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アイフリークモバイルは調整一巡、24年3月期増収・営業増益予想で収益改善基調
- 2023/6/5 09:16
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
アイフリークモバイル<3845>(東証スタンダード)は、電子絵本アプリや知育アプリなどのコンテンツ事業、および人材派遣のコンテンツクリエイターサービス(CCS)事業を展開している。成長戦略としてブロックチェーン技術を活用したNFTコンテンツ分野に注力し、さらにe-Sports関連サービスの強化に向けて23年5月に子会社を設立した。23年3月期は減収減益だったが、24年3月期は増収・営業増益予想としている。コンテンツ事業では既存サービスの顧客拡大や販路拡大など、CCS事業ではエンジニア育成などを推進する方針だ。積極的な事業展開で収益改善基調を期待したい。株価は動意づいて急伸する場面があったが、買いが続かず安値圏に回帰した。ただしこども関連のテーマ性も評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。
■コンテンツ事業とコンテンツクリエイターサービス事業を展開
携帯電話・スマートフォン向けコンテンツ企画・開発・配信のコンテンツ事業、WEBコンテンツ制作・システム受託開発および人材派遣のコンテンツクリエイターサービス(CCS)事業を展開している。中長期的にはCCS事業を基盤として、コンテンツ事業の収益化によって持続的成長の実現を目指す方針だ。
23年3月期のセグメント別売上高構成比はコンテンツ事業が11%、CCS事業が89%、利益構成比(全社費用等調整前営業利益)はコンテンツ事業が2%、CCS事業が98%だった。
成長戦略としては、CCS事業を基盤にコンテンツ事業の収益化を目指す方針としている。重点施策として、コンテンツ事業におけるユーザー数の拡大、20万点以上のデジタルコンテンツ資産の有効活用、CCS事業における人材確保、専門領域に特化したエンジニアチームの育成、協業先の開拓などを推進する。
■コンテンツ事業は電子絵本アプリや知育アプリなど
コンテンツ事業は、デコメ・絵文字・スタンプ・壁紙などのデジタル素材「デココレ」のほか、電子絵本アプリ「森のえほん館」や知育アプリ「あそびタッチ」などの低年齢層向けファミリーコンテンツ、オリジナル絵文字やグループチャットを搭載したウォレットアプリ「Challet」なども展開している。絵本アプリ「森のえほん館」は500冊以上の作品を収録し、累計130万ダウンロードを記録している。なおデジタルコンテンツは、クリエイター支援WEBサイト「CREPOS」によって約1万人の外部登録クリエイターを組織化し、20万点以上のデジタル資産を有している。
22年12月には、子会社アイフリークスマイルズが運営するYouTubeチャンネル「Popo Kids(ポポキッズ)」で配信している絵本動画が、トーハンが運営する全国書店ネットワーク「e-hon」内に新たに設置されるコーナー「読み聞かせ動画から広がる絵本の世界」に提供開始された。
23年1月には、絵本を読んで語学学習ができるアプリ「なないろえほんの国」の一部機能の無料開放を開始した。定期購読すれば単語帳機能やシール帳機能などの追加機能が利用可能になり、より学習に特化したアプリとして利用できる。23年4月には小学校低学年向けの計算学習アプリ「九九のトライ」iOS版のリニューアルを実施した。
■CCS事業はWEBコンテンツ制作・システム受託開発など
CCS事業は、WEBコンテンツ制作・システム受託開発および人材派遣を展開している。効率的な事業体制構築に向けて、21年1月に孫会社ファンレボの全株式を譲渡、21年2月に子会社アイフリークGAMESを吸収合併、21年6月に子会社リアリゼーションを吸収合併、22年12月にグラングループ(グランディール、グランソル、グランデュオの3社)から技術開発部門の一部を譲り受けた。
また22年10月には、NHN JAPANグループのNHN テコラス社が提供する「テコラス パートナープログラム」に参画した。NHN テコラス社は日本に12社しかないアマゾン ウェブ サービス(AWS)の最上位プレミアティア サービスパートナーとしてAWSを中心としたITインフラ総合支援サービスを提供している。NHN テコラス社が提供する多様なサービスを活用することでビジネス拡大を推進する。
■NFTコンテンツ分野
次世代ブロックチェーン技術を活用したNFT(非代替性トークン)コンテンツ分野も注力している。
20年9月にはミャンマーの新興通信事業者GALAXIA社と、ミャンマーにおけるモバイルコンテンツサービス分野およびシステムインテグレーション分野で業務提携した。20年10月にはRPA導入コンサルティングサービスのITSO社と業務提携、20年11月にはITエンジニア育成EdTechサービスのヒートウェーブと業務提携、20年12月にはAI CROSS社とセールスパートナー契約を締結した。
21年10月には、UUUM<3990>の子会社で次世代ブロックチェーン技術を活用したデジタルトレーディングカード専門のNFTマーケットプレイス「HABET(ハビット)」を運営するFORO社(現NUNW社)と、戦略的業務提携契約を締結した。そして21年11月にはFORO社が運営するNFTマーケットプレイス「HABET」を活用し、クリエイター向けNFT出品支援プログラム「CREPOS NFT 支援プログラム」第1弾を本格始動した。
