トレジャー・ファクトリーは上値試す、24年2月期増収増益予想、さらに上振れの可能性で収益拡大基調

トレジャー・ファクトリー<3093>(東証プライム)は、総合リユース業態トレジャーファクトリーや服飾専門リユース業態トレファクスタイルを主力として、リユースショップを複数業態で全国展開している。成長戦略としてSDGsを推進するとともに、グループ一体となって生活に密着したリユースの総合プラットフォーム構築を目指している。24年2月期は増収増益で連続増配予想としている。既存店売上が順調に推移しており、会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は4月の上場来高値圏から反落して上値を切り下げる形となったが、利益確定売り一巡感を強めている。週足チャートで見ると支持線の13週移動平均線が接近してきた。上値を試す展開を期待したい。なお7月12日に24年2月期第1四半期決算発表を予定している。

■リユースショップを複数業態で全国展開

総合リユース業態トレジャーファクトリーや服飾専門リユース業態トレファクスタイルを主力として、リユースショップを複数業態で首都圏・直営店中心に全国展開している。

さらに周辺事業・新規事業としてBtoBライブネットオークション事業、引越・買取サービスのトレファク引越事業、不用品買取だけでなく不動産売買・仲介も行うトレファク不動産事業、終活・生前整理サービスのレガシー事業、ドレスやブラックフォーマルをレンタルするECレンタル事業「Cariru」なども展開している。生活に密着したリユースの総合プラットフォーム構築を目指し、マルチブランドの業態展開による販売力やマルチチャネルによる仕入力を強みとしている。

19年1月にはシステム開発のデジタルクエストを子会社化、20年2月にはAIアプリのXZ(クローゼット)運営のSTANDING OVATIONと資本業務提携、20年10月には静岡県内でリユースショップ直営店12店舗を展開するピックアップジャパンを子会社化した。22年2月には子会社トレファクテクノロジーズを設立してデジタルクエストのシステム開発受託事業を承継した。

23年4月末時点の店舗数はグループ合計244店舗(タイ3店舗、台湾1店舗を含むトレジャーファクトリーが82店舗、トレファクスタイルが74店舗、トレファクスポーツアウトドアが7店舗、ユーズレットが9店舗、トレファクマーケットが1店舗、ブランドコレクトが6店舗、子会社のカインドオルが37店舗、ゴルフキッズが15店舗、ピックアップが13店舗)となっている。このうち直営店は210店舗である。

海外はタイ(16年3月進出)のバンコクで直営店3店舗を展開し、22年2月期に単年度黒字化した。台湾では21年4月に設立した現地法人Treasure Factory(Taiwan)が22年12月に1号店をオープンした。台湾においても複数店舗のドミナント展開を目指すとしている。

なお収益面では引越シーズンで単価の高い生活家電や家具の構成比が高まる第1四半期(3月~5月)の利益率が高くなり、単価の低い夏物衣料が主力となる第2四半期(6月~8月)の利益率が低くなる季節特性がある。

■新規出店やM&Aで成長加速

中期経営計画(ローリング方式、24年2月期~26年2月期)は、前回計画に比べて24年2月期および25年2月期の計画を上方修正した。そして最終年度26年2月期目標値に売上高393億円、経常利益36.7億円、経常利益率9.3%、親会社株主帰属当期純利益24.3億円を掲げている。25年2月期および26年2月期の既存店売上(単体ベース)と売上総利益利率の前提は不透明感を考慮して直前期並み、年間出店数の計画は24年2月期と25年2月期が25~30店舗、26年2月期が30~35店舗としている。投資計画は3年累計で約33億円~34億円(新店にかかる店舗設備や敷金など)の見通しとしている。株主還元については配当性向目標を30%以上とした。

基本方針として、リユース事業の成長、新規事業への投資、海外市場での成長、M&Aによる成長、DX投資による成長を掲げている。SDGsを推進するとともに、さらなる成長が見込まれるリユース市場においてグループ一体となってリユース・ネットワークの拡大を推進する。そして生活に密着したリユースの総合プラットフォーム構築を目指している。

リユース事業の成長では、グループ全体で複数業態を組み合わせて年間25~35店ペースの出店を継続し、リユースのネットワークを拡大する。さらに多店舗体制構築に向けた採用・教育の強化、更なる新業態開発、グループのリユース会社の収益改善を推進する。

