【どう見るこの株】日本ハウスホールディングスは、23年10月期減収減益予想だが24年10月期収益拡大期待

 日本ハウスホールディングス<1873>(東証プライム)は、住宅事業(在来型木造注文住宅やリフォーム工事など)を主力に、ホテル事業(ホテル及びレストランの運営)や、その他事業(太陽光発電事業)も展開している。中期経営計画「飛躍6ヶ年計画」では最終年度27年10月期のグループ合計受注高700億円を目指している。23年10月期は消費マインド低下や資材価格高騰などの影響で減収減益予想となったが、24年10月期は積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は反発力の鈍い展開だが大きく下押す動きも見られず、1月の年初来安値を割り込むことなく推移して調整一巡感を強めている。1倍割れのPBRも評価材料だろう。出直りを期待したい。

■住宅事業を主力にホテル事業も展開

 旧東日本ハウスが2015年に現社名に商号変更した。住宅事業(在来型木造注文住宅および集合住宅の請負建築工事、リフォームの請負工事、分譲住宅および宅地の販売、分譲マンション「WAZAC(ワザック)」シリーズの販売など)を主力に、ホテル事業(ホテル及びレストランの運営)や、その他事業(太陽光発電による電力会社向け売電)も展開している。

 22年10月期のセグメント別売上高構成比は住宅事業が93.2%、ホテル事業が6.4%、その他事業が0.4%、営業利益(全社費用等調整前)構成比は住宅事業が116.8%、ホテル事業が▲20.5%、その他事業が3.7%だった。

 22年10月期の住宅事業の受注高は888棟・戸の324億32百万円で、事業部別には日本ハウス事業部の注文住宅が789棟・239億84百万円、賃貸住宅が4棟・1億87百万円、リフォーム事業部が46棟・68億21百万円、マンション事業部が49戸・14億40百万円だった。

 住宅事業の地域別完工棟数および構成比(単体ベースの22年10月期実績)は北海道が190棟で21.1%、東北が227棟で25.2%、関東甲信が120棟で13.3%、北陸が68棟で7.5%、首都圏が115棟で12.8%、東海・関西が89棟で9.9%、中国・四国・九州が92棟で10.2%だった。積雪の多い北海道・東北地域の構成比が高いため、完工が下期(5月~10月)に集中し、売上および利益も下期に偏重する季節特性がある

 ホテル事業は22年10月期末時点で、シティホテル1施設、リゾートホテル6施設(22年2月開業の「ホテル四季の館 箱根芦ノ湖」含む)を運営している。22年10月期の宿泊稼働率はシティホテルが55.7%、リゾートホテルが15.1%、合計が23.7%だった。コロナ禍の影響で低水準だったが、行動制限緩和に伴って徐々に回復傾向となっている。なお22年12月に「ホテル森の風 箱根仙石原」を開業した。

■中期経営計画「飛躍6ヶ年計画」

 中期経営計画「飛躍6ヶ年計画」(22年10月期~27年10月期)では、前半の3ヶ年を「翔け 未来3ヶ年計画」、後半の3ヶ年を「飛躍 未来3ヶ年計画」と位置付けて、目標数値には最終年度27年10月期のグループ合計受注高700億円(日本ハウス事業部400億円、リフォーム事業部100億円、マンション事業部100億円、子会社の日本ハウス・ホテル&リゾート他100億円)を掲げている。また、重視する経営指標として、中長期的に安定して営業利益率8%以上を目指すとしている。

 重点戦略として、組織改革(新役員制度導入、住宅統括本部の再編など)、商品改革(高断熱・高気密ゼロエネの家「環境にやさしい、脱炭素化社会の住宅」など)、広告改革(檜ブランディング推進、グループホテルの魅力紹介など)、出店・出展計画改革(住宅総合展示場の強化など)、営業改革と社員生産性向上改革(営業組織構築や能力向上など)を推進している。

■23年10月期は減収減益予想だが24年10月期収益拡大期待

 23年10月期の連結業績予想(23年6月8日付で下方修正)は、売上高が22年10月期比6.0%減の402億円、営業利益が3.3%減の24億40百万円、経常利益が6.9%減の21億70百万円、親会社株主帰属当期純利益が17.9%減の12億10百万円としている。配当予想は22年10月期比8円減配の12円(第2四半期末6円、期末6円)としている。予想配当性向は39.7%となる。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比14.6%減の132億35百万円、営業利益が18億53百万円の損失(前年同期は5億83百万円の損失)、経常利益が19億87百万円の損失(同6億55百万円の損失)、親会社株主帰属四半期純利益が20億25百万円の損失(同7億26百万円の損失)だった。

 期初計画(売上高145億円、営業利益8億30百万円の損失、経常利益9億60百万円の損失、親会社株主帰属四半期純利益11億円の損失)を下回る減収、損失拡大で着地した。

 売上面では、住宅事業の期首受注残高が前期の期首と比較して減少していたことに加えて、当期の受注棟数・金額も減少(単体ベース受注高は11.0%減の137億06百万円)したため減収だった。利益面は売上高の減少に加えて、資材価格高騰なども影響した。住宅事業は、売上高が19.2%減の115億45百万円で、営業利益(全社費用等調整前)が10億93百万円の損失(前年同期は2億98百万円の利益)だった。

 ホテル事業は、売上高が42.3%増の16億16百万円で、営業利益が3億90百万円の損失(同4億79百万円の損失)だった。22年2月開業の「ホテル四季の館 箱根芦ノ湖」および22年12月開業の「ホテル森の風 箱根仙石原」が寄与して大幅増収となり、営業損失がやや縮小した。なお宿泊稼働率はシティホテル(1施設)が60.0%、リゾートホテル(6施設)が17.9%、合計が26.1%だった。22年12月開業の「ホテル森の風 箱根仙石原」の宿泊稼働率は21.2%だった。

 その他事業(太陽光発電事業)は売上高が0.6%増の73百万円で、営業利益が0.8%増の55百万円だった。

 通期予想は期初予想に対して売上高を26億円、営業利益を5億80百万円、経常利益を5億70百万円、親会社株主帰属当期純利益を3億20百万円、それぞれ下方修正した。住宅事業において、資材価格高騰に伴う住宅価格上昇や物価高による消費マインド低下の影響を受け、受注高および建売販売が減少し、売上高が期初計画を下回る見通しとなった。

 通期(単体ベース)の受注高は3.8%減の312億円(受注棟数は3.2%減の860棟)の計画としている。下期の重点施策として、商品戦略では高断熱・高気密ゼロエネの家「環境にやさしい、脱炭素化社会の住宅」の拡販、創業55周年企画として「匠の技クレステージS」セミオーダー型厳選18プランの拡販、マンション事業で工事中の「ワザック大和中央」「ワザック西新井大師西」の販売促進、ホテル事業のリゾートホテル対策としての直接予約や団体予約の拡大、シティホテルでのディナーショー強化、SDGsへの取り組みを推進する。

 23年10月期は消費マインド低下や資材価格高騰などの影響で減収減益予想となったが、24年10月期は積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株価は調整一巡、1倍割れのPBRも評価材料

 株価は反発力の鈍い展開だが大きく下押す動きも見られず、1月の年初来安値を割り込むことなく推移して調整一巡感を強めている。1倍割れのPBRも評価材料だろう。出直りを期待したい。6月23日の終値は374円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS30円25銭で算出)は約12倍、今期予想配当利回り(会社予想の12円で算出)は約3.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS572円91銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約150億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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