【村山貢司の気象&経済歳時記】百名山の経済効果

村山貢司の気象&経済歳時記

■年間1000億円規模、2016年から「山の日」制定で市場規模拡大

猛暑の中、北アルプスなどの山々はこの夏も多くの登山者で賑わった。日本の登山人口(1年に1回以上山登る人)は震災前には1000万人を超えていたが、現在は860万人と推定されている。

百名山の多い長野県だけで73万人にもなるが、長野県の調査ではこのうちの10.6%が日本百名山を目指しているという結果であった。百名山の多い長野県の数値がそのまま通用するわけではないが、その半分としても5万人近い人が日本百名山に挑戦しているのは間違いなであろう。

百名山は北海道から九州までの山であるから全て登るにはかなりの時間と費用が必要になる。山と溪谷社が東京の勤め人が休暇を使って挑戦する場合、最短で2年間129日の日数が必要であり、交通費や山小屋の宿泊費を含めた費用はおよそ242万円になるという結果であった。交通費に関しては可能な限りマイカーを使い、航空機は早割など安いチケットをとったと仮定しての計算である。この費用には羽田や東京駅までの交通費は含まれていない。また、現地での食料や土産物などの費用もいれていないので、実際にはもっと多額の費用が必要になるだろう。

交通の不便な地方から行く場合にはさらに交通費や宿泊費が増えることになる。単純計算では、百名山のブームによって、国内に年間1000億円を超えるお金が使われていることになる。他にも登山用の衣服や道具など波及効果が大きい。2016年からは国民の祝日として「山の日」が制定されるが、百名山が果たす役割は非常に大きなものがある。(村山貢司=気象予報士・経済評論家)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■半導体パッケージの微細化に対応、LDI露光で1.0μm幅パターンを実現  旭化成<3407>(東…
  2. ■物流費やエネルギーコストの上昇受け、企業努力では限界  亀田製菓<2220>(東証プライム)は5…
  3. ■約100種類の実践講座で次世代エンジニアを育成  トヨタグループ5社は5月22日、AI・ソフトウ…
2025年7月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  

ピックアップ記事

  1. ■祝日と金融政策が交錯する7月  7月は、7月21日が「海の日」が国民の祝日に制定されてからフシ目…
  2. ■「MMGA」効果の造船株・海運株は「海の日」月間キャンペーン相場も加わり一段高を期待  あと1カ…
  3. ■選挙関連の「新三羽烏」の株価動向をウオッチ  足元では野党が石破内閣への内閣不信認決議案提出を見…
  4. どう見るこの相場
    ■米、イラン核施設を電撃空爆、緊張激化へ  「2週間以内」と言っていたのが、わずか「2日」である。…
  5. ■イスラエル・イラン衝突でリスク回避売りが優勢に  イスラエルのイラン攻撃を受け、13日の日経平均…
  6. ■ホルムズ海峡封鎖なら「油の一滴は血の一滴」、日本経済は瀬戸際へ  コメ価格が高騰する「食料安全保…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る