クリーク・アンド・リバー社は24年2月期1Q減益だが計画水準

(決算速報)
 クリーク・アンド・リバー社<4763>(東証プライム)は7月6日の取引時間終了後に24年2月期第1四半期連結業績を発表した。利益面は人件費・研修費やDXなど戦略投資の影響で減益だが、概ね計画水準だった。売上面は日本クリエイティブ分野が牽引して2桁増収で過去最高と順調だった。そして通期の増収増益予想を据え置いた。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は水準を切り下げる形でやや軟調だったが下値固め完了感を強めている。第1四半期が概ね計画水準だったことを評価して出直りを期待したい。

■24年2月期1Q減益だが計画水準、通期増収増益予想据え置き

 24年2月期第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比12.1%増の127億45百万円、営業利益が6.4%減の15億80百万円、経常利益が5.9%減の15億95百万円、親会社株主帰属四半期純利益が16.0%減の10億45百万円だった。

 利益面は人件費・研修費やDXなど戦略投資の影響で減益だが、概ね計画水準だった。なおグループ全体で新卒社員344名入社(旧C&Rグループで299名、23年1月に子会社化したシオン・グループで45名)した。売上面は日本クリエイティブ分野が牽引して2桁増収で過去最高と順調だった。

 日本クリエイティブ分野は、売上高が15.6%増の86億31百万円で営業利益(調整前)が7.1%減の8億20百万円だった。引き続きゲーム・WEB関連のプロデュース事業が好調に推移し、シオン・グループの連結も寄与して大幅増収だが、人件費・研修費やDXなど戦略投資の影響で減益だった。なお新卒社員の稼働率は5月末時点で約70%となっている。25年新卒社員採用をさらに強化する方針としている。

 韓国クリエイティブ分野は売上高が3.0%減の8億76百万円で営業利益が8百万円の損失(前年同期は2百万円の利益)だった。TV局への派遣稼働数が減少し、Webtoonへの投資増加も影響して赤字だった。

 医療分野は売上高が1.3%増の18億32百万円で営業利益が6.4%減の7億87百万円だった。医師マッチングシステム「民間医局ポータル」による成約件数増加も寄与して医師紹介やイベント「レジナビFair」が好調だったが、ワクチン接種スポット案件減少(1億28百万円減少)やDX投資などで減益だった。

 会計・法曹分野は売上高が12.4%増の6億17百万円で営業利益が26.9%増の37百万円だった。紹介事業が伸長した。

 その他事業(新規事業合計16社)は、売上高が23.3%増の7億87百万円で営業利益が60百万円の損失(同79百万円の損失)だった。新規設立・グループ化(6社)など投資段階のため全体として営業損失だが、売上面は16社のうち9社が増収(合計1億56百万円増収)となり、利益面は6社が増益(合計93百万円)だった。

 通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が23年2月期比13.3%増の500億円、営業利益が13.7%増の45億円、経常利益が12.4%増の45億円、親会社株主帰属当期純利益が3.5%増の30億円としている。配当予想は23年2月期比14円増配の41円(期末一括)としている。連続大幅増配で、予想配当性向は30.4%となる。

 日本クリエイティブ分野を中心に各セグメントが好調に推移し、成長に向けた戦略投資を吸収して増収増益予想としている。

 日本クリエイティブ分野は売上高が18%増の358億円で営業利益(調整前)が13%増の31億円、韓国クリエイティブ分野は売上高が横ばいの34億60百万円で営業利益が0百万円の利益(23年2月期は16百万円の損失)、医療分野は売上高が8%増の56億40百万円で営業利益が5%増の14億円、会計・法曹分野は売上高が11%増の25億60百万円で営業利益が19%増の1億90百万円、その他は売上高が34%増の41億円で営業利益が50百万円の損失(同2億75百万円の損失)の計画としている。

 第1四半期の進捗率は売上高25%、営業利益35%、経常利益35%、親会社株主帰属当期純利益35%である。医療分野の利益が上期偏重(特に第1四半期)であることを考慮しても概ね順調と言えるだろう。新中期経営計画では最終年度26年2月期の計画を売上高605億円、営業利益56.5億円、営業利益率9.3%としている。売上高・営業利益の着実な成長とともに、利益率の向上を目指す方針だ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は下値固め完了

 株価は水準を切り下げる形でやや軟調だったが下値固め完了感を強めている。第1四半期が概ね計画水準だったことを評価して出直りを期待したい。7月6日の終値は1990円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS135円04銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の41円で算出)は約2.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS637円32銭で算出)は約3.1倍、そして時価総額は約458億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  2. ■2024年度上半期163件で過去最多更新  人手不足による倒産が急増している。帝国データバンクの…
  3. ■新たなモビリティ社会実現に向けた取り組み加速  トヨタ自動車<7203>(東証プライム)は10月…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  2. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…
  3. ■金利上昇追い風に地銀株が躍進、政策期待も後押し  金利上昇の影響を受けて銀行株、特に地方銀行株の…
  4. ■トリプルセット行、ダブルセット行も相次ぐ地銀銀株は決算プレイで「トランプトレード」へキャッチアップ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る