高配当ランキング上位株と株式分割銘柄に注目!6月末権利付きでインカムゲインとキャピタルゲインを狙う

銘柄フラッシュ

■半導体関連株が堅調に推移

 今週の当コラムは、「カブはすべて買い」となる前のファーストチョイスとして、インカムゲインを優先しながらキャピタルゲインも期待できるバリュー株に注目することにした。6月期決算会社や12月期決算会社の期末配当や中間配当を手掛かりに高配当ランキングの上位にランクされる銘柄である。期末・中間期末まで約2週間、債券投資の所有期間利回り感覚からすれば資金効率はとくに高くなる。また値幅効果の増幅効果が期待されるのは、この6月末に株式分割の基準日を迎える銘柄である。なかでも時流性のある材料を内包する小型株にはプラスワン効果も期待される。

 6月末権利付きのこの2つの銘柄は、仮に6月中旬の日米中央銀行の金融政策決定会合で市場コンセンサスと異なる金融政策が決定されるとしても、材料そのものは健在で下値耐性、上値特性を発揮してくれそうである。超強気コールとまでいかないが、「6月末権利付き銘柄はすべて買い」にトライするのも一法となりそうだ。

■ランキング常連のJTに続き低PER・PBRの高配当銘柄も有望

 6月期決算会社と中間配当を予定している12月期決算会社のうち、全市場の高配当ランキングの上位にランクインする代表株は、年間配当188円で利回りが6.09%となる常連株のJT<日本たばこ産業、2914>(東証プライム)である。以下5.58%の自重堂<3597>(東証スタンダード)、アーバネットコ-ポレーション<3242>(東証スタンダード)、テクノフレックス<3444>(東証スタンダード)、エーワン精密<6156>(東証スタンダード)、スカラ<4845>(東証プライム)、日本電気硝子<5214>(東証プライム)、CAC Holdings<4725>(東証プライム)、JPMC<3276>(東証プライム)、日本カーボン<5302>(東証プライム)と続き、10位の日本カーボンの年間配当利回りは4.52%と東証プライム市場全銘柄平均の2.36%を大きく上回る。

 合わせて値幅効果期待が高いのは、PER12倍台のJT、7倍台のアーバネットコ-ポレーション、9倍台のテクノフレックス、13倍台のCACなどで、自重堂は、6月期期末配当の300円から500円への大幅増配で年初来高値追いが続いているが、PBRはなお0.73倍にとどまる。

■新NISA対応の1対25分割のNTTのほかインバウンド関連株、「2024年問題」関連株も

 今年6月28日を権利付き最終日に株式分割を予定している銘柄は、現在のところ14社を数える。このうち分割比率が最も大きいのはNTT<日本電信電話、9432>(東証プライム)で、1株を25株に分割する。2024年から導入される非課税優遇限度額が拡大される新NISA(少額投資非課税制度)を踏まえ、投資単位当たりの金額を引き下げてより投資しやすい環境を整え投資家層を幅広い世代に拡大させることを目的としている。また株式分割の権利落ち後の同社株価の理論価格は、100円台の3ケタとなり、東証が示している望ましい投資単位(5万円以上、50万円未満)を下回るが、同社は上場以来これまで3回の株式分割を実施し、単元未満株主が増加しており、投資環境を整え議決権を有する株主として同社株式を保有してもらうことも合わせて目的としている。PERは10倍台、配当利回りは3.09%と割り負けている。

 株式分割権利付きの割安株は、PER12倍台のgooddaysホールディングス<4437>(東証グロース)、PER12倍台の寿屋<7809>(東証スタンダード)、PER6倍台のカンダホールディングス<9059>(東証スタンダード)と続く。寿屋は、インバウンド関連のフィギア株、カンダホールディングスは、物流業界の「2024年問題」関連のトラック株の材料性も内包する。また投資採算的に市場平均をやや上回るが、半導体研磨剤最大手のフジミインコーポレーテッド<5384>(東証プライム)は、半導体関連株として足元の上場来高値水準からさらに上値挑戦に弾みをつけ、PER14倍台のエスケー化研は、PBRが0.77倍台と1倍割れとなっていることも材料視されよう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

 半導体は、携帯電話やパソコン、家電製品から産業機器、電車などの交通インフラなど、あらゆる電機・電子機器に必要な部品である。半導体の市況や動向は景気の先行指標となることがある。特に2023年は年前半からの世界的な半導体不足の影響が大きく、各社は設備投資を活発化させている。

 29日の東京株式市場では、半導体関連株が堅調に推移している。検査装置世界大手のアドバンテスト<6857>(東証プライム)やディスコ<6146>(東証プライム)、ソシオネクスト<6526>(東証プライム)、イビデン<4062>(東証プライム)、信越化学工業<4063>(東証プライム)、東京応化工業<4186>(東証プライム)、HOYA<7741>(東証プライム)、東京エレクトロン<8035>(東証プライム)などが上場来高値を更新し、主要な半導体関連株がそろって続伸している。

■生成AI市場拡大に伴う半導体需要増加を先読み

 このところ生成AI(人工知能)等の市場拡大に伴う世界的な半導体需要の増加を先読みした海外投資家の買いが関連銘柄に継続的に流入して利益確定売りを吸収している。26日のアメリカ株市場では半導体の開発・設計を手掛けるマーベル・テクノロジーが32%高と急伸した。同社のマット・マーフィー最高経営責任者(CEO)が発表資料でAIについて「立ち上げ段階にあるが、関連の売上高は24年1月期が少なくとも2倍となり、その後も数年にわたって急速に成長し続ける」との見方を示したことが材料視された。画像処理半導体(GPU)大手のエヌビディアをはじめ他の半導体関連株もそろって買われ、主要な同関連銘柄で構成されるフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は6.3%高と約1年4カ月ぶりの高水準をつけている。

 この動きが本日の東京株式市場にも波及し、為替の円安進行も追い風となって海外投資家主体の買いが継続している。日経平均は644円12銭高(3万1560円43銭)まで上げ続伸し、バブル後高値を更新し、1990年以来の高水準となった。今後も半導体関連株は好環境を享受するものが多いとみられる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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