テンポイノベーションは24年3月期1Q減益だが売上順調、通期増益予想据え置き

(決算速報)
 テンポイノベーション<3484>(東証プライム)は8月3日の取引時間終了後に24年3月期第1四半期連結業績を発表した。人件費、採用費、システム費の増加など先行投資の影響で減益だったが、売上面は転貸借物件数が増加して2桁増収と順調だった。そして通期の増収増益予想を据え置いた。第1四半期が減益となり、通期予想に対する進捗率も低水準の形だが、第2四半期以降もストック収益が順調に積み上がる見込みであり、積極的な事業展開で収益拡大基調に変化はないだろう。なお株主優待制度の変更も発表した。株価は戻り一服となって上値を切り下げる形だが調整一巡感を強めている。目先的には第1四半期減益を嫌気する可能性もあるが下値限定的だろう。

■24年3月期1Qは先行投資で減益だが、通期の増益予想を据え置き

 24年3月期第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比13.5%増の34億10百万円、営業利益が14.6%減の2億44百万円、経常利益が9.4%減の2億77百万円、親会社株主帰属四半期純利益が9.8%減の1億89百万円だった。

 店舗転貸借事業における積極的な転貸物件仕入に伴う空家賃の増加、不動産売買事業における利益率の低下に加えて、人件費、採用費、システム関連費の増加など先行投資の影響で減益だった。ただし売上面は転貸借物件数が増加して2桁増収と順調だった。セグメント別に見ると、店舗転貸借事業(店舗家賃保証事業を含む)は売上高が12.4%増の32億62百万円で営業利益が14.0%減の2億15百万円、不動産売買事業は売上高が44.3%増の1億48百万円で営業利益が18.4%減の29百万円だった。

 なお売上高のランニング・イニシャル別の内訳は、ランニング収入(店舗転貸借事業のランニング収入)が11.5%増の30億24百万円、イニシャル収入(店舗転貸借事業のイニシャル収入、店舗家賃保証事業、不動産売買事業)が33.1%増の3億86百万円だった。ストック収益となる店舗転貸借事業のランニング収入は順調に拡大している。

 店舗転貸借事業の第1四半期の成約件数は前年同期比11.2%増の119件(新規契約が63件、後継契約が56件)、解約は7件(前年同期は4件)で、第1四半期末の転貸借物件数は2272件(前年同期比257件増加、23年3月期末比56件増加)となった。解約は主に定借終了や再開発等の建物側事由によるものだった。不動産売買事業では2物件を売却、5物件を取得して第1四半期末時点の保有物件数は9件となった。

 通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が23年3月期比13.6%増の148億44百万円、営業利益が5.3%増の12億76百万円、経常利益が3.2%増の13億06百万円、親会社株主帰属当期純利益が0.7%増の8億91百万円としている。配当予想は23年3月期比4円増配の20円(期末一括)としている。連続増配で予想配当性向は38.2%となる。

 不透明感や人材投資などを考慮して各利益は小幅増益にとどまる見込みとしているが、転貸借物件数および契約件数が順調に増加して増収増益予想としている。成約数は23年3月期比88件増の570件、期末転貸借物件数は311件増加の2527件の計画としている。

 第1四半期が減益となり、通期予想に対する進捗率も低水準の形だが、第2四半期以降もストック収益が順調に積み上がる見込みであり、積極的な事業展開で収益拡大基調に変化はないだろう。

■株価は調整一巡

 株価は戻り一服となって上値を切り下げる形だが調整一巡感を強めている。目先的には第1四半期減益を嫌気する可能性もあるが下値限定的だろう。8月3日の終値は1110円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS52円37銭で算出)は約21倍、今期予想配当利回り(会社予想の20円で算出)は約1.8%、前期実績PBR(前期実績の連結BPS187円69銭で算出)は約5.9倍、そして時価総額は約196億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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