【株式市場特集】東証マザーズ・グロース市場銘柄で勝負するならこの株!低金利時代の投資セオリーを覆す
- 2023/8/28 08:23
- 特集
■業績上方修正で割安放置された銘柄を探せ
今週の当コラムは、主力ハイテク株と同様に金利が低下すれば相対的な割高感が薄れる投資セオリーで動く銘柄群に注目することにした。東証マザーズ・グロース市場銘柄である。実は、東証マザーズ指数と東証グロース市場指数は、前週末25日に、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)が急反落するなか逆行高していた。個人投資家が、エヌビディア関連株や生成AI(人工知能)関連株に逆張りしていた結果であり、大袈裟に形容すれば「個人投資家の反乱」であった。
週明けは、この反動と主力ハイテク株へのリターン・リバーサル期待で割りを食うこともないとはいえない。しかし個人投資家は「反乱」で自信を深め継続注力する可能性もある。投資セオリーとしても、時価総額の大きい指数寄与度の銘柄が優先されると想定される。ただ両市場の銘柄は、成長可能性が唯一のカタリスト(株価材料)で無配、赤字銘柄も少なくなく、市場平均のPERも、例えば東証グロース市場の全銘柄平均で58.2倍と東証プライム市場の全銘柄平均の15.2倍を上回っている。となれば一工夫である。
東証グロ-ス市場のバリュー株へのアプロ―チである。候補株は、今年7月中旬以降に業績の上方修正をした割安株、低PERランキングや高配当利回りランキングの上位銘柄で材料含みの銘柄など多士済々である。個人投資家限定で主力ハイテク株を上回るパフォーマンスを期待し、前週末と週明け以降で連戦連勝としたい。
■業績上方修正で割安放置が目立ち初配当・復配・増配銘柄も相次ぐ
今年7月中旬から8月中旬にかけ今期業績を上方修正して割安感が目立った銘柄は、手集計ではザーッと12銘柄を数える。時系列的にあげるとファインズ<5125>(東証グロース)、LeTech<3497>(東証グロース)、アンビション DX ホールディングス<3300>(東証グロース)、ブロードエンタープライズ<4415>(東証グロース)、GMO TECH<6026>(東証グロース)、プラッツ<7813>(東証グロース)、I-ne<4933>(東証グロ-ス)、ルーデン・ホールディングス<1400>(東証グロース)、コンフィデンス・インターワークス<7374>(東証グロース)、キャリア<6198>(東証グロース)、ドラフト<5070>(東証グロース)、ウォンテッドリー<3991>(東証グロース)と続く。このうちLeTechとGMO TECHが、黒字転換幅拡大の業績上方修正で、前期の赤字業績からの変化率が大きい。
PER評価が最も低いのが4倍台のLeTechで、このあとアンビション DXの5倍台、ファインズの6倍台、コンフィデンスの8倍台と続き、最も高いブロードエンターでも18倍台にとどまる。またLeTechは、年間32円の復配、ウォンテッドリーは同20円の初配当、GMO TECH、プラッツ、コンフィデンス、ドラフトは増配を予定し、このうちGMO TECHの配当利回りは4.19%に高まる。
■低PER株ではTOB関連株、高配当銘柄では「2024年問題」関連株も
低PER株では、PER2倍台でランキングトップのフリークアウト・ホールディングス<6094>(東証グロース)は、子会社株式売却益70億円計上で今9月期純利益が80億円(前期比5.8倍)と続伸して過去最高を大幅に更新し、ユーチューバーの制作サポート事業を展開するUUUM<3990>(東証グロース)を株式公開買い付け(TOB)により連結子会社化する側面支援材料もある。また4倍台のメルディアDC<1739>(東証グロース)は、親会社の三栄建築設計<3228>(東証プライム)が、オープンハウスグループ<3288>(東証プライム)によりTOB中だが、同社の上場は維持されオープンハウスGとの融合効果が期待されている。同じく4倍台のトラストホールディングス<3286>(東証グロース)は、リオープン(経済活動再開)関連の駐車場事業を展開しており、連続増配から年間配当利回りは4.15%と高水準である。
高配当利回り株では、配当利回り5.16%でランキングトップのユナイテッド<2497>(東証グロース)は、今年5月末割り当てで実施した株式分割(1株を2株に分割)後も今3月期年間配当を48円に増配予定である。配当利回り4.22%のLAホールディングス<2986>(東証グロース)は、配当性向30%以上とする配当政策の基づき今12月期配当を210円(前期実績200円)に連続増配し高水準をキープする。今年7月21日に新規株式公開(IPO)されたナレルグループ<9163>(東証グロース)は、資金吸収額が100億円超と大型案件となったことから、公開価格2690円を下回る2540円で初値をつけ、直後に公開価格にタッチしたものの、以来、公開価格を下回る株価推移が続いている。ただ予定している今10月期配当90円からは配当利回り3.64%となり、建設業界向けの技術者派遣事業を展開していることから、建設業界の「2024年問題」での活躍が期待される押し上げ材料も潜在している。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)