【銘柄紹介】第一実業の今期は2ケタ増益で最高益更新、増配、注目のバイナリー発電伸長

銘柄紹介

第一実業<8059>(東1・売買単位1000株)はプラント・機械器具を得意とする商社。リーマンショック時にも黒字堅持、今期2ケタ増益で増配、利回り魅力にバイナリー発電の好材料も加わる。07年高値更新後の調整は好仕込み場だろう。

<歩み・規模・銘柄特性>

1948年(昭和23年)8月の設立で今年67年の社歴。1962年に東証2部上場、1974年に1部上場。東京品川で創業、現在は千代田区神田駿河台が本社。年商約1500億円、従業員数約1100名。

発行済株式数は約5550万株と1部銘柄では小型で株価の月間変動率は比較的大きい。コード番号の前後には三菱商事<8058>、キャノンマーケティング<8060>、西華産業<8061>、東京産業<8070>などがあり、これらの銘柄と連動して動くケースもみられる。海外比率約55%で輸出関連としても注目される。ROE8.7%。自己資本比率38.3%と優秀で資産株としての雰囲気を持っている銘柄といえる。

<事業内容&特徴・強さ>

プラント及び機械器具の国内販売ならびに輸出入を手掛ける商社。航空機地上及び空港施設関連機器にも強い。子会社で画像応用装置、錠剤外観検査装置などのメーカーを持つ。海外は米国、欧州、アセアン、中国に強いのが特徴。

「プラント・エネルギー事業」、「エレクトロニク事業」、「産業機械事業」、「海外法人」というのが決算資料での売上の区分で各事業の構成比率が25~30%とバランスの取れていることが特徴といえる。

「プラント・エネルギー事業」ではガス・石油精製プラント、エンジニアリング、工場インフラ、メンテナンスを手掛ける。近年、小型バイナリー発電システム、太陽光発電システムなど再生可能エネルギー分野に積極的に取り組んでいる。「エレクトロニクス事業」では、電子部品実装、半導体・液晶モジュール組み立て分野において回路形成技術を核としてものづくりのプロセス改革に貢献する。

「産業機械事業」では、自動車関連業界や食品関連業界をはじめとする基幹産業向け中心にプラスチック・ゴム成形機、金型加工機、セラミック加工機などを手掛ける。

<業績推移>

リーマンショックでは多くの企業が赤字転落となる中、黒字をキープし業績の安定度は抜群である。2015年3月期は売上17.4%増の1433億6100万円、営業利益6.6%増の43億4100万円、純益17.8%増の28億9700万円、1株利益54.4円、配当年16円という成績。
直近10年における営業利益最高は2008年3月期の52億7300万円。

2016年3月期・第1四半期は営業利益が5億1600万円(前年同期4400万円)と大幅増益を達成した。通期では売上8.1%増の1550億円、営業利益26.7%増の55億円、純益27.7%増の37億円、1株利益69.0円の見通し。配当は1円増配の年17円(中間8円、期末9円)を予定している。ROEは10.4%と10%台に乗せる見通しで、営業利益は最高益を更新する。

<株価推移と展望>

長期の推移では2007年に685円の高値があり、リーマンショックで2008年に201円まで下げた。当時、年11円配当だったから利回りは5.4%と高く、この利回りに注目して投資した向きは大きい成果を得ることができた。

今年7月には697円と2007年高値を更新、足元ではチャイナショックで8月25日に560円まで下げ624円と戻している。年17円配当に対する利回りは2.7%と高く、今回もリーマンショックのときと同様に好買い場となるだろう。

PERでも9.0倍と割安。とくに、注目を集めている、「小型バイナリー発電装置」において、全世界で400機以上の納入実績を持ち、この実績を背景に今年秋には国内製造初号機が市場に登場することが注目の材料といえる。

一気に上場来高値1350円(1990年)に挑戦というわけにはいかないだろうが、PER12倍の800円台には評価されてよいだろう。高値更新後の調整は仕込み場とみられる。

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