鹿島が国土交通省のプロジェクトで実証!ドローンとAIで資機材管理を劇的に効率化

■作業時間を約75%削減

 鹿島<1812>(東証プライム)は19日、AIとドローンを組み合わせた新しい資機材管理システムを、AI insideと共同開発したと発表。同システムは、ドローンが空撮した動画からAIが資機材を認識し、その位置を現場3Dモデル上に表示するものである。国土交通省北陸地方整備局発注の大河津分水路新第二床固改築Ⅰ期工事(新潟県長岡市)における資機材管理に適用し、その作業時間を約75%削減(1回あたり約2時間→30分)した。

 同システムは、2022年度の国土交通省「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト(PRISM)」に採択され、今回、その有用性を確認・検証したものである。

■開発の背景

 建設現場では、建設物の構築にあたり数多くの資機材を扱いる。従来の資機材管理は、現場職員が現場内を巡回し目視と手作業で行っていた。しかし、これらの手法は、膨大な手間と時間を要するだけでなく、現場職員が高所や狭所等に立ち入るという安全上の課題がある。また、現場で使用する資機材の大半はレンタル品となるが、万が一、点検期限切れの資機材を使用していた場合、作業員の安全を脅かすリスクが懸念される。さらに、管理が行き届かない場合、資機材を重複してレンタルし、それにより余分なコストが発生するおそれもある。

■システムの概要とフロー

 鹿島とAI inside社は、人より高速で自由に移動が可能なドローンと、画像の識別が可能なAIを組み合わせ、新しい資機材管理システムを開発した。

【システムの概要とフロー】

1.学習データ準備~AIへの学習【事前準備】
 ドローンが撮影した空撮画像を使い、AIに現場内の資機材の名称と形を学習させる。AIモデルの構築には、AI inside社が提供するAI統合基盤「AnyDate」※を採用している。

2.ドローンによる現場の撮影
 ドローンで現場内の動画撮影を行いる。一定の高度から撮影を行い、その空撮動画とドローンの飛行記録をPCに取り込む。

3.AIによる解析と結果の出力
 1.で学習した結果をもとに、撮影した空撮動画と飛行記録からAIが資機材名称と位置を推定する。その結果を現場3Dモデルに取り込むことで、資機材の位置を現場3Dモデル上に表示する。

※AI開発・実装に求められるデータ・学習・運用を全て包含したAI統合基盤。テキスト・画像・数値などあらゆるデータに対応し、高度なスキルがなくても、それぞれの課題に応じた高付加価値なAIソリューションを開発できる。

■システムの成果

 同システムにより、ドローンによる空撮動画からAIが資機材の名称と位置を検出し、現場3Dモデル上に見える化することが可能となった。現在、人と同程度の大きさの資機材であれば概ね検出できており、検出可能な資機材は25種類に上る。また、個別の管理を行いたい資機材については、プラカードを使用した識別によって法定点検日等を管理することも可能である。

 現場3Dモデル上に資機材の位置を可視化することにより、広大な敷地の現場でも資機材の管理を効率的に行うことができる。これにより、活用していない資機材も判別できるため、そじみた資機材があれば返却するなど、無駄をなくすことにもつながる。

 同システムの効果を検証した結果、従来の作業と比較して、資機材管理の作業時間を約75%削減(1回あたり約2時間→30分)できることを確認した。

■今後の展開

 今後鹿島では、同システムの資機材の検出精度を向上させるとともに、手で持ち運べる小さい資機材の検出率向上に取り組んでいく。また、本工事で構築したAIモデル(資機材学習モデル)は、他の現場でも活用できるため、全社への展開も視野に入れている。

 さらに、同システムと、鹿島の多くの土木現場で活用が進んでいる、現場見える化統合管理システム「Field Browser」とを連携させることで、さらなる現場業務の効率化を目指していく。これらの技術を発展させることで建設現場のDXをさらに推進していく。

【工事概要】

・工事名:大河津分水路新第二床固改築Ⅰ期工事、大河津分水路新第二床固改築Ⅰ期その2工事
・工事場所:新潟県長岡市寺泊野積107-23
・発注者:国土交通省北陸地方整備局信濃川河川事務所
・施工者:鹿島建設・五洋建設・福田組特定建設工事共同企業体
・工事諸元:鋼殻ケーソン基礎工 9基、本堤工 1式 、減勢工 1式、護床工 1式、仮設工 1式(仮橋・仮桟台工、ガイド杭工 各1式)
・工期:2019年2月13日~2024年12月27日
(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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