【編集長の視点】久世は安値から3連騰、黒字転換業績を見直し内需割安株買いが増勢

編集長の視点

久世<2708>(JQS)は、7円高の707円と3日続伸して始まり、8月25日、26日に顔合わせした年初来安値から底上げをしている。寄り付き後は6円安と下ぶれ、前日終値を挟んでもみ合いを続けているが、世界同時株安の波及で売られ安値を再確認しダメ押しをし、今3月期業績の黒字転換業績を見直し下げ過ぎとして内需割安株買いが下値で根強く増勢となっている。今年9月8日から9日まで「久世展示会」を開催し、主力顧客先の外食産業向けにメニュー提案を行うことなども、業績期待を高めサポート材料視されている。

■メニュー提案で新規顧客を開拓しグループ会社との連携も強化

同社は、外食・中食業界を顧客にする業務用食材卸で、前3月期業績は、消費税増税後の節約志向や急激な円安に伴う原材料価格の上昇などが響いて、創業後、初の赤字決算となった。これに対して今期業績は、売り上げ637億円(前期比6.4%減)、営業利益1億2000万円(前期は3億6500万円の赤字)、経常利益2億3500万円(同1億9900万円の赤字)、純利益2億2000万円(同4億1200万円の赤字)と黒字転換を見込んでいる。推進中の中期経営計画に基づき、首都圏、関西圏、中部圏の3大都市圏で食材卸のナンバーワンを目指して、毎月1回開催の食材セミナーや半年に1回開催する「久世展示会」などで顧客へメニューを提案して新規顧客を開拓、さらに今年4月に商品本部を新設して4本部体制としてマネジメント能力も強化し、物流効率化を進めることが寄与するもので、純利益は、昨年4月に連結子会社化した東京・築地市場の仲卸・旭水産向けに計上した減損損失2億4100万円が消えて大きく黒字転換する。

この旭水産のグループ化は、取扱商品の高価格帯鮮魚によってミドル~アッパー層の外食企業を開拓する新中期経営計画の成長戦略の一翼を担っており、同中期計画では、2020年開催の東京オリンピックを控えて東京・神奈川を重点地区に位置付け、野菜を取扱食材とする子会社の久世フレッシュ・ワンとも連携も強め、最終年度の2018年3月期には、売り上げ700億円、営業利益7億円、ROE(株主資本利益率)8%を目指している。

■25日線水準での三角保ち合いが煮詰まり低PER・PBR修正

株価は、前期配当の最終権利取りでつけた年初来高値756円から権利落ちで同安値670円まで下げ、今期業績の黒字転換予想で750円まで再騰し700円台出没を続けてきたが、世界同時株安の波及で再度の下値確認となった。PERは11倍台、PBRは0.5倍、配当利回りは1.78%と割安で、株価急落で下回った25日移動平均線を回復し、三角保ち合いに煮詰まり感も強めており、年初来高値奪回からに昨年1月高値927円に向け再発進しよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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