【アナリスト水田雅展の銘柄分析】フライトホールディングスは調整の最終局面、第1四半期赤字拡大だが16年3月期通期は黒字予想

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

フライトホールディングス<3753>(東2)はシステム開発や電子決済ソリューションなどを展開している。株価は第1四半期(4月~6月)の赤字拡大や地合い悪化も影響して8月25日の年初来安値270円まで急落する場面があったが、28日には381円まで戻している。売り一巡して調整の最終局面だろう。16年3月期営業黒字化予想で、マイナンバー制度関連も注目点だ。

■システム開発や電子決済ソリューションなどを展開

フライトシステムコンサルティングが13年10月、持株会社に移行してフライトホールディングスに商号変更した。システム開発・保守などのコンサルティング&ソリューション(C&S)事業、電子決済ソリューションなどのサービス事業、およびB2B向けECサイト構築パッケージなどのECソリューション事業を展開している。

電子決済ソリューションの分野では、スマートデバイス決済専用マルチ電子決済端末「インクレディスト」およびスマートデバイス決済専用アプリケーション「ペイメント・マスター」の展開を強化している。

スマートデバイス決済専用アプリ「ペイメント・マスター」は、10年9月に提供開始した国内初のBtoB向け決済ソリューションで、高級ホテル、レストラン、観光タクシー、旅行代理店などに導入されている。14年9月にはフォウカスとスマートデバイスを用いたモバイルPOS決済システムで協業した。

また14年10月には、ECサイト構築パッケージソフト「イーシー・ライダー」のDRAGON TECHNOLOGYを子会社化(14年11月イーシー・ライダーに商号変更)してECソリューション事業も強化している。

14年12月には海外での「ペイメント・マスター」および「インクレディスト」の拡販に向けて米国子会社フライトUSAを設立した。今後のICチップ付きクレジットカード決済(EMV決済)および、Apple PayなどのNFC決済においてグローバル展開を推進する。

15年4月にはスマートデバイスを活用したクレジットカード・銀聯カードなど複数の決済処理が可能な新サービス「ペイメント・マスター for J-Mups(ジェイマップス)」を開発し、加盟店向けに提供開始した。接続先決済センターを三菱UFJニコスとJR東日本メカトロニクスが共同で運営する「J-Mups(ジェイマップス)」として、顧客ニーズに合わせたさまざまな拡張性の高い決済を実現する。

8月3日には「インクレディスト」の導入事例として、MOMA DESIGN STOREにおけるレジ周りの改革とインバウンド需要の対応を紹介している。

■16年3月期第1四半期は赤字拡大だが通期は営業黒字化予想

なお15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)3億59百万円、第2四半期(7月~9月)3億円、第3四半期(10月~12月)2億38百万円、第4四半期(1月~3月)6億95百万円、営業利益は第1四半期7百万円の赤字、第2四半期58百万円の赤字、第3四半期77百万円の赤字、第4四半期83百万円の黒字だった。第4四半期に黒字化して営業損益は改善基調だ。

8月14日に発表した今期(16年3月期)第1四半期(4月~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比49.1%減の1億83百万円、営業利益が1億43百万円の赤字(前年同期は7百万円の赤字)、経常利益が1億52百万円の赤字(同15百万円の赤字)、純利益が1億53百万円の赤字(同15百万円の赤字)だった。

サービス事業で、前年同期の電子決済ソリューション大型案件の追加納品が一巡したため大幅減収で営業赤字が拡大した。ただし概ね計画水準のようだ。14年11月連結化で新規のECソリューション事業は固定費が先行して発生した。

セグメント別(連結調整前)に見ると、C&S事業は売上高が同3.5%減の1億20百万円、営業利益が9百万円の赤字(同8百万円の赤字)だった。サービス事業は売上高が同73.5%減の62百万円、営業利益が46百万円の赤字(同52百万円の黒字)だった。新規のECソリューション事業は売上高が5百万円、営業利益が19百万円の赤字だった。

通期の連結業績予想は前回予想(5月19日公表)を据え置いて、売上高が前期比31.9%増の21億円で、営業利益が60百万円の黒字(前期は59百万円の赤字)、経常利益が30百万円の黒字(同62百万円の赤字)、純利益が25百万円の黒字(同84百万円の赤字)としている。配当は無配を継続する。

C&S事業はマイナンバー制度関連および物流関連でシステム開発の大型案件を見込んでいる。サービス事業はマルチ電子決済端末「インクレディスト」および決済専用アプリ「ペイメント・マスター」で、顧客側の都合で16年3月期にズレ込んだ新規大型案件が寄与する。

ECソリューション事業はB2B向けECサイト構築パッケージ「EC-Rider B2B」の寄与が期待される。今後3年間で100社への導入を目標としている。増収効果で研究開発費、マーケティング費、採用費の増加を吸収して営業黒字化見込みだ。収益は改善基調だろう。

■株価は調整の最終局面

株価の動き(15年8月1日付で東証2部へ市場変更)を見ると、500円台でのモミ合い展開から下放れの形となり、第1四半期の赤字拡大や地合い悪化も影響して8月25日の年初来安値270円まで急落する場面があった。ただし28日には381円まで戻している。売り一巡して調整の最終局面のようだ。

8月28日の終値374円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS2円64銭で算出)は142倍近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS50円12銭で算出)は7.5倍近辺である。

日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が依然として10%を超えて売られ過ぎ感の強い水準だ。16年3月期の営業黒字化予想を評価して反発展開だろう。マイナンバー制度関連も注目点だ。

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