シナネンHD、EVのワイヤレス充電技術を有する米ワイトリシティ社と日本展開で基本合意
- 2023/6/26 13:38
- IR企業情報
■事業子会社シナネンが輸入や一般向け販売業務など目指す
シナネンHD(シナネンホールディングス)<8132>(東証プライム)は6月26日朝、EV(電気自動車)のワイヤレス充電システムの生産・販売を展開するWiTricity Corporation(本社:アメリカ・マサチューセッツ州、CEO:Alex Gruzen、ワイトリシティ社)と、今後の協力関係に関する基本合意を締結したと発表し、ワイトリシティ社の日本展開における事業パートナーとして、子会社であるシナネン株式会社がワイトリシティ製品の日本国内への輸入から、一般向けへの販売業務などを目指すとした。
■EVを送電パッド上に停め、エンジンを切るだけで自動で給電開始
今回の基本合意締結により、EVへの非接触充電システムの提供が加わることで、法人・個人における脱炭素化に向けたサービスメニューの強化が実現する。シナネンHDの26日の株価は、朝の取引開始から動意活発となり、前場4%高の3880円(145円高)まで上げた。後場も3850円(115円高)で始まり、約5か月ぶりの3900円に向けて上値を指向している。
■将来は道路内に埋め込んで走行中の充電も視野に
ワイトリシティ社は、マサチューセッツ工科大学(MIT)でEVのワイヤレス充電技術を開発していた研究室のメンバーがスピンアウトし、2007年に設立した先端技術企業。同社のワイヤレス充電システム『WiTricity Halo』は「磁界共鳴方式」を採用し、地上に設置された送電パッドと、EVに取り付けられた受電パッド(レシーバー)との間で、磁界を共鳴させることで電力を供給する。
EVと充電機器とをコードでつなぐ必要がなく、EVを送電パッドの上に停車させ、エンジン(パワースイッチ)を切るだけで、自動で給電が開始される。標準伝達電力は11kwで、ケーブルが必要なレベル2充電システムと同等の電力転送効率、充電時間で充電が可能。車両側レシーバーは、PHEV、BEVなどに適用でき、既存のEVへの後付けも車種によっては可能になっている。
また、V2H(Vehicle to Home)やV2G(Vehicle to Grid)の技術を用いて、常にEVをワイヤレスで繋げておくことで可能にする、分散電源・非常電源としての活用ほか、将来は充電装置を道路内に埋め込んで設置することによる、走行中充電も期待されている。
■ウォールボックス
ウォールボックスには、グリッド供給を充電パッドに供給する高周波エネルギーに変換するために必要な高出力電子機器が設置されている。
■送電パッド(地上パッド)
送電パッドには、一次コイルと、そのフェライト、シールド、およびウォールボックスからの高周波エネルギーを車両受信機に効率的に転送するために磁場に変換する共振整合ネットワークが格納されている。
■レシーバー(車両受信機)
車両に搭載された受信機は、送電パッドが生成する磁場からエネルギーを取得し、そのエネルギーを直流電流に変換し、電気自動車に電力を供給することでバッテリーを充電する。
ワイトリシティ社は、ワイヤレス充電技術について、1300件以上の世界的な特許を所有している。これまでは自動車メーカーや電力機器メーカーをはじめとするライセンシー企業による実装を行ってきたが、さらに、『WiTricity Halo』の地上側送電パッドや車両側レシーバー等の生産を開始することに伴い、WiTricityブランドによる一般販売開始を目指している。
これに合わせて、日本市場においてもWiTricityブランドの製品販売を展開するため、シナネンホールディングスとワイトリシティ社との間で協力関係の構築に関する基本合意を締結した。
■WiTricity製品の輸入から販売まで一貫して担う日本展開のパートナー
シナネンHDでは、ワイトリシティ社の日本展開における事業パートナーとして、子会社であるシナネン株式会社がWiTricity製品の日本国内への輸入から、一般向けへの販売業務などを目指す。また、シナネンおよびグループ会社のリソースを活用し、既存EV車両へのレシーバーの設置、ウォールボックスおよび送電パッドを兼ね備えた充電場所の設置・普及等も推進していく。
シナネンHDグループは、現在取り組む第三次中期経営計画において「脱炭素社会の実現に貢献する総合エネルギー・ライフクリエイト企業グループへの進化」をビジョンに掲げ、再生可能エネルギー事業やクリーン電力の販売事業等の取り組みを積極的に推進している。今回の基本合意締結により、EVへの非接触充電システムの提供が加わることで、法人・個人における脱炭素化に向けたサービスメニューの強化が実現する。
シナネンHDグループは、今後、ワイトリシティ社と連携しながら、国内におけるワイヤレス充電システムの普及を通じてEVの活用を広めていくとともに、脱炭素社会の実現ならびに持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献していくとしている。(HC)(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)