イトーキは23年12月期通期利益・配当予想を上方修正

(決算速報)
イトーキ<7972>(東証プライム)は8月7日の取引時間終了後に23年12月期第2四半期累計連結業績を発表した。オフィス移転やリニューアル案件を中心に需要が高水準に推移して増収、提供価値の向上による利益率改善も寄与して大幅増益だった。そして通期利益・配当予想を上方修正した。通常は第1四半期の構成比が高い季節特性だが、今期はワークプレイス事業のオフィス移転案件が期中に分散し、設備機器・パブリック事業では物流設備案件が下期に偏重するため、通常とやや異なる四半期構成になる見込みとしており、通期会社予想に再上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は年初来高値更新の展開だ。週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形となっている。好業績を評価して上値を試す展開を期待したい。

■23年12月期2Q累計大幅増益、通期利益・配当予想を上方修正

23年12月期第2四半期累計(1月~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比7.0%増の681億90百万円で、営業利益が60.2%増の70億02百万円、経常利益が60.7%増の70億95百万円、そして親会社株主帰属四半期純利益が28.1%増の47億07百万円だった。

オフィス移転やリニューアル案件を中心に需要が高水準に推移して増収、提供価値の向上による利益率改善も寄与して大幅増益だった。営業利益は第2四半期累計として16期ぶりに過去最高を更新した。営業利益+26億円の要因分析は、売上増加に伴う利益増加+16億円、売上総利益率改善(構造改革による粗利益改善、カタログ価格改定・販売価格適正化など)+11億円、販管費増加(DX推進のためのIT基盤強化など)▲4億円、物流費減少(構造改革プロジェクト推進による物流サービス収益力強化)+3億円としている。

ワークプレイス事業は、売上高が9.5%増の490億12百万円で、営業利益が95.3%増の52億17百万円だった。ハイブリッドな新しい働き方にあわせたオフィス移転・リニューアル案件を中心に需要が好調だった。増収効果や提供価値の向上による利益率改善などにより大幅増益だった。

設備機器・パブリック事業は、売上高が0.5%増の182億67百万円で、営業利益が3.3%増の15億15百万円だった。博物館・美術館の展示ケースやデジタルサイネージ等の公共施設向け設備の需要が好調に推移した。公共施設向けの増収効果や提供価値の向上による利益率改善などにより大幅増益だった。

IT・シェアリング事業は、売上高が9.8%増の8億40百万円で、営業利益が3.4%増の2億13百万円だった。システム開発・検証事業やオフィスシェア事業が堅調に推移した。

四半期別に見ると、第1四半期は売上高が369億65百万円で営業利益が47億77百万円、第2四半期は売上高が312億25百万円で営業利益が22億25百万円だった。

通期連結業績予想(8月7日付で売上高を据え置き、各利益を上方修正)は、売上高が22年12月期比5.4%増の1300億円、営業利益が63.7%増の75億円、経常利益が79.5%増の75億円、親会社株主帰属当期純利益が特別利益の一巡で9.3%減の48億円としている。配当予想(8月7日付で期末7円上方修正)については22年12月期比5円減配の32円(期末一括)としている。22年12月期の37円には特別配当20円が含まれているため、普通配当ベースでは15円増配との形となる。予想配当性向は30.2%となる。

前回予想に対して売上高を据え置いたが、営業利益を10億円、経常利益を10億円、親会社株主帰属当期純利益を11億円それぞれ上方修正した。構造改革プロジェクトによる体質改善効果で売上総利益率の向上が想定以上としている。通期の営業利益は33期ぶりに過去最高を更新する見込みだ。

修正後のセグメント別計画は、ワークプレイス事業の売上高が7.9%増の927億円で営業利益が106.7%増の53億円、設備機器・パブリック事業の売上高が0.5%減の355億円で営業利益が8.0%増の16億円としている。

なお通常は第1四半期の構成比が高い季節特性だが、今期はワークプレイス事業のオフィス移転案件が期中に分散し、設備機器・パブリック事業では物流設備案件が下期に偏重するため、通常とやや異なる四半期構成になる見込みとしており、通期会社予想に再上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

株価は水準を切り上げて年初来高値更新の展開だ。週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形となっている。好業績を評価して上値を試す展開を期待したい。8月7日の終値は1145円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS105円84銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の32円で算出)は約2.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1100円33銭で算出)は約1.0倍、そして時価総額は約523億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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