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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】エフティグループは自己株式取得を発表、3%台の配当利回りも注目して7月高値目指す
- 2015/8/27 08:11
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
エフティグループ<2763>(JQS)法人向けの情報通信機器・環境関連商品の販売を主力としている。株価は地合い悪化の影響で25日に年初来安値1700円まで急落する場面があったが、終値では1933円まで戻し、さらに26日は自己株式取得発表を好感して2053円まで上伸した。自己株式取得、10月1日付株式3分割、16年3月期増収増益基調を評価して7月高値を目指す展開だろう。3%台の高配当利回りも注目点だ。
■法人向けLED照明、ビジネスホン、OA機器などの販売が主力
13年6月にTOBで光通信<9435>の連結子会社となり、15年8月3日付で会社分割によって持株会社へ移行し、社名をエフティコミュニケーションズからエフティグループに変更した。
事業を承継した新設のエフティコミュニケーションズとエフティコミュニケーションズウエストなど傘下の事業会社で、法人事業(中小企業・個人事業主向けLED照明等環境関連商品、ビジネスホン・OA機器・SOHOスモールサーバー等情報通信機器の販売、およびWEB制作サービスやインターネットサービスの提供)、コンシューマ事業(一般消費者向けインターネットサービスの提供、およびドコモショップ運営)を展開している。
■M&Aも積極活用してストック型収益と業容を拡大
LED照明や空調などの環境商材を重点分野と位置付け、中期成長に向けた重点戦略として、定額保守サービスなどストック型収益の積み上げ、M&Aも活用した業容拡大、そして海外展開やプラットフォーム事業も推進している。
M&Aも活用した業容拡大戦略では、13年10月ネットワークセキュリティ機器製造のアレクソンを子会社化、13年11月ビジネスホン・OA機器販売のグロースブレイブジャパンを子会社化、13年12月ノンフロン新自然冷媒ガス販売・施工のニューテックを子会社化、スマートフォン・タブレット端末で個人間プラットフォーム事業・マルチ決済ソリューションを展開する子会社ViewPointを設立、14年9月インターネット事業を担当する子会社アイエフネットがWEBサイト制作の外注先であるアドマウントを子会社化した。
プラットフォーム事業では、スマホカード決済サービス「ペイコレ」や、子会社ViewPointが14年7月開始した中古車個人取引サイト「mieruCAR(ミエルカ)」を強化している。海外展開では14年7月設立したタイ子会社をASEAN地域への事業展開拠点として、LED照明など環境商材の販売を推進している。
15年3月には中古車個人取引サイト「mieruCAR」が日本最大級のインターネットオークションサイト「ヤフオク!」と連携開始した。子会社ViewPointの「mieruCAR」掲載車両を「ヤフオク!」内に設置された「ミエルカストア」に連携出品して個人間売買の活性化を図るとしている。
15年6月には連結子会社アントレプレナーの子会社であるアレクソンの株式を取得すると発表した。持株会社への移行に伴うグループ再編の一環でアレクソンを当社の子会社とする。
■16年3月期第1四半期減収減益だが、ストック型で通期は増収増益基調
15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)82億33百万円、第2四半期(7月~9月)88億68百万円、第3四半期(10月~12月)87億73百万円、第4四半期(1月~3月)89億30百万円で、営業利益は第1四半期9億28百万円、第2四半期10億13百万円、第3四半期10億77百万円、第4四半期10億91百万円だった。ストック型収益の積み上げで営業損益は拡大基調だ。
また15年3月期の配当性向は29.6%だった。ROEは14年3月期比7.5ポイント低下して29.4%、自己資本比率は同4.2ポイント上昇して29.4%となった。
なお今期(16年3月期)から、営業外収益に計上していた受取ロイヤリティーを取引形態ごとに、売上高に関連して獲得するものは売上高に含めて計上し、仕入高に関連して獲得するものは売上原価から控除する方法に変更した。親会社との会計処理の統一を図るとともに、今後も受取ロイヤリティーの規模の拡大が予想される中、取引形態の見直しを行い、経営成績をより適切に表示するために行った。
8月10日に発表した今期(16年3月期)第1四半期(4月~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比2.1%減の80億85百万円で、営業利益が同11.4%減の8億59百万円、経常利益が同12.3%減の8億63百万円、純利益が同6.7%減の5億58百万円だった。
