アスカネットは24年4月期1Q減益だが計画を上回る水準で着地

(決算速報)
 アスカネット<2438>(東証グロース)は9月6日の取引時間終了後に24年4月第1四半期業績(非連結)を発表した。コスト増加の影響で減益だが、葬儀関連のフューネラル事業の売上が想定を上回ったことなども寄与して、社内計画を上回る水準で着地した。そして通期予想を据え置いた。フューネラル事業では2年続いた葬儀件数の増加が落ち着き、フォトブック事業ではBtoC市場の回復を保守的に想定し、さらにベースアップや人員増強に伴う人件費増加などを考慮して減益予想としている。第1四半期の進捗率は低水準の形だが、第1四半期が社内計画を上回る水準だったことに加えて、下期偏重の季節要因があることなどを勘案すれば通期会社予想の達成は可能だろうと考えられる。株価は第1四半期業績を嫌気する形で年初来安値を更新したが、目先的な売りが一巡して出直りを期待したい。

■24年4月期1Q減益だが計画を上回る水準、通期予想据え置き

 24年4月期第1四半期業績(非連結)は売上高が前年同期比4.3%増の16億09百万円、営業利益が45.1%減の28百万円、経常利益が38.6%減の34百万円、四半期純利益が40.5%減の22百万円だった。コスト増加の影響で減益だが、葬儀関連のフューネラル事業の売上が想定を上回ったことなども寄与して、社内計画を上回る水準で着地した。

 セグメント別(内部売上・全社費用等調整前)に見ると、葬儀関連のフューネラル事業は売上高が6.6%増の7億18百万円で営業利益が10.0%減の1億19百万円だった。全国的な葬儀件数は高水準だった前期の反動で減少したが、自社営業強化による新たな葬儀社との契約が順調に進展し、主力の遺影写真加工サービスやサプライ品の売上高が想定を上回った。利益面は、人員不足となっていた画像加工部門のオペレーターを積極的に採用(新卒)したことに加えて、前期末にベースアップを実施したため人件費が増加し、営業減益だった。

 写真集関連のフォトブック事業は売上高が1.3%増の8億58百万円で営業利益が6.7%増の1億59百万円だった。売上面は、一般消費者向け「マイブック」とOEMが海外旅行需要の回復遅れやマスク着用の常態化に伴う撮影機会の減少で厳しい状況が続いたが、プロフェッショナル写真家向け「アスカブック」がウェディング関連のコロナ禍影響からの脱却などで堅調に推移した。利益面は、原材料価格上昇や人件費増加の影響があったが、各種コストダウン施策の効果や減価償却費の減少などで営業増益だった。

 空中結像プレートASKA3D関連の空中ディスプレイ事業は売上高が48.0%増の34百万円、営業利益が86百万円の損失(前年同期は76百万円の損失)だった。国内では広島で開催されたG7サミットメディアセンターでのデモ設置や企業受付など、海外では中東代理店経由でのクウェートの銀行などに導入されて増収だが、国内外展示会への出展による広告宣伝費の増加、品質管理体制強化のための人件費の増加などで営業損失が拡大した。

 通期予想は据え置いて、売上高が23年4月期比5.1%増の73億30百万円、営業利益が15.4%減の4億95百万円、経常利益が18.3%減の5億05百万円、当期純利益が26.7%減の3億53百万円としている。配当予想は23年4月期比2円減配の7円(期末一括)としている。予想配当性向は32.9%となる。

 売上面は、フューネラル事業では2年続いた葬儀件数の増加が落ち着き、フォトブック事業では海外旅行などBtoC事業の回復を保守的に計画している。空中ディスプレイ事業は拡販により売上拡大を推進する。セグメント別売上高の計画は、フューネラル事業が2.8%増の32億40百万円、フォトブック事業が2.9%増の37億40百万円、空中ディスプレイ事業が84.9%増の3億50百万円としている。コスト面では、ベースアップや人員増強による人件費の増加、額や紙・インキなどの値上がりを想定して、各利益は減益予想としている。

 第1四半期の進捗率は低水準の形だが、第1四半期が社内計画を上回る水準だったことに加えて、下期偏重の季節要因があること、フューネラル事業において新卒オペレーターが第2四半期以降に徐々に戦力化することなどを勘案すれば、通期会社予想の達成は可能だろうと考えられる。

■株価は目先的な売り一巡

 株価は第1四半期業績を嫌気する形で年初来安値を更新したが、目先的な売りが一巡して出直りを期待したい。9月7日の終値は714円、今期予想PER(会社予想のEPS21円28銭で算出)は約34倍、今期予想配当利回り(会社予想の7円で算出)は約1.0%、前期実績PBR(前期実績のBPS373円19銭で算出)は約1.9倍、そして時価総額は約125億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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