アステナホールディングスは23年11月期2Q累計減益、通期予想据え置き
- 2023/7/18 09:31
- 決算発表記事情報
(決算速報)
アステナホールディングス<8095>(東証プライム)は、7月13日に23年11月期第2四半期累計連結業績を発表した。医薬品原料や健康食品原料の好調などで増収だが、原材料・エネルギーコスト上昇や人件費増加などの影響で減益だった。純利益は特別損失を計上したため赤字だった。ただし第2四半期は第1四半期比で大幅増収・営業増益となった。通期は原材料価格などの不透明感を考慮して減益予想としているが、第1四半期がボトムとなった可能性があり、積極的な事業展開で下期の収益回復基調を期待したい。なお株主優待制度の変更も発表している。株価は小幅レンジでモミ合う形だ。第2四半期累計業績や株主優待制度変更を嫌気する形となったが、高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、下値限定的だろう。
■23年11月期2Q累計減益、通期予想据え置き
23年11月期第2四半期累計連結業績は売上高が前年同期比7.7%増の268億57百万円、営業利益が71.1%減の2億08百万円、経常利益が66.0%減の2億83百万円、親会社株主帰属四半期純利益が特別損失(投資有価証券評価損2億16百万円)の計上などで2億27百万円の損失(前年同期は9億32百万円の利益)だった。医薬品原料や健康食品原料の好調などで増収だが、原材料・エネルギーコスト上昇や人件費増加などの影響で減益だった。純利益は特別損失を計上したため赤字だった。
ファインケミカル事業は売上高(外部顧客への売上高)が3.7%減の72億54百万円で、営業利益(全社費用等調整前)が83百万円の損失(同4億73百万円の利益)だった。医薬品原料分野は好調だったが、医薬品CDMO分野の経営改善遅れが影響した。
HBC・食品事業は売上高が22.4%増の88億12百万円で、営業利益が78百万円(同65百万円の損失)だった。大幅増収効果で黒字転換した。化粧品通販部門が低調だったが、食品原料部門における新規受注獲得、化粧品原料部門やファルマネット部門における需要回復が寄与した。マルマンH&Bの自社企画健康食品や輸入化粧品の販売も好調だった。
医薬事業は売上高が8.5%増の63億83百万円で、営業利益が7.7%減の3億25百万円だった。医療用医薬品部門では22年12月に新製品として販売開始した抗真菌薬であるリコナゾール軟膏・クリームが好調だったが、コスト増と価格転嫁遅れで収益性が低下した。なお岩城製薬佐倉工場では、高活性注射液棟の改修を行っており、23年秋の稼働に向けて準備を進めている。
化学品事業は売上高が2.0%増の44億03百万円で、営業利益が81百万円の損失(同38百万円の損失)だった。微細配線形成用薬品や受動部品向けめっき薬品の販売が低調だったが、コスト上昇分の価格転嫁や販管費の見直しなどを推進した。
その他事業(人材事業、ふるさと納税事業などの新規事業)は、売上高が3百万円で営業利益が48百万円の損失(同18百万円の損失)だった。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高が127億85百万円で営業利益が92百万円の損失、第2四半期は売上高が140億72百万円で営業利益が3億円だった。第2四半期は第1四半期比で大幅増収・営業増益となった。
通期連結業績予想は据え置いて、売上高が22年11月期比3.8%増の515億円、営業利益が12.2%減の7億20百万円、経常利益が53.8%減の4億10百万円、親会社株主帰属当期純利益が98.3%減の10百万円としている。配当予想は22年11月期と同額の18円(第2四半期末9円、期末9円)としている。
原材料価格などの不透明感を考慮して減益予想としている。なお新規事業として有機米事業および森林事業を開始する。また23年4月には、岩城製薬が帝人ファーマから「ボンアルファ」の日本における製造販売承認を承継(23年7月1日より)すると発表している。さらに岩城製薬がキノファーマと共同開発した製剤を用いて、ヒトパピローマウイルス感染症である尋常性疣贅を適応症として第2相臨床試験(キノファーマが実施)を開始すると発表している。
第2四半期累計の進捗率は売上高が52.1%、営業利益が28.9%、経常利益が69.0%である。営業利益進捗率が低水準だが、四半期別に見ると第2四半期は第1四半期比で大幅増収・営業増益となっている。第1四半期がボトムとなった可能性があり、積極的な事業展開で下期の収益回復基調を期待したい。
■株価は下値限定的
株価は小幅レンジでモミ合う形だ。第2四半期累計業績や株主優待制度変更を嫌気する形となったが、高配当利回りや1倍割れの低PBRも評価材料であり、下値限定的だろう。7月14日の終値は427円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS25銭で算出)は約1708倍、今期予想配当利回り(会社予想の18円で算出)は約4.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS685円24銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約175億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)