【どう見るこの相場】34年ぶり大リバウンド相場へは外国人投資家、半導体株に次ぎ「なでしこ銘柄」でももう一押し

■日経平均株価がバブルを超えるカタリストとは?

 どんな市場コメントでも、必ずといっていいほどヘッドラインは「33年ぶりの高値更新」で持ち切りである。日経平均株価が、バブル相場崩壊後の2008年10月に6994.90円安値まで大暴落し、そこからようやく3万2000円台までリバウンド、1990年7月以来の高値水準と肩を並べたことへのサプライズと安堵感、あるいは最大限のエールがない交ぜになっているようである。

 バブル相場のピークは、忘れもしない34年前の1989年12月29日の3万8915.87円である。当時のカタリスト(株価材料)となったメーンエンジンいえば「含み資産」であり、牽引した需要主体は、「黒い目の外国人投資家」である。バブルマネーが、「一億総不動産屋」化してボロ株企業の不稼働資産まで時価評価して含み資産株として買い煽った。「黒い目の外国人投資家」とは、「財テクブーム」のなか、スイス市場など海外市場で起債された転換社債やワラント債により調達された不要不急資金が、国内市場に還流し「外国人投資家」としてカウントされたことを指した。

 足元の33年ぶりのリバウンド相場のカタリストとなるメーンエンジンは、「外国人投資家」と「半導体」である。外国人投資家は、米国の著名投資家のウオーレン・バフェットに代表されるように、「黒い目」ではなく正真正銘の「青い目」で、日本株の投資価値を精査したうえでの爆買いのようだ。半導体株買いは、生成AI(人工知能)のイノベーションに期待した先取りである。1989年当時のバブルとは質的に異なってみえる。ただし、この2つのカタリストだけで、リバンド相場がさらにスケールアップして34年ぶりに最高値を目指せるのかは保証の限りではない。実は、あのバブル相場も、「含み資産」と「黒い目の海外投資家」のほかに、好悪、正邪はともかくもう一つのカタリストが、三段目エンジンとしてあったのである。「平和の配当」である。

 1989年11月9日に「ベルリンの壁」が崩壊し、東西ドイツ統合による東ドイツの復興需要を先取りする「平和の配当」が、新たなカタリストとして鳴り物入りで煽り立てられた。このときの日経平均株価は3万2000円台で、その1カ月半後のバブル相場のピークまでさらに3000円超の急騰を演じた。足元のリバウンド相場にも、もちろん「平和の配当」の布石はある。ウクライナとロシアとの和平交渉進展によるウクライナの戦災復興支援が、「平和の配当」期待となるが、ただ巨大ダム決壊の破壊工作でむしろ「平和の無配」への深刻化の方が心配になる。

■岸田内閣が打ち出す「新しい資本主義」で株高加速!注目の政策関連株は?

 それでも第三、第四のカタリストをスクリーニングするとすれば、岸田内閣が、今週16日に閣議決定予定の新しい資本主義」の実現に向けての「骨太の方針」(経済・財政運営の基本方針)がまず目につく。少子化対策、労働市場改革、経済安全保障対策、脱炭素・デジタル化対応の半導体産業や水素産業への投資促進などとヒント満載だからだ。このなかから政策関連株が立ち上がり、カタリストとして名乗りを上げてくれればしめたものである。

 そこで今週の当コラムでは、女性版「骨太の方針」の関連株を、カタリストの有力候補として取り上げることにした。男女平等度合い(ジェンダー・ギャップ指数)が、世界116位と後塵を拝している日本が、女性の社会進出を促し、先行グループにキャッチアップすべく上場会社に2030年までに女性役員を30%に高めるなどの新目標を設定する。「元始、女性は実に太陽であった」の令和版の女性解放運動の「太陽効果」であり、「なでしこ銘柄」のカタリスト化である。経済産業省と東証が、女性活躍度調査から選定した「なでしこ銘柄」や女性が社長の座にある上場会社などを応援し、34年ぶりの大リバウンド相場へ一押しする先買いが、兜町史に名をとどめる歴史的な投資行動となるか、後世の評価に委ねるのも一法となりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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