神鋼商事は24年3月期1Q大幅減益、通期減益予想据え置き

(決算速報)
 神鋼商事<8075>(東証プライム)は8月3日の取引時間中に24年3月期第1四半期連結業績を発表した。鉄鋼セグメントの海外子会社における金融収支悪化、非鉄金属セグメントにおける取扱量減少などで大幅減益だった。そして通期予想を据え置いた。取扱量の減少や販管費の増加などで減益予想としている。第1四半期の経常利益の進捗率は21%にとどまったが、積極的な事業展開で第2四半期以降の挽回を期待したい。株価は第1四半期業績を嫌気する形で戻り高値圏から急反落の形となったが、指標面の割安感も評価材料であり、目先的な売りが一巡して出直りを期待したい。

■24年3月期1Q大幅減益、通期減益予想据え置き

 24年3月期第1四半期の連結業績は売上高が前年同期比3.1%減の1365億86百万円、営業利益が27.1%減の25億07百万円、経常利益が46.5%減の21億46百万円、親会社株主帰属四半期純利益が56.1%減の13億61百万円だった。

 鉄鋼セグメントにおける米国での金利上昇に伴う金融収支悪化や、非鉄金属セグメントにおける取扱量減少などで大幅減益だった。営業外収益では持分法投資利益が5億11百万円減少、営業外費用では支払利息が2億42百万円増加、デリバティブ評価損が3億22百万円増加した。特別利益では前期計上した固定資産売却益4億11百万円が剥落した。

 セグメント利益(経常利益)を見ると、鉄鋼は41.2%減の9億87百万円だった。鋼材価格上昇効果で増収だが、海外子会社における金融収支悪化などの影響で大幅減益だった。鉄鋼原料は7.3%増の3億51百万円だった。神戸製鋼所向けの主原料や冷鉄源の取扱量が増加し、原料価格も下落して減収だが、金融収支改善効果などで増益だった。非鉄金属は76.4%減の2億70百万円だった。自動車・液晶向けアルミ板、自動車端子向け銅板条、空調向け銅管の取扱量減少に加えて、中国子会社における現地自動車向けアルミ板の販売も減少して大幅減益だった。機械・情報は32.5%増の4億17百万円だった。売上高は横ばいだったが、海外子会社の好調が寄与した。溶材は13.7%減の1億18百万円だった。国内は堅調だが、海外子会社での取扱量が減少した。その他(不動産賃貸事業等)は0百万円(前年同期は4億02百万円)だった。

 通期連結業績予想は据え置いて売上高が23年3月期比11.5%増の6520億円、営業利益が19.8%減の108億円、経常利益が21.1%減の100億円、親会社株主帰属当期純利益が22.8%減の71億円としている。配当予想は23年3月期比70円減配の245円(第2四半期末120円、期末125円)としている。予想配当性向は30.4%となる。

 鋼材等の市況は23年3月期下期並みの水準が続くと想定するが、神戸製鋼所の厚板ミル改修に伴う鋼材取扱量減少や半導体市場の需要低迷を見込み、営業活動の活発化に伴う販管費増加などで減益・減配予想としている。

 セグメント別経常利益計画は、鉄鋼が厚板ミル改修による取扱量減少で14.4%減の44億円、鉄鋼原料が0.1%増の15億円、非鉄金属が国内子会社の減益などで17.8%減の22億円、機械・情報が国内子会社の取扱量減少で40.1%減の13億円、熔材が溶接材料の取扱量減少で25.4%減の6億円、その他が4億円減少の0億円としている。

 第1四半期の経常利益の進捗率は21%にとどまったが、積極的な事業展開で第2四半期以降の挽回を期待したい。

■株価は目先的な売り一巡

 株価は第1四半期業績を嫌気する形で戻り高値圏から急反落となったが、指標面の割安感も評価材料であり、目先的な売りが一巡して出直りを期待したい。8月3日の終値は5650円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS806円00銭で算出)は約7倍、今期予想配当利回り(会社予想の245円で算出)は約4.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS8235円14銭で算出)は約0.7倍、時価総額は約501億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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