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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】アライドテレシスHDは売り一巡して反発期待、サイバーセキュリティ関連のテーマ性
- 2015/8/31 09:17
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
アライドテレシスホールディングス<6835>(東2)はネットワーク関連機器を中心に総合ITソリューションを展開している。8月24日に持分法適用会社の異動と特別利益の発生を発表した。株価は8月25日に年初来安値54円まで急落する場面があったが、28日は66円まで戻した。15年12月期赤字予想は織り込み済みであり、売り一巡して反発展開が期待される。サイバーセキュリティ関連のテーマ性も注目点だ。
■ネットワーク関連機器中心に総合ITソリューションを展開
世界23カ国・40連結子会社を統括する純粋持株会社で、ネットワーク関連機器およびソリューションの企画・開発・製造・販売・保守事業などを展開している。さらにネットワーク機器メーカーからITインフラ・スペシャリストへのシフトを目指し、総合ITソリューションおよびサービスの提供を強化している。
14年12月に新SDNソリューションを開発した。ストラトスフィア、ラクラス、クオリティソフト、トレンドマイクロ<4704>、インターネットイニシアティブ(IIJ)<3774>と連携し、ネットワーク運用管理効率化とセキュリティー強化を実現する新しいコンセプトのソリューションとしている。販売開始は15年12月期第2四半期(4月~6月)で自治体・文教・医療市場を中心に販促活動を強化する方針だ。
15年1月にはイスラエルに子会社アライドテレシスワイヤレスを設立するとともに、子会社アライドテレシス開発センターの社名をアライドテレシス総合研究所に変更した。
15年2月には、当社のGbEソリューションが、米国最速インターネットサービスプロバイダ(ISP)であるグラント・カウンティ・パブリック・ユーティリティのウルトラ・ブロードバンド・アクセスネットワークに選定された。
15年3月には、米バーノン・テレフォン・コオペラティブ(VTC)社と連携して、ギガビットネットワークの展開を進めていると発表した。米VTC社は集中管理型マルチメディアホームサービスを提供する通信プロバイダで、米国の過疎地でギガビットネットワークを実現している。
15年4月には、最先端のセンサー・テクノロジーと脅威を検出して可視化するダッシュボード機能(監視コンソール)を統合した、新たな統合監視ソリューション「Envigilant(エンビジラント)」を開発した。
また次世代型ファイアウォールの新製品UTM&VPNルーターに、英Kaspersky Labのアンチマルウェア/ウィルス対策エンジンを搭載して、セキュリティー・ソリューションを提供する。
■15年12月期は赤字縮小予想
8月12日発表の今期(15年12月期)第2四半期累計(1月~6月)連結業績は、売上高が前年同期比5.6%減の131億33百万円で、営業利益が20億48百万円の赤字(前年同期は14億57百万円の赤字)、経常利益が18億55百万円の赤字(同19億96百万円の赤字)、純利益が21億33百万円の赤字(同20億55百万円の赤字)だった。
国内販売代理店間接販売の減少などで減収となり、営業赤字が拡大した。営業外では為替差益2億06百万円計上(前年同期は為替差損4億85百万円計上)が寄与した。また特別損失には欧米の事業再編損失1億50百万円を計上した。
所在地セグメント別売上高を見ると、日本は同12.9%減の58億55百万円だった。前年同期の消費増税前駆け込み需要を見込んだ販売代理店向けからの大量発注が一巡した。米州は同6.5%増の32億24百万円だった。ただし好調だった米国が第2四半期に減速し、中南米も景気後退の影響を受けているようだ。
EMEA(ヨーロッパ、中東およびアフリカ)は同0.6%増の28億81百万円だった。ロシアにおいて通貨ルーブルの急落でドル換算額が大幅に減少したが、ドバイの公共交通機関への追加受注などが寄与した。アジア・オセアニアは同9.8%減の11億71百万円だった。フィリピンの通信事業者向け大口案件を受注したが、出荷の大半が第3四半期に順延となった。
四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(1月~3月)63億65百万円、第2四半期(4月~6月)67億68百万円、営業利益は第1四半期13億98百万円の赤字、第2四半期6億50百万円の赤字だった。
通期の連結業績予想は前回予想(2月13日公表)を据え置いて、売上高が前期比11.2%増の336億円で、営業利益が5億40百万円の赤字(前期は18億43百万円の赤字)、経常利益が7億円の赤字(同3億67百万円の赤字)、純利益が16億円の赤字(同39億54百万円の赤字)としている。配当予想は無配を継続する。想定為替レートは1米ドル=120円としている。
地域別売上高計画については、日本が同6.7%増の159億円、米州が同15.9%増の75億円、EMEA(欧州、中東、アフリカ)が同12.7%増の68億円、アジア・オセアニアが同20.6%増の34億円としている。
ソリューション販売強化と付加価値サービス拡充、グローバル製品統一とユニファイド化促進による売上拡大、生産・ロジスティクス・販促・販売の効率化、主力テクノロジー絞り込みによる研究開発センターの機能統合推進、選択と集中による開発リソースの効率化、人材リソースの最適配分などを推進して営業損益の改善を図る方針だ。純利益は減損損失一巡も寄与して赤字幅が縮小する見通しだ。
なお8月24日に持分法適用会社の異動および特別利益の発生を発表した。持分法適用会社であるアイビーシーの東証マザーズへの新規上場(9月15日予定)に伴う売出しを通じ、当社保有株式(23万6000株)のうち55%(12万9800株)を売却する。
この売却によって、アイビーシーは当社の持分法適用会社から除外されるとともに、売却益(見込み)3億円を第3四半期(7月~9月)の特別利益に計上する。なお売却後の保有株式数は10万6200株(保有比率は8%前後の見込み)となる。通期業績に与える影響については精査中としている。
■株価は売り一巡して反発期待
株価の動きを見ると、70円台でのモミ合いから下放れ、地合い悪化も影響して8月25日に年初来安値54円まで急落する場面があった。ただし28日には66円まで戻して売り一巡感を強めている。
8月28日の終値63円を指標面で見ると、前期実績PBR(前期実績の連結BPS51円79銭で算出)は1.2倍近辺である。
週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえてモミ合い下放れの形となったが、急落場面で長い下ヒゲをつけて売り一巡感を強めている。調整の最終局面だろう。15年12月期の赤字予想は織り込み済みであり、調整一巡して反発展開が期待される。サイバーセキュリティ関連のテーマ性も注目点だ。