【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ジオネクストは15年12月期減額修正だが、営業黒字化予想で収益改善基調に変化なし

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 ジオネクスト<3777>(JQS)は収益柱を再生可能エネルギー事業にシフトしている。15年12月期業績予想を減額修正したが営業黒字化予想である。株価は減額修正に地合い悪化も影響して8月25日の年初来安値87円まで急落する場面があったが、28日には119円まで戻して売り一巡感を強めている。収益改善基調に変化はなく切り返し展開だろう。

■新規領域の再生可能エネルギー事業、ヘルスケア事業に収益柱をシフト

 14年4月にターボリナックスHDから現社名ジオネクストに商号変更した持株会社である。

 従来のIT関連事業(ターボリナックスのITソリューション関連)、環境事業(東環のビルメンテナンスサービス)に加えて、新規領域の再生可能エネルギー事業(エリアエナジーの太陽光発電・O&Mサービス、日本地熱発電の地熱・温泉バイナリー発電)、およびヘルスケア事業(仙真堂の調剤薬局・サプリメント事業)を展開している。先端医療関連の遺伝子治療研究所については持分法適用関連会社に移行した。

 中期成長に向けた基本戦略としては、14年に開始した新規分野の再生可能エネルギー事業に収益柱をシフトし、従来のIT関連事業と環境事業の収益性を確保しつつ、新規分野のヘルスケア事業の拡大・収益化も目指す方針としている。

■再生可能エネルギー事業のO&Mをストック型収益モデルとして育成

 再生可能エネルギー事業のO&M(Operation & Maintenance)は、太陽光発電所事業者から運用・保守・管理業務を受託するサービスである。

 独自開発した最先端の24時間365日対応常時遠隔監視・制御システム、監視カメラによる犯罪防止のための常時監視、発電データの管理、官公庁への報告書の作成、保安規程に基づく定期点検の実施、草刈・除雪・太陽光パネル清掃といった発電所構内の管理、さらに地域の各種行事・イベントへの参加といった地域との共生までワンストップサービスで受託する。

 電力会社からの出力抑制要請(電力会社が必要に応じて太陽光発電で発電した電気の買い取りを制限できる制度)にも対応して、監視・制御センターでの遠隔操作で常時監視・制御するため、コスト低減と安全な運用が可能となる。既存の太陽光発電所からの受託件数増加が予想されているため、O&Mサービス収入をストック型ビジネスモデルの収益柱として育成する方針だ。

 なお再生可能エネルギー事業の太陽光発電所は買い取り価格32円/kWで19ヶ所が確定し、代金決済・引き渡し8月31日予定で14ヶ所の売却が決定した。

■遺伝子治療研究所は遺伝子導入製剤の開発に取り組み

 先端医療関連の遺伝子治療研究所は、パーキンソン病、ALS(筋委縮性側素硬化症)、アルツハイマー病を対象として、AAV(アデノ随伴ウイルスベクター)による遺伝子導入製剤の開発に取り組んでいる。

 遺伝子治療は、遺伝子または遺伝子を導入した細胞を人の体内に投与することにより病気を治療する最先端医療である。iPS細胞のようながん化のリスクもない。そして脳と脊髄の神経細胞に遺伝子を送達するために、ウイルスを遺伝子のベクター(運び屋)として使用する方法が優れているとされ、ウイルスの中でも非病原性のAAVが最も安全性が高く、今後の遺伝子治療においてはAAVが主流になるとされている。

 進行したパーキンソン病に対して、遺伝子治療研究所が開発に取り組んでいる新しい遺伝子治療戦略は、パーキンソン病においても脱落することなく残っている被殻内の神経細胞に、ドパミン合成に必要な酵素の遺伝子を導入してドパミン産生能を回復させる治療法だ。

 パーキンソン病を対象とする遺伝子導入製剤の開発に目途がつき、15年7月~9月期にセルバンクシステム(製剤生産の基本となる仕組み)が完成し、16年前半から前臨床試験、17年前半からフェーズⅠを開始する見込みとしている。注目度が高まりそうだ。

■15年12月期予想を減額だが、黒字化で収益改善基調に変化なし

 8月13日発表の今期(15年12月期)第2四半期累計(1月~6月)連結業績は、売上高が前年同期比38.1%減の96百万円で、営業利益が1億63百万円の赤字(前年同期は43百万円の赤字)、経常利益が1億96百万円の赤字(同61百万円の赤字)、純利益が1億99百万円の赤字(同93百万円の赤字)だった。

 売上高、利益とも計画を下回り、大幅減収で営業赤字が拡大した。IT関連事業でWebアプリケーション開発・運用ソフトウェア製品の更新需要が減少し、ヘルスケア事業で調剤薬局の来店者数が想定を下回った。また再生可能エネルギー事業において体制を強化したため費用が先行した。経常利益と純利益については営業外費用の増加も影響した。

 通期の連結業績予想については8月13日に減額修正した。前回予想(2月10日公表)に対して、売上高は10億20百万円減額して16億80百万円(前期は2億64百万円)、営業利益は1億円減額して50百万円(同1億75百万円の赤字)、経常利益は1億24百万円減額して10百万円の赤字(同2億46百万円の赤字)、純利益は1億29百万円減額して15百万円の赤字(同2億74百万円の赤字)とした。

