■「プラスチックが循環し続ける社会」の実現に貢献
キリンホールディングス<2503>(東証プライム)のパッケージイノベーション研究所は29日、ペットボトルに直接印刷できるリサイクル対応ペットボトル ダイレクト印刷技術(Recyclable Direct PET bottle Printing technology:RDP技術)を開発し、PETボトルリサイクル推進協議会(※)に申請したと発表。
※ 1993年(平成5年)にペットボトルを製造するメーカーなどからなるPETボトル協議会と、ペットボトルを利用する飲料メーカーなどからなる複数の業界団体が合同で設立した任意団体。日本のペットボトルリサイクル推進に取り組んでいる。
■技術開発の背景
ペットボトルのラベルは、ブランドを訴求するとともに、商品として販売する際の製造者情報や賞味期限、原材料など定められた表示のために必要なものである。使用済みペットボトルを回収してペットボトルに再生する「ボトルtoボトル」を推進するためには、ラベルを分別して回収をする必要があるが、特に駅や商業施設など家庭以外から回収されるペットボトルは、分別する手間や回収の負担からラベルが分別されない場合が多く、ペットボトルの資源循環の課題となっている。
同社は、「プラスチックが循環し続ける社会」の実現に向けて、必要な表示は残しながら、ラベルやシールに使うプラスチックを削減し、同時にお客様がラベルを分別する負担も軽減する技術として、日本ではまだ実用化されていないRDP技術を開発した。
■開発技術
●インク剥離技術
従来のインクでペットボトルに直接印刷した場合、リサイクル工程でインクが剥がれず、リサイクル後のPET樹脂へ着色が残ったり、透明性や品質が損なわれる恐れがあった。そのため、PETボトルリサイクル推進協議会の定めるガイドラインでは、直接印刷を禁止している。この技術課題に対して、当社パッケージイノベーション研究所は、富士フイルム株式会社が開発した剥離インク(樹脂との密着力を制御することで、リサイクル工程の洗浄液中で剥がれ、樹脂と分離できるインク)を使用し、そのインクをリサイクル工程で剥離できる技術を開発した。この技術により、RDP技術で印刷した表示やバーコードなどは、お客様の飲用時には剥がれず、リサイクル工程の洗浄時に剥がれ、分離させることに成功した。
●独自のデジタル印刷技術
同RDP技術では、同社独自の「デジタル印刷技術」を採用しており、従来のラベル印刷に必要な製版が不要である。これにより、ペットボトル一本ごとに個別のデザインの印刷も可能であり、多様なニーズに対応できる。またペットボトルに直接印刷できるため、これまでのラベルに比べて、基材となる樹脂フィルムが不要となり、ペットボトル一本当たりのプラスチック使用量は約8%、ラベルの使用によるGHG排出量のうち約84%(シュリンクラベルとの比較:同社比)の削減が可能である。高度なデジタル印刷技術により、原材料表記やバーコードじみた微細な印刷も可能で、ペットボトルの透明感も損なわれない。フルカラーで視認性やデザイン性に優れた表現も可能である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)