エスプールは23年11月期2Q累計減益だが計画超、通期大幅増益予想

(決算速報)
エスプール<2471>(東証プライム)は、7月5日の取引時間終了後に23年11月期第2四半期累計連結業績を発表した。前年同期比ではコールセンター業務の新規案件減少や先行投資の影響などで減益だったが、各利益は期初計画を上回る水準で着地した。期初時点で上期は減益予想だが下期に大幅増益を見込み、通期ベースではビジネスソリューション事業の好調が牽引して大幅増益予想としている。コールセンター業務の売上回復がやや遅れているようだが、積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。株価は安値圏で軟調だが売り一巡感を強めている。第2四半期累計の利益が計画を上回ったことを評価して出直りを期待したい。

■23年11月期2Q累計減益だが計画超で着地、通期大幅増益予想

23年11月期第2四半期累計(22年12月~23年5月)連結業績は、売上高が前年同期比3.9%減の131億32百万円、営業利益が4.6%減の14億93百万円、経常利益が1.1%減の15億51百万円、親会社株主帰属四半期純利益が横ばいの10億30百万円だった。

前年同期比ではコールセンター業務の新規案件減少や先行投資の影響などで減益だったが、期初計画(売上高132億27百万円、営業利益14億07百万円、経常利益13億95百万円、親会社株主帰属四半期純利益9億63百万円)に対しては、売上高が僅かに未達だったものの、各利益は計画を上回る水準で着地した。

セグメント別(内部取引、全社費用等調整前)に見ると、ビジネスソリューション事業は売上高が27.5%増の59億69百万円、営業利益が22.0%増の16億21百万円だった。

障がい者雇用支援サービスの売上高は22.3%増の32億74百万円だった。設備販売が過去最高だった。新規開設は3施設、設備販売は計画610~710区画に対して690区画だった。第2四半期末時点の農園数は41施設、顧客数は556社(新規41社、解約8社)、管理区画数は6835区画(22年11月期末は6211区画)、就業者数は3417名(同3105名)、定着率は92%(同92%)となった。

ロジスティクスアウトソーシングサービスの売上高は15.8%増の7億43百万円(内訳はEC通販発送代行が16.3%増の6億79百万円、物流センター運営が11.0%増の64百万円)だった。低採算案件整理や業務改善の効果で収益力安定化が進んでいる。

広域行政BPOサービスの売上高は76.9%増の6億52百万円。四半期別に見ると第1四半期は3億51百万円、第2四半期は3億円だった。第2四半期はマイナンバー関連業務のピークアウトで一時的に減少したが、取引自治体数が198まで増加して売上の下地作りが進展した。なおセンター開設は第3四半期への一部ズレ込みなどで、第2四半期は計画の7拠点に対して5拠点となり、シェアード型BPOセンターは19拠点となった。自治体スマートカウンターは15ヶ所、自治体オンライン窓口導入は300台となった。

環境経営支援サービス(ブルードットグリーン)の売上高は、34.0%増の3億96百万円だった。環境情報開示の重要性の高まりを背景に、上場企業を中心に取引が拡大している。

採用支援サービスOMUSUBIの売上高は31.3%増の3億67百万円だった。アルバイト求人はコロナ前を超える水準となり、センターの稼働率上昇やAI自動応募受付サービスによる生産性向上などで利益率改善も進んでいる。

人材ソリューション事業は売上高が20.3%減の72億06百万円、営業利益が30.1%減の6億97百万円だった。主力のコールセンター業務の売上高は新規案件の減少などで23.5%減の60億92百万円だった。販売支援の売上高は緩やかに回復傾向となって15.0%増の7億29百万円だった。

なお四半期別にみると、第1四半期は売上高が60億89百万円で営業利益が4億52百万円、第2四半期は売上高が70億43百万円で営業利益が10億41百万円だった。第2四半期の営業利益は四半期ベースで過去最高だった。

通期連結業績予想は据え置いて、売上高が22年11月期比6.1%増の282億88百万円、営業利益が17.1%増の36億20百万円、経常利益が15.3%増の35億96百万円、親会社株主帰属当期純利益が34.2%増の24億27百万円としている。売上高は11期連続、営業利益は8期連続で過去最高更新を目指す。親会社株主帰属当期純利益については特別損失一巡も寄与する。配当予想は22年11月期比2円増配の10円(期末一括)としている。連続増配予想で、予想配当性向は32.5%となる。

ビジネスソリューション事業の計画は、売上高が26.5%増の129億08百万円、営業利益が24.4%増の36億35百万円としている。売上高の内訳は、障がい者雇用支援サービスが19.7%増の69億円(運営管理費が35.0%増の40億58百万円、設備販売が8.0%増の23億36百万円、人材紹介料が14.6%減の5億06百万円)で、ロジスティクスアウトソーシングサービスが10.2%増の14億75百万円、採用支援サービス「OMUSUBI」が8.4%増の6億35百万円、広域行政BPOサービスが2.1倍の19億円、環境経営支援サービスが25.2%増の9億円としている。

障がい者雇用支援サービスは新規開設が9農園(屋外5、屋内4)で、設備販売は1440区画(第1四半期100~150区画、第2四半期510~560区画、第3四半期240~290区画、第4四半期490~540区画)の計画としている。法令順守のもと、障がい者の「雇用の安定」と「キャリアアップ」が実現できる環境の構築に取り組む。ロジスティクスアウトソーシングサービスは事業拡大に向けて千葉県流山市に新センターを開設(23年7月下旬オープン)し、守りから攻めへの転換を推進する。広域行政BPOサービスは既存センターの売上拡大に集中するため、下期の開設を1拠点(通期ベースでは9拠点)に抑制する。環境経営支援サービスはサービスメニュー拡充によって事業拡大を目指す。採用支援サービス「OMUSUBI」は需要回復を追い風に通期での上振れを目指す。

人材ソリューション事業の計画は、売上高が4.7%減の158億円、営業利益が2.9%減の16億20百万円としている。売上高の内訳は、コールセンター業務が5.9%減の136億円、販売支援が4.8%増の13億円、その他が2.3%増の9億円としている。コールセンター業務の需要回復が遅れているため、当面はより筋肉質な体制づくりに注力する。

第2四半期累計は減益だが計画を上回る水準で着地した。障がい者雇用支援サービスの設備販売が第4四半期に集中するため、期初時点で上期は減益予想だが下期に大幅増益を見込み、通期ベースではビジネスソリューション事業の好調が牽引して大幅増益予想としている。コールセンター業務の売上回復がやや遅れているようだが、積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。

■株価は売り一巡

株価は安値圏で軟調だが売り一巡感を強めている。第2四半期累計の利益が計画を上回ったことを評価して出直りを期待したい。7月5日の終値は551円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS30円73銭で算出)は約18倍、今期予想配当利回り(会社予想の10円で算出)は約1.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS94円14銭で算出)は約5.9倍、そして時価総額は約435億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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