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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】エイジアは下値切り上げ、中期成長力を評価して出直り
- 2014/12/15 07:11
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
メール配信ソフト大手のエイジア<2352>(東マ)の株価は、急伸した11月の戻り高値1360円から反落したが、8月と10月の安値圏まで下押す動きは見られず、概ね1000円~1100円近辺で推移している。下値を切り上げる動きであり、中期成長力を評価して出直り展開だろう。
自社開発CRMアプリケーションソフト「WEBCAS」シリーズなどのアプリケーション事業を主力として、システム受託開発やマーケティングコンサルティングなどのサービスソリューション事業も展開している。自社開発のメール配信ソフト「WEBCAS e-mail」の導入実績は総合通販大手など約1600社以上に達し、国内メール配信パッケージ市場でのシェアは1位である。
中期成長戦略として「メールアプリケーションソフトのエイジア」から、販売促進・マーケティング支援分野に事業領域を拡大して「eコマースの売上UPソリューションを世界に提供するエイジア」への発展を目指し、クラウドサービス(ASP、SaaS)の強化、新製品・サービス開発の推進、サービスソリューション事業の拡大に取り組んでいる。
M&A・アライアンス戦略では、12年4月ECサイト構築・運営事業拡大に向けてシステムインテグレータ<3826>と資本・業務提携、12年12月メールマーケティングコンサルティング事業拡大に向けてメールマガジン制作・運用支援のグリーゼと資本・業務提携、13年10月メールマガジン戦略立案・企画・制作・分析サービスのFUCAを連結子会社化、14年1月Webサイトソーシャル化支援サービスのフィードフォース社と業務提携した。
14年6月にはデータベース作成システム「WEBCAS DB creator」の提供を開始した。メール配信機能とアンケート機能も利用できるオールインワン型のCRMクラウドサービスとして提供する。さらにジェイモードエンタープライズと共同開発した電子レシートメール送信サービス「レシートメール」の提供も開始した。
なお11月12日に、自社開発メール配信システム「WEBCAS e-mail」が、ミック経済研究所の市場分析レポートで、メール配信市場において3年連続伸長率1位を達成したと発表している。
今期(15年3月期)の連結業績見通しは前回予想(5月14日公表)を据え置いて売上高が11億20百万円~11億80百万円(前期比11.2%増~17.2%増)、営業利益が2億45百万円~2億80百万円(同1.1%増~15.6%増)、経常利益が2億45百万円~2億80百万円(同2.5%増~17.2%増)、純利益が1億45百万円~1億65百万円(同11.0%増~26.3%増)、配当予想が同1円増配の年間15円(期末一括)としている。
第2四半期累計(4月~9月)は売上高が4億87百万円、営業利益が65百万円、経常利益が66百万円、純利益が41百万円だった。クラウドサービスの好調、開発部門の効率や生産性の向上、広告宣伝費の抑制などが寄与して経常利益、純利益はレンジ予想の上限値を上回った。
通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は低水準だが、アプリケーション事業では利益率の高いクラウドサービスの2桁増収を見込み、サービスソリューション事業ではFUCAの通期連結(前期は6ヶ月連結)や「WEBCAS+メルマガ企画・制作」の大型案件も寄与する。大型案件の引き合いは増加基調であり、人員増強などの先行投資負担を吸収して好業績が期待される。
株価の動きを見ると、11月12日のメール配信市場における3年連続伸長率1位達成というリリースも好感して、11月13日に1360円まで急伸する場面があった。その後は反落して1000円~1100円近辺で推移している。ただし8月と10月の安値圏900円近辺まで下押す動きは見られず、下値を切り上げる形だ。
12月12日の終値1030円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の上限値の連結EPS85円46銭で算出)は12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間15円で算出)は1.5%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS437円29銭で算出)は2.4倍近辺である。
週足チャートで見ると、11月の急伸で上ヒゲを付けて26週移動平均線が戻りを押さえる形になったが、13週移動平均線がサポートして下値を切り上げている。指標面に割高感はなく中期成長力を評価して出直り展開だろう。