【編集長の視点】シリコンスタジオは最安値から急反発、「YEBIS」採用などで業績下方修正をリカバリーし売られ過ぎ訂正
- 2015/8/26 11:06
- 株式投資ニュース
シリコンスタジオ<3907>(東マ)は、330円高の3830円と4営業日ぶりに急反発して始まり、前日25日取引時間中につけた上場来安値3350円から底上げしている。同社株は、今年7月3日に今11月期業績を下方修正して株価が急落し、さらに世界同時株安波及の追い討ちで最安値まで売られたが、業績のリカバリー策として下期に計画していたミドルウエアの新規採用や人気ゲームアプリの新規配信がスタートしており、織り込み済みとして売られ過ぎ訂正の買い物が再燃している。今年2月26日に配信したスマートフォン向け新作ゲームアプリ「グランスフィア~宿命の王女と竜の騎士~」が、今年7月10日現在で50万ダウンロードを突破したことも見直されている。
■ミドルウエアの新規採用が相次ぎ人気ゲームアプリの新規配信も
今11月期業績の下方修正は、「ワンダーブロック」で無課金コンテンツのウエイトが増し、今年6月に発売した新作ゲームアプリ「グランスフィア」では、今年7月に予定していたα版、β版の配信が11月に遅れ、他社販売のスマートフォン向けゲームでは、大型受託開発案件が、受託先の計画見直しの影響で失注したことなどで売り上げが期初計画に未達となったことなどが要因となった。今11月期売り上げは、既存タイトルの続伸や世界最高水準の3DCG(コンピューターグラフィックス)技術を駆使するミドルウエアの「OROCHI 3」や「YEBIS 3」の好調推移などで87億200万円(前期比8.0%増)と増収を維持するが、営業利益は、3億6200万円(同57.0%減)、経常利益は3億4800万円(同58.2%減)と減益転換し、純利益は、2億200万円(同60.2%増)と続伸を見込んでいる。
この下方修正に対して同社は、第3四半期以降の収益改善策に拍車を掛け、スマートフォンアプリでは、足元の収益が堅調に推移している「刻のイシュタリア」や「グランスフィア」に重点注力し、ミドルウエアの販売促進を積極化している。ミドルウエア「YEBIS 3」は、今年8月7日、18日にイタリア、米国のゲーム会社のアプリ開発に相次いで新規採用され、ゲームアプリでは、同19日に「刻のイシュタリア」と「グランスフィア」が、楽天アプリ市場向けに配信を開始されるなど急ピッチに改善策が進んでいる。改善策の動向次第では業績上ぶれ期待も高まろう。
■最高値から83%安、4カ月経過し値幅・日柄調整一巡で底上げを支援
株価は、公開価格4900円で新規株式公開され、9900円で初値をつけ上場来高値1万9660円まで買い進まれる高人気となり、業績下方修正で再び初値を下回り、世界同時株安の直撃で上場来安値まで突っ込んだ。値幅的には最高値から約83%安、日柄的にも4カ月経過と調整は一巡し、25日移動平均線からも29%のマイナスかい離と売られ過ぎを示唆しており、一段の底上げを試そう。(本紙編集長・浅妻昭治)