■2025年までに年間で約1万2000時間の削減を目指す
総合食品卸売業の日本アクセスは2日、富士通<6702>(東証プライム)が開発したSaaS型AIサービス「Fujitsu買掛照合AIサービス」を、取引メーカーとの買掛照合業務の効率化を目的に導入し、2023年4月から運用を開始している発表。
両社で数カ月間実施したトライアルにおいて買掛照合業務に従事するスタッフ稼働時間の削減効果が確認できたことから、2025年までに年間で約1万2000時間の削減を目指し、運用開始に至った。
日本アクセスは、企業理念である「心に届く、美味しさを『まもる。つなぐ。つくる。』」ことを念頭に、持続可能な社会の実現に向け、富士通と今後もAI技術の活用により人手不足などの業界共通課題の解決など、さらなるデジタルトランスフォーメーション(DX)化を推進していく。
■「Fujitsu買掛照合AIサービス」導入の背景
食品卸売業界では、消費者の多様なニーズに応えるため細分化された多くの取引メーカーとの買掛照合業務に膨大な時間と人手がかかるという共通の課題がある。日本アクセスでは、約80人が手作業で買掛照合業務を行っているが、作業負担の軽減と人為的なミスへの対策が課題だった。こうした業界共通課題や日本アクセス固有の課題を解決するため、AI技術の開発を先駆的に推進している富士通との協働により、同サービスの導入効果や、導入後の業務モデルの検証を重ねてきた。
■手作業による再照合の効率化が可能、スタッフの心理的負担も軽減
経理業務では、食品メーカーなどのお取引先への請求データと自社台帳データの突き合わせを行い、会計帳簿に記載された買掛金の消込作業がある。
同サービスでは、AIが過去の照合実績をもとに商品名や届け先名などを学習し、明細単位での各社請求データと自社台帳データの照合を行い、さらに照合された明細に対しては、一致するデータのパターンによって照合結果の正確性を示す消込確度を提示する。消込確度の高い明細に対しては“確度A”、消込確度の低い明細に対しては“確度E”といった重み付けをすることにより消込確度の高い明細は手作業での照合を簡素化、確度の低い明細はより重点的に確認を行うといった、手作業による再照合の効率化が可能となる。また、照合ミスなどのヒューマンエラー削減にもつながり、スタッフの心理的負担の軽減にも繋がる。
■約600社の取引メーカーが利用予定
両社で数カ月間実施したトライアルにおいてスタッフ稼働時間の削減効果が確認できたことから、2023年4月から運用を開始した。今後、約2年間の移行期間で、約600社の取引メーカーの買掛照合業務において同サービスを利用する予定である。一方で、依然として多くの取引メーカーとの間で、紙の請求書でのやり取りが残っており、これをデータ化していくことで、同サービスの活用範囲の拡大に取り組んでいく。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)