4955>(東証プライム)、サンケイ化学<4995>(福証)などとなる。このうち片倉コープは、前3月期の過去最高業績、大幅増配から肥料価格の下落を想定して今期業績の大幅減益・減配予想を嫌って年初来安値と売られた。種苗会社の「トルコキキョウ」のF1種子を展開するサカタのタネ<1377>(東証プタイム)のほか、カネコ種苗<1376>(東証スタンダード)、ホーブ<1382>(東証スタンダード)、ベルグアース<1383>(東証スタンダード)などが関連する。
生花関連の花き株では、ビューティ花壇<3041>(東証スタンダード)、アートグリーン<3419>(名証ネクスト)、ユニバーサル園芸社<6061>(東証スタンダード)、大田花き<7555>(東証スタンダード)が上げられ、この多くは、NHKの連続テレビ小説の放映開始とともに高値追いとなってきた。
■海洋脱炭素化関連では船舶エンジン株、舶用機器株などに出番
海洋脱炭素化関連では、水素燃料エンジンの噴射装置などを開発したジャパンエンジンコーポレーション<6016>(東証スタンダード)などの船舶用エンジン株が上げられ、阪神内燃機工業<6018>(東証スタンダード>、赤阪鉄工所<6022>(東証スタンダード)、ダイハツディーゼル<6023>(東証スタンダード)と続き、このうちジャパンエンジンとダイハツディーゼルの割安放置が目立つ。舶用機器・システムでは三菱化工機<6331>(東証プライム)、イーグル工業<6486>(東証プライム)、寺崎電気産業<6637>(東証スタンダード)、古野電気<6814>(東証プライム)が上げられ、このうち三菱化工機はPER7倍台、イーグル工業は同9倍台である。
中堅造船の名村造船所<7014>(東証スタンダード)も内海造船<7018>(東証スタンダード)も、今年5月25日付けの日本経済新聞の米海軍戦闘艦の国内民間造船所での補修報道で動意付いたばかりだが、PERはそれぞれ6倍台、9倍台と割安でミドルリターンが有望視される。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)