22年2月には有信アクロス(大阪府吹田市)と障がい児向け知育アプリ提供事業に関する業務提携に向けた基本合意書を締結した。有信アクロスは全国219ヶ所で放課後等デイサービス「ウィズ・ユー」をフランチャイズ展開するとともに、児童発達支援も行っている。そして22年10月には具体的内容として、知育アプリに特化したタブレットのリース事業「知育アプリ提供サービス」の開始を発表した。
22年3月にはJリーグクラブ「ジュビロ磐田」を運営するジュビロとサポーティングカンパニー契約を締結した。同クラブのマスコットキャラクターが登場する電子絵本を共同制作する。
22年6月にはアーティストのためのXRクリエイティブプラットフォーム「STYLY」を運営するPsychic VR Lab社と、メタバース・VR・AR・MR技術を包括する「XR領域」において、アーティスト/クリエイターの発掘・育成支援を目的とする連携を開始した。メタバース事業領域への新たな取り組みとして「CREPOS」クリエイターに向けた特別講義を提供する。
■e-Sports関連サービス
23年2月には、日本のe-Sports業界における受託事業に特化したウェブサイト開設を発表した。ゲーム関連事業が有するノウハウを活用したe-Sports関連サービス(イベント企画・運営・配信・機材貸出・スタッフ派遣等)の提供を通じて、e-Sportsの発展に貢献する方針としている。
23年4月には、e-Sportsプロプレイヤーとして世界的に活躍するaMSa(アムサ)選手とスポンサー契約を締結した。
e-Sports関連サービスの強化に向けて、23年5月には子会社I-FREEK GAMESを設立した。そしてI-FREEK GAMESが、エスティーエーグループの一部事業(ITエンジニアリング部門の一部)を譲り受ける予定(23年4月基本合意書締結、23年7月から段階的に譲り受けを開始して23年11月に譲り受け完了予定)だ。
■23年3月期減収減益、24年3月期増収・営業増益予想
23年3月期の連結業績は、売上高が22年3月期比0.8%減の26億05百万円、営業利益が47.9%減の84百万円、経常利益が42.2%減の1億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が41.3%減の1億48百万円だった。配当は22年3月期と同額の3円(期末一括)とした。配当性向は36.0%となる。
計画を下回り、減収減益で着地した。コンテンツクリエイターサービス(CCS)事業の売上高が計画を下回り、コンテンツ事業の知育アプリリニューアルなどによるコストの増加も影響した。
コンテンツ事業は、売上高が9.1%減の2億73百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が90.7%減の8百万円だった。知育アプリのリニューアル、定期的な新作絵本の配信、知育アプリを搭載したタブレットのレンタル事業などを推進したが、リニューアルコスト、XR領域で活躍するクリエイター育成に関するコストなど、先行投資の影響で減益だった。
コンテンツクリエイターサービス(CCS)事業は、売上高が0.2%増の23億31百万円、セグメント利益が1.0%増の3億33百万円だった。人材採用が計画通り進まなかった影響で計画を下回ったが、前期比では受注が好調に推移した。
なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が6億24百万円で営業利益が22百万円、第2四半期は売上高が6億23百万円で営業利益が12百万円、第3四半期は売上高が6億81百万円で営業利益が27百万円、第4四半期は売上高が6億77百万円で営業利益が23百万円だった。
24年3月期の連結業績予想については、売上高が23年3月期比12.5%増の29億31百万円、営業利益が8.9%増の92百万円、経常利益が42.5%減の86百万円、親会社株主帰属当期純利益が44.4%減の82百万円としている。配当予想は未定としている。
コンテンツ事業では既存サービスの顧客拡大やBtoBへの販路拡大など、CCS事業では専門領域に特化したエンジニア育成などを推進する方針だ。なお23年5月に、e-Sports関連事業に特化した子会社I-FREEK GAMESを設立した。積極的な事業展開で収益改善基調を期待したい。
■株価は調整一巡
株価は動意づいて急伸する場面があったが、買いが続かず安値圏に回帰した。ただしこども関連のテーマ性も評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。6月2日の終値は121円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS4円63銭で算出)は約26倍、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS45円98銭で算出)は約2.6倍、そして時価総額は約22億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)