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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】松田産業は調整の最終局面、0.7倍近辺の低PBRも見直して反発期待
- 2015/8/31 09:09
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
松田産業<7456>(東1)は貴金属リサイクル事業を主力として農林水産品販売事業も展開している。株価は地合い悪化も影響して1400円台でのモミ合いから8月26日の1283円まで急落した。ただし1月の年初来安値1255円を割り込まず、27日には1359円まで戻して売り一巡感を強めている。0.7倍近辺の実績PBRなど指標面の割安感を見直して反発展開が期待される。
■貴金属リサイクルや農林水産品販売を展開
貴金属リサイクルを主力とする貴金属関連事業、および農林水産品を扱う食品関連事業を展開している。貴金属関連事業では「東アジアNO.1リファイナー」を目指し、国内外の拠点拡充、貴金属原料の確保と化成品などの製品販売強化、および製品・技術開発強化を推進している。
海外は貴金属関連事業で中国、台湾、シンガポール、タイ、フィリピン、マレーシア、ベトナムに展開し、ベトナムでは貴金属製錬工場の建設を進めている。食品関連事業は中国、タイに拠点展開している。
■16年3月期第1四半期は増収増益、通期も増益基調を期待
なお15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)429億40百万円、第2四半期(7月~9月)446億83百万円、第3四半期(10月~12月)469億16百万円、第4四半期(1月~3月)449億84百万円、営業利益は第1四半期9億31百万円、第2四半期10億79百万円、第3四半期16億86百万円、第4四半期17億14百万円だった。半導体・電子部品業界の生産回復を追い風に営業損益は拡大基調だ。
また15年3月期の配当性向は19.9%だった。ROEは14年3月期比0.1ポイント低下して6.8%、自己資本比率は同1.8ポイント低下して69.7%となった。
8月7日に発表した今期(16年3月期)第1四半期(4月~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比4.8%増の450億14百万円で、営業利益が同4.0%増の9億68百万円、経常利益が同14.0%増の12億22百万円、純利益が同10.6%増の7億90百万円だった。貴金属関連事業が伸び悩んだが、食品関連事業の好調が牽引して増収増益だった。
セグメント別に見ると、貴金属関連事業は売上高が同0.7%減の298億06百万円、営業利益が同0.8%増の6億55百万円だった。貴金属リサイクルおよび産業廃棄物処理の取扱数量は増加したが、貴金属製品および電子材料等の販売数量が減少し、銀および白金の価格下落も影響して伸び悩んだ。
食品関連事業は売上高が同17.6%増の152億25百万円、営業利益が同11.4%増の3億12百万円だった。水産品、農産品とも販売数量が増加し、価格上昇も寄与した。
通期の連結業績予想は前回予想(5月11日公表)を据え置いて、売上高が前期比3.1%増の1850億円、営業利益が同0.2%減の54億円、経常利益が同0.6%減の58億円、純利益が同16.7%増の39億円としている。
配当予想は普通配当26円に株式公開20周年記念配当2円を加えて、同3円増配の年間28円(第2四半期末14円、期末14円)としている。連続増配で予想配当性向は19.1%となる。
通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が24.3%、営業利益が17.9%、経常利益が21.1%、純利益が20.3%である。やや低水準の形だが景気回復に伴って半導体・電子部品業界の生産増加が予想され、貴金属関連事業の回収・販売数量が増加する。通期ベースでも増収増益基調だろう。
■株価は調整の最終局面、低PBRを見直し
8月7日発表の自己株式取得(取得株式総数の上限7万株、取得価額総額の上限1億円、取得期間15年8月10日~15年9月10日)は、8月25日までに累計6万9000株を取得(取得価額総額9990万8400円)して終了した。
株価の動きを見ると、地合い悪化も影響して1400円台でのモミ合いから下放れ、8月26日の直近安値1283円まで急落した。ただし1月の年初来安値1255円を割り込まず、27日には1359円まで戻して売り一巡感を強めている。
8月28日の終値1343円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS146円62銭で算出)は9~10倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間28円で算出)は2.1%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1923円86銭で算出)は0.7倍近辺である。
週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形となり、一気に52週移動平均線を割り込んだが、急落場面で長い下ヒゲをつけた。調整の最終局面のようだ。0.7倍近辺の実績PBRなど指標面の割安感を見直して反発展開が期待される。