15年2月からNTT東日本・NTT西日本による光回線卸売サービスである光コラボレーションモデルが開始され、当社においても法人事業では「FT光」、コンシューマ事業では「ひかり速トク」として、当社インターネット接続サービスである「アイエフネットインターネットサービス」とのセットプランを積極的に販売した。従来のフレッツ光獲得時に得られる取次販売と異なり、ユーザーの利用に応じて毎月継続的に収益が得られるストック型サービスのため、一時的に売上および利益が減少した。
セグメント別(連結調整前)に見ると、法人事業は売上高が同1.4%増の70億13百万円、営業利益が同13.1%増の10億71百万円、コンシューマ事業は売上高が同21.5%減の11億83百万円、営業利益が1億16百万円の赤字(前年同期は91百万円の黒字)だった。
通期の連結業績予想は前回予想(5月14日公表)を据え置いて売上高が前期比8.7%増の380億円、営業利益が同11.4%増の50億円、経常利益が同10.2%増の50億円、純利益が同8.3%増の30億円としている。事業別売上高の計画は法人事業が同8.7%増の320億円、コンシューマ事業が同0.6%増の60億円としている。
法人事業ではLED照明、自然冷媒ガス、SOHO向けスモールサーバー、ビジネスホンなどの拡販に取り組むほか、工場向けのライン監視カメラ・センサーといった監視装置関連の需要増加に対応して施工管理体制を強化する。
コンシューマ事業では、NTT東日本・NTT西日本による光回線卸売サービスである光コラボレーションモデル開始に伴って、FVNO(仮想固定通信事業者)として自社ブランドの法人向け光回線サービス「FT光」およびコンシューマ向け光回線サービス「ひかり速トク」の拡販を推進する。
通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が21.3%、営業利益が17.2%、経常利益が17.3%、純利益が18.6%である。低水準の形だが、法人事業においてはマイナンバー制度への対応やセキュリティニーズの高まりを受けて、ファイルサーバー・UTM(総合脅威管理システム)の販売が好調のようだ。ストック型収益の積み上げや積極的な事業展開で増収増益基調だろう。
なお配当予想については7月17日に株式3分割(15年10月1日付)に伴う修正を発表した。修正後の配当予想は株式3分割前の第2四半期末が30円、株式3分割後の期末が14円とした。
株式3分割前に換算すると年間72円(第2四半期末30円、期末42円)となり、前回予想(5月14日公表)の年間70円(第2四半期末30円、期末40円)に対して2円増額、また前期の年間70円(第2四半期末30円、期末40円)に対して2円増配となる。予想配当性向は28.2%となる。
株主への利益還元については、企業価値の最大化を図り、当社の健全な財務基盤確立に必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続的に実施することを基本方針としている。
■株価は地合い悪化の売り一巡、自己株式取得など好感して7月高値目指す
なお7月17日に株式分割を発表した。15年9月30日を基準日(効力発生日15年10月1日)として1株を3株に分割する。
また8月26日に自己株式取得を発表した。取得株式総数の上限20万株、取得価額総額の上限5億円、取得期間15年8月27日~15年9月30日としている。
株価の動きを見ると、株式分割と配当増額修正を好感した7月21日の年初来高値2500円から反落して2200円~2300円近辺でモミ合う展開だったが、地合い悪化の影響を受けて8月25日に年初来安値となる1700円まで急落する場面があった。ただし25日は終値で1933円まで戻した。さらに26日は取引時間中に発表した自己株式取得を好感して2053円まで上伸した。
8月26日の終値2032円を指標面(10月1日付の株式3分割前)で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS255円57銭で算出)は8倍近辺、今期予想配当利回り(株式3分割前換算の会社予想の年間72円で算出)は3.6%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS890円49銭で算出)は2.3倍近辺である。
週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んだが長い下ヒゲをつける形となった。地合い悪化による目先的な売りが一巡し、自己株式取得、10月1日付株式3分割、16年3月期増収増益基調を評価して7月高値を目指す展開だろう。3%台の高配当利回りも注目点だ。