■女性活躍度が高い上場企業のバリュー株が狙い目
今週の当コラムは、女性版「骨太の方針」の関連株を、カタリストの有力候補として取り上げることにした。男女平等度合い(ジェンダー・ギャップ指数)が、世界116位と後塵を拝している日本が、女性の社会進出を促し、先行グループにキャッチアップすべく上場会社に2030年までに女性役員を30%に高めるなどの新目標を設定する。「元始、女性は実に太陽であった」の令和版の女性解放運動の「太陽効果」であり、「なでしこ銘柄」のカタリスト化である。経済産業省と東証が、女性活躍度調査から選定した「なでしこ銘柄」や女性が社長の座にある上場会社などを応援し、34年ぶりの大リバウンド相場へ一押しする先買いが、兜町史に名をとどめる歴史的な投資行動となるか、後世の評価に委ねるのも一法となりそうだ。
■低PER、PBR1倍割れ、高配当利回りなどバリュー株の宝庫
「なでしこ銘柄」は、経産省、東証が312社の応募のなかから「女性活躍推進」を経営戦略の中でどう位置付けるかを評価ポイントに選定した。今年3月22日発表分が11回目で、女性取締役比率、女性管理職比率、男性育休取得比率などの経営計画の目標値などが精査され、17業種から1社、14社が選定された。今回が初選定となる出光興産<5019>(東証プライム)のほか、7回目(うち準なでしこ銘柄1回)のLIXIL<5938>(東証プライム)などの常連株も含まれる。このなでしこ銘柄では、PERが、東証プライム市場の全銘柄平均を下回るのが9銘柄、PBRが1倍を割るのが9銘柄、年間配当利回りが、全銘柄平均を上回るのが11銘柄などバリュー株の宝庫である。
低PER順に列挙すると商船三井<9104>(東証プライム)のPER5.6倍以下、双日<2768>(東証プライム)、出光興産、アイシン<7259>(東証プライム)、SOMPOホールディングス<8630>(東証プライム)、千葉銀行<8331>(東証プライム)、コマツ<6301>(東証プライム)、古河電気工業<5801>(東証プライム)、東京ガス<9531>(東証プライム)と続き、東京ガスのPERは、13.5倍と全銘柄平均の14.9倍を下回る。景気敏感株、オールドエコノミー株のウエートが高いが、それだけ経営面での女性活躍度、株価面での太陽効果の余地が大きいとみて間違いなさそうだ。
■女性社長の上場会社も業績上方修正、増配、積極的な設備投資と盛り沢山
女性が社長の上場企業では、かつての新規株式公開(IPO)時に女性最年少社長と鳴り物入りでIPOされて高人気となり、現在、低位株価に甘んじているケースもないわけではない。しかし、男性社長に伍して活躍し、ニッチ・トップのポジションをキープする上場企業も数多い。そのなかで割安な銘柄をコード番号順に上げるとバナーズ<3011>(東証スタンダード)、cotta<3359>(東証グロース)、竹本容器<4248>(東証プライム)、SWCC<5805>(東証プライム)、ユーシン精機<6482>(東証プライム)、フジシールインターナショナル<7864>(東証プライム)、エフジー介護サービス<9220>(東証スタンダード)などとなる。
このうちcottaは、今年5月15日に今9月期業績を上方修正して過去最高純益を伸ばし、配当も年間8円と倍増させる。竹本容器は、配当方針として純資産配当率(DOE)4%を採用して今12月期配当を36円に連続増配予定であり、今年3月に新ブロー棟を稼働させ生産能力を倍増させた。SWCCは、前期計上の特別利益一巡で今期純利益は、減益転換予想にあるが、これを除けば実質、連続過去最高となり、年間配当は75円(前期実績60円)と連続増配を予定している。いずれも女性社長の上場会社へのイメージアップ、株価再評価に貢献しよう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)