大成建設はミキサー車の生コン自動供給装置「T-コンサプライヤー」を開発、生コン吹付け・打設時の作業環境改善し省人化を実現
- 2023/7/21 16:29
- プレスリリース
大成建設<1801>(東証プライム)とアクティオは21日、「生産プロセスのDX」の一環として、山岳トンネルやダム工事などのコンクリート吹付けや打設作業において、ミキサー車からの生コン供給を自動化する装置「T-コンサプライヤー」を共同で開発したと発表。同装置は既存のミキサー車に後付けが可能で、従来のように人力で生コンの供給操作を行う必要がないことから、コンクリート吹付けや打設時の作業環境改善と省人化が図られ、担い手不足の解消につながることが期待される。
建設業界では全産業の中でも高齢化の進行と就労者数の減少が著しく、今後の担い手不足が深刻な懸案事項となっている。そうした中、山岳トンネル工事でのコンクリート吹付けや、ダム、明かり工事でのコンクリート打設作業では、粉じんや排気ガスの発生、低温・高温といった過酷な環境下でも、生コンを連続して供給するためミキサー車の操作を人力で行う必要があり作業完了までミキサー車から離れられない現状だった。このような状況を踏まえ、担い手不足に対応する上でも自動化や新技術の開発などによる作業環境改善と省人化に向けた取り組みが急務となっていた。
そこで当社とアクティオは、吹付け機やコンクリートポンプの生コン使用量に合わせて、ミキサー車のドラム回転数を自動制御しながら生コンを自動供給する装置「T-コンサプライヤー」を開発した。
【システム概要】
同システムは、「吹付け機・コンクリートポンプ側装置」と「ミキサー車側装置」から構成されており、各装置の役割は次のとおりである。
【吹き付け機・コンクリートポンプ側装置】
(1)吹付け機などのホッパー内の生コン量をホッパー上方に取付けた検出装置により測定
(2)測定した生コン量に合わせて、判断装置によりミキサー車の最適なドラム回転数を算出
(3)算出したドラム回転数の情報などを通信装置によりミキサー車へ無線送信
(4)同時に、3色灯により生コンの供給状況を表示
【ミキサー車側装置》】
(1)吹付け機・コンクリートポンプ側装置から送信されたドラム回転数などの情報を受信
(2)受信したドラム回転数の情報を基に、生コン供給量制御装置によりドラム回転数を制御
【特徴】
■生コン供給装置を含むシステムの特徴
(1)ミキサー車の生コンを自動供給可能
生コンの使用量に応じてミキサー車のドラム回転数を自動制御して吹付け機やコンクリートポンプへ生コンを自動供給することができる。
(2)既存ミキサー車への後付け運用が可能
自動供給装置は汎用性が高く、既存ミキサー車に後付けして運用することができる。
(3)生コン供給状況を確認しながら別途作業が可能
3色灯を用いて、吹付け機やコンクリートポンプのホッパー内の生コン量が「正常」(緑色)、「過剰」(黄色)または「ミキサー車内の生コンが空」(赤色)の状況を表示する。このため、吹付け機やコンクリートポンプの操作など他の作業を行いながらでも生コン供給状況を確認することができる。
■生コンの吹付け、打設作業においての期待される効果
(1)作業環境を改善
人力による生コン供給操作が不要となり、過酷な環境下での作業がなくなるため、作業環境の改善が図れる。
(2)省人化を実現
大量打設や長時間に及ぶ供給などのほか、ミキサー車の待機や折り返し運転といった施工現場の条件に合わせて、少人数でも効率的な対応が可能となり、省人化を実現できる。
(3)担い手不足を解消
ミキサー車の運転手はレバーの調整など生コン供給操作を行う必要がないため、ミキサー車による生コン供給操作の未経験者でもミキサー車の運転・配車が可能で、担い手不足の解消に向けた対策になる。
今後同社とアクティオは、本技術をトンネルやダム、明かり工事でのコンクリート吹付け・打設作業などにミキサー車を用いた生コンを供給する作業に適用するだけでなく、トンネル切羽の吹付け作業自動化に向けた要素技術の一つとしても活用を目指していく。また同技術の提案、活用により、作業環境の改善および省人化を図り、担い手不足の解消に向けた対策を積極的に推進していくとしている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)