■超強気コールの前に6月末権利付き銘柄にファーストチョイス
さすがに「八百屋の店先の大根以外はカブはすべて買い」などの超強気コールは、まだまだ聞こえない。前週末2日の日経平均株価が連日、バブル経済崩壊後の高値を33年ぶりに更新し、東京プライム市場の90%の銘柄が上昇したにもかかわらずである。肝心の半導体関連の主力株が、揃って急反落したからだ。その後の同2日の米国市場では、ダウ工業株30種平均(NYダウ)が、701.19ドル高と今年最大の上げ幅となり「カブはすべて買い」の超強気コールへの期待を強めそうだが、やはりフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は、0.15%安と小反落した。
しかし、遠からず市場に超強気コールが充満することは想像に難くない。エポックになるのは、日米中央銀行の金融政策決定会合かもしれない。FRB(米連邦準備制度理事会)が、6月13日、14日開催のFOMC(公開市場委員会)で市場コンセンサス通りに政策金利の引き上げを見送り、日本銀行も、6月15日、16日開催の金融政策決定会合で現状維持を決め金融政策の正常化に踏み切らないことが、市場コンセンサスに波風を立てないからである。
「カブはすべて買い」なら乗り遅れてはならない。これまでの勝ち組と負け組に分断された「ウイン-ロス相場」が、どんな銘柄に投資しても値上がりが見込める「ウイン-ウイン相場」へ一変するのである。しかし、これが株式ブームなのか、それを通り越すバブルの兆候なのかは、バブル相場崩壊で痛い目にあった投資家にはななか見分けがつかない。また、銘柄個々には自ずからパフォーマンスの差も生じることになるのは当然となる。そこで大きくキャピタルゲインを稼げるのはグロース株(成長株)かバリュー株(割安株)か、主力大型株か小型材料株かなどなど、投資判断を迫られることにもなる。あるいは、高値追随買いより超強気コールに背を向けて33年間も塩漬けした銘柄の高値でのやれやれ、やれやれの戻り売りをまずは優先するプット選択もあるかもしれない。
■日米金融政策に左右されない高配当・分割銘柄を狙え
そこで今週の当コラムでは、「カブはすべて買い」となる前のファーストチョイスとして、インカムゲインを優先しながらキャピタルゲインも期待できるバリュー株に注目することにした。6月期決算会社や12月期決算会社の期末配当や中間配当を手掛かりに高配当ランキングの上位にランクされる銘柄である。期末・中間期末まで約2週間、債券投資の所有期間利回り感覚からすれば資金効率はとくに高くなる。また値幅効果の増幅効果が期待されるのは、この6月末に株式分割の基準日を迎える銘柄である。なかでも時流性のある材料を内包する小型株にはプラスワン効果も期待される。
6月末権利付きのこの2つの銘柄は、仮に6月中旬の日米中央銀行の金融政策決定会合で市場コンセンサスと異なる金融政策が決定されるとしても、材料そのものは健在で下値耐性、上値特性を発揮してくれそうである。超強気コールとまでいかないが、「6月末権利付き銘柄はすべて買い」にトライするのも一法となりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)