【どう見るこの株】三光産業は日柄調整完了感、24年3月期営業黒字転換予想、1倍割れの低PBRも評価材料

■M&A効果で収益回復基調

 三光産業<7922>(東証スタンダード)は粘着剤付の材料(主にシール・ラベル)への印刷という特殊印刷の総合メーカーである。シール・ラベル事業からスタートし、液晶端末の表示面ラベルなどにも事業領域を広げている。中長期成長に向けてM&Aも積極活用している。24年3月期は前期計上の特別利益が剥落して最終減益だが、M&A効果も寄与して増収、営業黒字転換、経常大幅増益予想としている。積極的な事業展開で収益回復基調だろう。株価は急伸した4月の年初来高値圏から反落してモミ合う形だが、利益確定売りが一巡して日柄調整完了感を強めている。1倍割れの低PBRも評価材料であり、戻りを試す展開を期待したい。

■特殊印刷の総合メーカー

 粘着剤付の材料(主にシール・ラベル)への印刷という特殊印刷の総合メーカーである。特殊印刷のパイオニアで、豊富な加工実績(年間取扱点数2.4万点、取引企業数3000社)や高い品質管理を強みとして、ラベルシェア1位を誇っている。シール・ラベル事業からスタートし、液晶端末の表示面ラベルやカメラモジュールなどにも事業領域を広げている。

 中長期成長に向けてM&Aも積極活用している。19年11月にはセールスプロモーションツールやキャンペーン関連を行うトムズ・クリエイティブを子会社化、22年7月には空調家電(空気清浄機、サーキュレーターなど)を中心に空間専門ブランド「Yoitas」を運営するアクシストラスを子会社化、22年12月には野菜調理器(ベンリナー万能調理器など)の製造・販売を行うベンリナーを子会社化した。

 23年3月には、医療用のナノAG+AIRマスク SILKY FIT Premium(通称:無敵マスク)が、医療用として不織布マスク最高レベルとなるJIS T 9001 医療用クラスⅢの認証を取得した。23年5月には、ソーシング・ブラザーズと共同でコーポレートベンチャーキャピタル運営を推進すると発表した。事業シナジーが期待されるスタートアップへの出資を通じて将来的な戦略的リターンの確保を目指す。

 なおサステナビリティ経営関連では、22年9月にプロバレーボールチームの東京グレートベアーズとオフィシャルパートナー契約を締結した。22年10月にはUT&S(愛知県名古屋市)と業務提携した。UT&Sの技術を活用し、ユニバーサル・リソーセス(愛知県一宮市)において、植物性工業用油および燃料を製造する新たなビジネスを展開する。

 23年3月期セグメント別売上高は日本が89億76百万円、中国が29億11百万円、アセアンが5億74百万円、調整額が▲26億47百万円、営業利益は日本が▲60百万円、中国が30百万円、アセアンが▲9百万円、調整額が▲16百万円だった。

 また、カテゴリー別売上高は、モバイル関連が32億92百万円、AV機器関連が21億04百万円、OA機器関連が17億51百万円、自動車関連が10億68百万円、その他が15億98百万円だった。

■24年3月期営業黒字転換・経常大幅増益予想で収益回復基調

 24年3月期連結業績予想は売上高が23年3月期比0.6%増の98億77百万円、営業利益が90百万円(23年3月期は56百万円の損失)、経常利益が2.9倍の1億26百万円、親会社株主帰属当期純利益が15.7%減の1億24百万円としている。配当予想は23年3月期比3円減配の7円(期末一括)としている。予想配当性向は35.0%となる。

 親会社株主帰属当期純利益は前期計上の特別利益(受取保険金1億78百万円)が剥落して減益だが、M&A効果や前期計上の子会社株式取得費用(91百万円)の剥落などで増収、営業黒字転換、経常大幅増益予想としている。なお地域別には、日本では電気機器関連を中心にシール・ラベル関連製品の需要が堅調に推移し、アクシストラスとベンリナーの通期連結も寄与する見込みだ。中国は堅調推移、ASEANは新型コロナウイルス感染症や21年12月にマレーシアで発生した洪水などの影響からの回復基調を見込んでいる。

 重点施策として、国内外における既存顧客との取引拡大、日用品分野やノベルティ分野での顧客開拓など、全社的な収益基盤強化に向けた取組を推進する方針としている。積極的な事業展開で収益回復基調だろう。

■株価は日柄調整完了感、1倍割れの低PBRも評価材料

 株価は急伸した4月の年初来高値圏から反落してモミ合う形だが、利益確定売りが一巡して日柄調整完了感を強めている。1倍割れの低PBRも評価材料であり、戻りを試す展開を期待したい。7月7日の終値は533円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS20円02銭で算出)は約27倍、今期予想配当利回り(会社予想の7円で算出)は約1.3%、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1299円71銭で算出)は約0.4倍、そして時価総額は約39億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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