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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】イワキは地合い悪化の売り一巡、0.4倍近辺の低PBRも見直し
- 2015/8/28 08:36
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
イワキ<8095>(東1)は医薬品・医薬品原料・化成品などを主力とする専門商社である。株価は地合い悪化の影響で8月25日に年初来安値198円まで急落する場面があったが、26日と27日には218円まで戻して売り一巡感を強めている。ジェネリック医薬品に関する政府の骨太方針やインバウンド需要も追い風であり、2%台後半の配当利回りや0.4倍近辺の低PBRも見直して切り返す展開だろう。
■医薬品・医薬品原料・化成品などを主力とする専門商社
1914年創業の医薬品商社で、医薬品事業(医療用・一般用・動物用医薬品の製造・販売、調剤薬局経営)、医薬品原料・香粧品原料事業(医薬品・香粧品原料の製造・販売、化粧品OEM製造)、化成品事業(電子工業用薬品・表面処理用薬品・化成品の製造・販売)、食品原料・機能性食品事業(食品原料の製造・販売、サプリメントOEM製造)、その他事業(医療機器の販売、化粧品の製造・販売)を展開している。
■中期成長に向けて卸売・商社・メーカー機能の連携を強化
全国の医薬品卸・医療機関・ドラッグストアなどに医薬品や機能性食品などを供給する卸売機能、国内外のメーカーなどを開拓して輸出入する商社機能、グループ内の岩城製薬(ジェネリック医薬品・医薬品原料、医療機関向け化粧品など)とメルテックス(表面処理薬品など)のメーカー機能を併せ持つことが強みで、卸売・商社・メーカー機能の連携を強化している。
中期的な事業基盤強化と収益拡大に向けて、医薬品事業での共同開発・受託品の拡大、ドラッグストア向けPB商品など自社企画商品の開発強化、医薬品原料事業での市場シェア拡大、インド・グレンマーク社など海外サプライヤーとの連携強化、岩城製薬の生産能力増強と新製品開発、メルテックスの新製品拡販、海外(タイ、韓国、中国)展開強化、日立化成<4217>とのアライアンスによる拡販などを推進している。
なお8月11日には、当社の化成品事業における表面処理薬品原料等の販売事業を、当社の完全子会社であるメルテックスに承継する(効力発生日15年12月1日予定)と発表した。グループ内の重複業務の解消、迅速な事業戦略の実行、グループ経営資源の効率的活用を実現させ、事業基盤強化を図る方針だ。
■15年11月期は最終2桁増益予想
なお14年11月期の四半期別推移を見ると売上高は第1四半期(12月~2月)125億44百万円、第2四半期(3月~5月)141億92百万円、第3四半期(6月~8月)131億90百万円、第4四半期(9月~11月)142億19百万円で、営業利益は第1四半期1億90百万円、第2四半期4億24百万円、第3四半期23百万円の赤字、第4四半期2億99百万円だった。
また14年11月期の配当性向は50.1%だった。ROEは13年11月期比1.7ポイント低下して2.9%、自己資本比率は同1.0ポイント低下して43.8%だった。
今期(15年11月期)の連結業績予想(1月14日公表)は売上高が前期比2.1%減の530億円、営業利益が同1.1%増の9億円、経常利益が同2.2%減の9億50百万円、純利益が同18.7%増の6億円としている。配当予想(1月14日公表)は前期から記念配当1円50銭を落として年間6円(第2四半期末3円、期末3円)としている。予想配当性向は33.8%となる。
第2四半期累計(12月~5月)は売上高が前年同期比2.9%増の275億16百万円で、営業利益が同35.1%減の3億98百万円、経常利益が同15.3%減の4億93百万円、純利益が同32.5%減の2億15百万円だった。
医薬品事業における減価償却費の増加や、化成品事業における海外市況低迷の影響で大幅減益だったが、売上高、営業利益、経常利益は期初計画を上回った。また経常利益は営業外での持分法投資損益の改善も寄与した。純利益は税金費用の増加が影響した。
セグメント別(全社費用等調整前)に見ると、医薬品は同2.3%増収、同29.7%営業減益だった。ジェネリック医薬品やドラッグストア向け商品が好調だったが、減価償却費が増加した。医薬品原料・香粧品原料は同1.6%増収、同6.6%営業増益だった。合成抗菌剤原料の伸長や香粧品原料の新規採用が牽引した。
化成品は国内プリント配線板向け薬品の好調で同2.4%増収だったが、海外市況の悪化や人件費の増加などで営業損益が大幅に悪化(1億52百万円の赤字)した。食品原料・機能性食品は同9.1%増収と好調だったが、営業利益は横ばいだった。
15年11月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(12月~2月)130億01百万円、第2四半期(3月~5月)145億15百万円、営業利益は第1四半期90百万円、第2四半期3億08百万円だった。
通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が51.9%、営業利益が44.3%、経常利益が51.9%、純利益が35.9%である。営業利益と純利益の進捗率がやや低水準の形だが、期初時点で下期偏重の計画のためネガティブ要因とはならないだろう。
通期ベースでも化成品の事業環境は厳しいが、ジェネリック医薬品の外皮用剤、ドラッグストア向けPB商品、ジェネリック医薬品用原料、機能性食品などが好調に推移する。訪日外国人旅行客のインバウンド需要で免税店への販売も好調のようだ。第3四半期(6月~8月)以降の挽回が期待される。
中期的には、岩城製薬における生産能力増強、外部への製造委託推進による採算改善、新製品の投入、メルテックスにおける海外拠点の現地化、中国販売拠点の再構築、新製品の拡販などを推進する。ジェネリック医薬品比率80%目標という政府の骨太方針やインバウンド需要も追い風として収益拡大が期待される。
■株価は地合い悪化の売り一巡感、低PBRも見直し
株価の動きを見ると、5月の年初来高値254円から反落して230円近辺でモミ合う展開だったが、足元の地合い悪化の影響を受けて8月25日に年初来安値となる198円まで急落する場面があった。ただし26日と27日には218円まで戻して売り一巡感を強めている。
8月27日の終値216円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS17円77銭で算出)は12~13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間6円で算出)は2.8%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS514円70銭で算出)は0.4倍近辺である。
週足チャートで見ると、220円近辺のモミ合いレンジ下限から下放れた形だが、急落場面で長い下ヒゲをつけて地合い悪化による売り一巡感を強めている。ジェネリック医薬品に関する政府の骨太方針やインバウンド需要も追い風であり、2%台後半の配当利回りや0.4倍近辺の低PBRも見直して切り返す展開だろう。