原油価格の下落が続いているが、先週末、IEA(国際エネルギー機関)が発表した原油の世界需給見通しによると、OPEC(石油輸出国機構)産だけで140万バレルもの供給過剰にあることが判明。だが、サウジの又アイミ石油鉱物資源相は「市場は自ら安定する」と語り、減産の意思がないことが明らかになり、週末のNY原油は57ドル台に下げた。
米国のシェール企業は中小企業が多く、資金調達の大半を高金利の社債発行に依存しているケースが多いだけに、市場のリスクオフ傾向が強まると逆風になりかねない。
しかし、原油安はガソリン価格の下落をもたらし、米国の消費者は年間で1000億ドル(約12兆円)の減税を受けたのと同じプラス効果が得られ、米GDPの7割を占める個人消費を後押しする材料であり、米経済には中期的な好材料と見たい。週末のNYダウは315ドル安の1万7280ドルで終えたが、52週移動平均線が走る1万6750ドル処を割り込まなければ、需給悪化につながり難いと見る。(証券ジャーナリスト)