- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- 【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ヨコレイは地合い悪化の影響限定的で年初来高値圏、9月末の権利取りも注目
【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ヨコレイは地合い悪化の影響限定的で年初来高値圏、9月末の権利取りも注目
- 2015/9/3 07:05
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ヨコレイ(横浜冷凍)<2874>(東1)は冷蔵倉庫の大手で食品販売事業も展開している。株価は高値圏で堅調に推移している。地合い悪化の影響は限定的のようだ。15年9月期増収増益予想で増額の可能性があり、指標面では1倍割れ水準の低PBRも評価材料だ。9月期末の配当および株主優待の権利取りも注目される。8月20日の年初来高値1042円を試す展開だろう。
■冷蔵倉庫事業と食品販売事業を展開、17年9月期純利益32億円目標
冷蔵倉庫事業、および水産品・畜産品・農産品などの食品販売事業を展開している。
14年10月スタートの第5次中期経営計画「Flap The Wings 2017」に基づいて、冷蔵倉庫事業では「COOLネットワークのリーディングカンパニー」を目指し、食品販売事業では「安定的な利益追求を基本としながらも、強みのある商材を全社的に展開する」ことを命題としている。
目標数値としては17年9月期の売上高1500億円(冷蔵倉庫事業258億円、食品販売事業1242億円)、営業利益57億円、経常利益57億円、純利益32億円、ROE5.1%、配当性向40%以上、EBITDA100億円、自己資本比率52.0%を掲げている。安定・着実な成長で持続的な企業価値向上を目指す方針だ。
■低温物流サービスの戦略的ネットワークを構築
冷蔵倉庫事業では物流アウトソーシングサービスを軸とした総合低温物流への取り組みを強化し、低温物流サービスの戦略的ネットワーク展開に向けて積極投資を進めている。
国内では14年4月北海道小樽市・石狩第2物流センター、14年6月大阪市・夢洲物流センター、14年10月宮崎県都城市・都城第2物流センターが竣工した。海外はASEAN地域への展開で14年2月にタイ・ワンノイ物流センター2号棟が竣工した。
また15年4月には、北海道・十勝物流センターおよび十勝第2物流センター隣接地に「十勝第3物流センター(仮称)」を新設(15年5月着工、16年8月竣工予定)すると発表した。隣接する2センターを含む3センター合計の収容能力は6万1千トンを超え、道内最大級の低温物流基地となる。
さらに8月11日には、タイ・バンパコン物流センター敷地内に、バンパコン第2物流センターが竣工したと発表した。同センターの稼働により、タイヨコレイ全体の保管収容能力は約9万6000トンとなり、タイ国内トップシェアがさらに拡大した。
■15年9月期は増収増益予想、食品販売事業の営業損益改善で増額の可能性
今期(15年9月期)の連結業績予想(11月14日公表)は売上高が前期比1.4%増の1436億30百万円、営業利益が同7.2%増の44億円、経常利益が同3.8%増の42億60百万円、純利益が同36.2%増の25億円としている。配当予想は前期と同額の年間20円(第2四半期末10円、期末10円)で予想配当性向は41.4%となる。
セグメント別計画は、冷蔵倉庫事業の売上高が同5.9%増の236億円、営業利益(全社費用等調整前)が同0.2%増の48億円、食品販売事業の売上高が同0.6%増の1200億円、営業利益が同24.5%増の16億円としている。
冷蔵倉庫事業では、前期稼働で費用が先行していた北海道小樽市・石狩第2物流センター、大阪市・夢洲物流センター、宮崎県都城市・都城第2物流センター、タイ・ワンノイ物流センター2号棟の収益寄与が期後半に向けて本格化する。食品販売事業は水産品の市況が軟化傾向だが、販路拡充や回転率重視の販売などで収益確保に取り組む方針だ。
8月12日に発表した第3四半期累計(10月~6月)連結業績は、売上高が前年同期比10.2%増の1145億52百万円、営業利益が同9.0%減の30億51百万円、経常利益が同5.0%減の32億07百万円、純利益が同0.8%増の20億48百万円だった。
セグメント別動向を見ると、冷蔵倉庫事業は売上高が同8.5%増の179億74百万円、営業利益(全社費用等調整前)が同4.5%減の37億43百万円だった。前期新設のワンノイ物流センター2号棟がフル稼働状態に達したことも寄与して、入庫取扱量が同3.3%増、出庫取扱量が同1.5%増、平均保管在庫量が同7.3%増と好調に推移した。ただし減価償却費の増加などで営業減益だった。
食品販売事業は売上高が同10.5%増の965億53百万円、営業利益が同17.8%減の7億85百万円だった。食品相場の軟化や円安の影響で営業減益だった。ただし不採算在庫圧縮徹底や戦略的商材拡販などの効果で、四半期別にみると第2四半期累計(10月~3月)までの減益基調から、第3四半期(4月~6月)は増益(前年同期比2.6倍の5億22百万円)に転じた。
なお15年9月期の四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(10月~12月)399億38百万円、第2四半期(1月~3月)350億45百万円、第3四半期(4月~6月)395億69百万円で、営業利益は第1四半期12億95百万円、第2四半期5億28百万円、第3四半期12億28百万円だった。そして食品販売事業の営業利益は第1四半期3億30百万円の黒字、第2四半期67百万円の赤字、第3四半期5億22百万円の黒字だった。
通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が79.8%、営業利益が69.3%、経常利益が75.3%、純利益が81.9%である。食品販売事業の営業損益が改善基調であることを考慮すれば、通期会社予想に増額の可能性もありそうだ。
■株価は高値圏で堅調、地合い悪化の影響限定的で9月末の権利取り注目
株主優待については毎年9月30日現在の1000株以上保有株主に対して実施している。優待内容は1000株以上~3000株未満保有株主に対して鮭切身詰め合わせ、3000株以上保有株主に対して北海道産ホタテ・いくらセットを贈呈する。
株価の動きを見ると高値圏で堅調に推移している。8月20日の年初来高値1042円から、地合い悪化の影響で25日に918円まで調整する場面があったが、素早く1000円近辺に戻している。地合い悪化の影響は限定的のようだ。
9月2日の終値983円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS48円31銭で算出)は20~21倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は2.0%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1135円88銭で算出)は0.9倍近辺である。
週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって上昇トレンドだ。15年9月期増収増益予想で増額の可能性があり、指標面では1倍割れ水準の低PBRも評価材料だ。9月期末の配当および株主優待の権利取りも注目される。年初来高値1042円を試す展開だろう。