 修正後のセグメント別売上高の計画は、IT関連事業がソフトウェア更新需要の減少を考慮して60百万円(期初計画は90百万円)、環境事業が建物メンテナンス契約の一部規模縮小で1億円(同1億10百万円)、ヘルスケア事業が調剤薬局店舗への来客数が想定を下回り70百万円(同2億円)とした。

 再生エネルギー事業に関しては14億50百万円(同23億円)とした。太陽光発電所の完成引き渡しによる売却収益を第3四半期(7月~9月)に計上する計画だったが、太陽光パネル設置工事は相手先において行う条件での引き合いが優勢のため、設置工事部分を予定から除外したことが主因である。

 そして8月25日に、当社の連結子会社エリアエナジーが、コネクトホールディングス<3647>の連結子会社であるエコ・ボンズとの間で、エリアエナジーが開発を進めている太陽光発電所に係る権利の譲渡に関して基本合意書を締結した。代金決済・引き渡しは8月31日の予定で、パネル等の設置工事は譲渡先において実施される。譲渡の対象となる発電所は14ヶ所、想定設備出力は合計約9.7MW、譲渡金額は14億05百万円である。

 期初計画を減額修正したが第3四半期に太陽光発電所14ヶ所の売却収益が計上される。そして再生可能エネルギー事業の太陽光発電関連(売電開始と発電所売却)およびO&Mサービスの本格稼働が牽引して営業黒字化見通しだ。通期ベースで収益は改善基調だろう。

■中期経営計画で17年12月期純利益8.4億円目標

 なお営業損失および営業キャッシュフローのマイナスが9期継続して発生しているため、継続企業の前提に疑義の注記が付されているが、営業損益と営業キャッシュフローの黒字化に向けて、顧客基盤の拡大、成長戦略に不可欠な人材の確保および協力会社の活用、財務体質の強化、内部統制の強化、法令順守体制の強化に取り組むとしている。

 14年2月発表の中期経営計画ローリングプラン(15年12月期~17年12月期)では、経営目標値として17年12月期売上高55億円、営業利益14億50百万円、経常利益14億円、純利益8億40百万円を掲げている。なお本計画では第15回新株予約権(14年12月発行)の行使は前提としていない。

 セグメント別(17年12月期、連結調整前)には、既存分野のIT関連事業が売上高1億20百万円、営業利益43百万円、環境事業が売上高1億30百万円、営業利益22百万円、新規分野のヘルスケア事業が売上高6億50百万円、営業利益1億40百万円、再生可能エネルギー事業が売上高46億円、営業利益14億25百万円の計画としている。ストック型ビジネスモデルのO&Mサービス収入が収益柱となり、全体を牽引する計画だ。

 IT関連事業と環境事業は規模拡大ではなく、付加価値の高い商品・サービスの提供で収益性を確保するとともに、再生可能エネルギー事業への人員活用などでシナジー効果も高める方針だ。ヘルスケア事業は、新株予約権行使による資金調達の状況に合わせて、東北地方や北関東地方を中心に調剤薬局6店舗程度を開設する方針としている。

 再生可能エネルギー事業の地熱・温泉バイナリー発電は、鹿児島県指宿市山川地区の2ヶ所において源泉使用権および発電機を設置する土地を取得済みである。16年前半に10ヶ所程度で売電を開始し、17年12月期に収益が本格化する計画だ。再生可能エネルギー事業におけるストック型ビジネスモデルが牽引して収益改善基調だろう。

 なお当社がジオサーマル社から購入して当社に引き渡される予定のバイナリー発電機2台について、ジオサーマル社の債権者による強制執行の手続が進行しているとの事実を把握したため、7月15日に福岡地方裁判所に対して強制執行停止を申し立てたことを発表した。そして7月17日に、福岡地方裁判所から本件強制執行を停止する決定が発令されたと発表した。今後審理が開始される第三者異議訴訟に適切に対処するとしている。

■株価は売り一巡感、収益改善基調に変化なく切り返し期待

 なお14年12月発行の第15回新株予約権340個(=3400万株)について、4月14日と5月21日に一部譲渡を発表している。割当先であるEVO FUNDから、S&BROTHERS(シンガポール)へ200個(=2000万株)(5月8日譲渡完了)、および当社第4位株主である須田忠雄氏へ35個(=350万株)譲渡した。

 また7月1日には第15回新株予約権の15年6月度の月間行使状況を発表した。6月度の月間行使個数は10個(100万株)で、6月末日時点における未行使予約権個数は325個となった。

 株価の動きを見ると、7月7日の年初来高値174円から利益確定売りで反落し、15年12月期の減額修正、さらに地合い悪化も影響して8月25日の年初来安値87円まで急落する場面があった。ただし28日には119円まで戻して売り一巡感を強めている。8月28日の終値は119円だった。

 週足チャートで見ると、150円を挟むレンジから下放れの形となったが、100円近辺で長い下ヒゲをつけて売り一巡感、そして調整一巡感を強めている。収益改善基調に変化はなく切り返し展開だろう。

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