新規事業への投資では、関東と関西の物流拠点の拡張によるBtoBライブネットオークション事業の本格展開、買取と引越をセットで行う独自の買取引越事業の成長加速、レンタル事業への継続投資と新たな柱への育成を推進する。

海外事業では、タイ事業(21年11月期に単年度黒字化)の利益体制の構築と新規出店、および台湾への進出を推進する。M&Aでは、既存事業とのシナジー効果や新たな収益事業につながるM&Aを積極的に検討する。DX投資では、自社システム部門およびシステム子会社の開発力を活用し、業務効率化、査定効率化、新たな買取機会・販売機会創出などを推進する。

M&A・アライアンスでは、22年2月に終活・生前整理分野「Regacy」において、相続対策プラットフォームの「はなまる手帳」を運営するはなまる手帳と業務提携した。22年3月にはALBERT<3906>と共同で、EC出品のために撮影した衣類画像から必要な情報をAIが自動入力する「クロスキャナ」を開発し、トレファク店舗での本格導入を開始した。EC出品業務にかかる「ささげ作業」の大幅な効率化を図り、システム導入前との比較でEC出品点数の10%増加を目指す。22年9月には東急コミュニティーの住み替えサービス「たくす」との連携を開始した。

■23年2月末時点でプライム市場上場維持基準に適合

22年4月に実施された東京証券取引所の市場再編ではプライム市場を選択し、プライム市場上場維持基準適合に向けた計画書を開示している。中期経営計画で掲げた各種取組を推進し、業績目標の達成、株主還元の拡充、コーポレートガバナンスの充実などによって継続的に企業価値の向上(時価総額の増大)を図り、25年2月期末までにプライム市場上場維持基準への適合を目指すとしている。

そして23年3月にプライム市場上場維持基準適合に向けた計画書の進捗状況をリリースした。21年6月30日の移行基準日時点ではプライム市場上場維持基準のうち流通株式時価総額が基準を充たしていなかったが、23年2月28日時点においてプライム市場の上場維持基準の全ての項目で適合した。今後も中期経営計画達成に向けた経営方針の実行に注力し、持続的な業績向上と企業価値増大に取り組むとしている。

■24年2月期増収増益予想、さらに上振れの可能性で収益拡大基調

24年2月期の連結業績予想は、売上高が23年2月期比11.9%増の315億60百万円、営業利益が11.4%増の28億57百万円、経常利益が9.6%増の28億74百万円、親会社株主帰属当期純利益が9.2%増の18億68百万円としている。配当予想は21円(第2四半期末10円、期末11円)としている。23年3月1日付の株式2分割遡及修正後で23年3月期(18円50銭)比2円50銭増配となる。連続増配予想で予想配当性向は26.0%となる。

新規出店(連結ベース)は25店舗前後、既存店売上(単体ベース)は第1四半期が海外客の本格回復で免税売上増加が見込まれるため前年比107.0%、第2四半期以降は不透明感を考慮して前年並み、売上総利益率は通期を通じて前年並みの前提としている。コスト面では人件費の増加(単体ベース23年4月新卒入社115名、前期に続いて従業員給与ベースアップ実施)や電気代の増加などを見込んでいる。既存店売上が順調に推移しており、会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

月次売上状況(単体直営店の店舗売上、前年同月比速報値)を見ると、23年5月は全店が116.2%、既存店が107.6%だった。前年よりも休日が1日少なかったが、気温が高く推移したことにより夏物衣料の販売が好調に推移した。外国人観光客向けブランド品、生活家電、ホビー用品なども堅調だった。既存店売上は21年9月から21ヶ月連続前年比プラスと好調が続いている。なお3月~5月累計の新規出店は5店舗だった。

■株主優待制度は毎年2月末の株主対象

株主優待制度は毎年2月末時点の1単元(100株)以上保有株主を対象として実施(詳細は会社HP参照)している。

■株価は上値試す

株価(23年3月1日で株式2分割)は4月の上場来高値圏から反落して上値を切り下げる形となったが、利益確定売り一巡感を強めている。週足チャートで見ると支持線の13週移動平均線が接近してきた。上値を試す展開を期待したい。6月27日の終値は1607円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS80円62銭で算出)は約20倍、今期予想配当利回り(会社予想の21円で算出)は約1.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS291円34銭で算出)は約5.5倍、そして時価総額は約391億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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