【どう見るこの株】フォーライフは下値固め完了、24年3月期増収増益予想

 フォーライフ<3477>(東証グロース)は、横浜・川崎・東京23区の人気エリア(特に東急東横線沿線)における新築戸建の分譲住宅事業を主力としている。居住性・利便性・資産性を兼ね備えた一次取得者向けの高品質・手頃価格の都市型コンパクト住宅を提供している。24年3月期は土地仕入・資材価格高騰による原価上昇が継続するが、堅調な用地仕入を背景に小幅ながら増収増益予想としている。積極的な事業展開で中期的に収益拡大基調だろう。株価は年初来安値圏でモミ合う形だが、大きく下押す動きは見られず下値固め完了感を強めている。1倍割れの低PBRも評価材料であり、出直りを期待したい。

■横浜・川崎・東京23区の人気エリアにおける分譲住宅事業が主力

 横浜・川崎・東京23区の人気エリア(特に東急東横線沿線)における新築戸建住宅企画・開発・販売(分譲住宅事業)を主力として、さらなる成長に向けて新築戸建住宅の建築請負(注文住宅事業)や、関西圏(京都)でのマンションリノベーション(再生住宅事業)なども展開している。

 特徴・強みとしては、ターゲット市場を横浜・川崎・東京23区の人気エリアの通勤圏内・駅徒歩圏内、居住性・利便性・資産性を兼ね備えた一次取得者向け都市型コンパクト住宅(都市型×3階建×低価格)に絞り込むとともに、地域の不動産仲介会社との紐帯関係による仕入販売体制確立、セグメント事業間におけるリソース有効活用とシナジー創出、年間350棟超のスケールメリットを活かした資材一括調達によるコスト抑制、競争優位性と成長を支える高水準の財務健全性と効率性など「調達力×企画・施工力×コスト抑制力」によって、高品質な住宅を手頃価格で提供している。

 なおTVCMや大規模広告を行わず、インターネット媒体を有効活用することで広告宣伝費を抑制するとともに、自社販売部門を持たず、土地を仕入れた不動産会社に販売を委託することで販売コストを削減している。

 23年3月期のセグメント別売上高は分譲住宅事業が114億92百万円、注文住宅事業が22億71百万円、その他(再生住宅事業および既存顧客の少額工事)が3億50百万円、営業利益は分譲住宅事業が9億09百万円、注文住宅事業が▲7百万円、その他が▲15百万円、全社費用等調整額が▲4億98百万円だった。引渡棟数は分譲住宅事業が257棟、注文住宅事業が99棟だった。

■成長戦略

 成長戦略としては、市場の拡大と商品・業域の拡充により地域NO.1の「住まい創造カンパニー」を目指すとしている。

 具体的な戦略としては、エリアの拡大(東京23区の販路拡大と京都を起点とした関西エリア展開)、顧客層の拡大(建て替え、二次取得、相続地活用ニーズなどの取り込み)、分譲住宅事業の深耕(基盤事業である分譲住宅事業の強靭化・強固な収益基盤確保、地域における自社ブランドのシェア拡大)、住宅事業の多角化(オーダーメイド分譲住宅、土地付き注文住宅、リノベーション住宅など多様化する住まいのニーズに対応した住宅の提案)、注文住宅事業の成長加速(顧客接点や集客力の強化による受注拡大、パターンオーダー・フルオーダー展開による効率性・収益性強化)などを推進する。

 中期的に目標とする経営指標としては、売上高CAGR(年平均成長率)20%、営業利益率6.0%以上、ROE(自己資本利益率)16%~18%、そして住宅供給数が前年比120%以上を掲げている。

■24年3月期は小幅ながら増収増益予想

 24年3月期の業績(非連結)予想は売上高が23年3月期比6.3%増の150億円、営業利益が5.6%増の4億10百万円、経常利益が4.1%増の3億50百万円、当期純利益が1.8%増の2億40百万円としている。配当予想は17円50銭(期末一括)としている。22年10月1日付株式2分割遡及換算後で23年3月期(第2四半期末7円50銭、期末10円)と同額で、予想配当性向は29.2%となる。

 土地仕入・資材価格高騰による原価上昇が継続するが、堅調な用地仕入を背景に小幅ながら増収増益予想としている。セグメント別売上高は分譲住宅事業が4.4%増の120億円、注文住宅事業が10.1%増の25億円、その他が42.8%増の5億円、引渡棟数は分譲住宅事業が291棟、注文住宅事業が106棟の計画としている。分譲住宅事業は得意エリアに絞った展開で下期以降の収益改善を目指す。注文住宅事業は横浜エリア、2階建、建て替え層の取り込みによって受注拡大を目指す。

 また足元の事業環境を勘案し、24年3月期は次の成長ステージに向けた基盤固めの時期と位置付けて、収益力回復に向けた事業体制および組織づくりに専念する方針としている。重点施策としては、パーパス(22年10月制定)経営推進や人財の採用・育成など人的資本への投資強化、建築資材のコストコントロール強化や施工管理業務の分業化推進など建築部門の強化、良質な仕入による収益力回復や京都エリアでの住宅事業展開加速など住宅営業部門の強化を推進する。積極的な事業展開で中期的に収益拡大基調だろう。

■株主優待制度

 株主優待制度は、毎年3月末時点で100株(1単元)以上保有株主を対象に、保有株式数に応じてフォーライフ・プレミアム優待倶楽部で使用できる株主優待ポイント、および住宅購入時のキャッシュバックを贈呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は下値固め完了

 株価は年初来安値圏でモミ合う形だが、大きく下押す動きは見られず下値固め完了感を強めている。1倍割れの低PBRも評価材料であり、出直りを期待したい。6月30日の終値は614円、今期予想PER(会社予想のEPS60円01銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の17円50銭で算出)は約2.9%、前期実績PBR(前期実績のBPS840円61銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約25億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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