ソフトクリエイトホールディングスは調整一巡、24年3月期2桁営業・経常増益予想、さらに上振れの可能性

ソフトクリエイトホールディングス<3371>(東証プライム)はECソリューション事業とITソリューション事業を展開し、成長戦略としてクラウドサービス拡大などを推進している。24年3月期は2桁営業・経常増益予想としている。ECソリューション事業、ITソリューション事業とも伸長し、人件費の増加などを吸収する見込みだ。第1四半期が大幅増収増益であり、さらに下期に向けてクラウドサービスの収益が積み上がる構造も勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は8月の年初来高値圏から反落して上値を切り下げる形となったが、調整一巡して出直りを期待したい。

■ECソリューション事業とITソリューション事業を展開

ITソリューションサービスを展開する持株会社である。セグメント区分はECソリューション事業およびITソリューション事業としている。

23年3月期のセグメント別業績は、ECソリューション事業の売上高(外部顧客への売上高)が22年3月期比14.9%増の133億18百万円で経常利益(全社費用等調整前)が7.8%増の33億65百万円、ITソリューション事業の売上高が13.4%増の109億34百万円で経常利益が9.1%増の26億19百万円だった。売上高の内訳は、ECソリューション事業のECサイト構築ecbeingが16.8%増の93億円、デジタルマーケティングが2.4%増の28億円、クラウドサービスが36.2%増の12億円、ITソリューション事業のセキュリティ・インフラ構築が19.1%増の55億円、パッケージが0.6%減の17億円、ITクラウドが16.3%増の19億円、IT機器販売が9.8%増の18億円だった。

ECソリューション事業は、連結子会社ecbeingのECサイト構築パッケージ「ecbeing」の販売・保守・ホスティングサービスが主力である。ECサイト構築からマーケティング支援やデータ分析までワンストップで対応していることを強みとして、中~大規模顧客向けを中心に国内ECサイト累計構築実績は22年度末時点において1600サイトを突破した。市場シェアは15年連続1位(出典:富士キメラ総研のソフトウェアビジネス新市場2023年版による「ECサイト構築パッケージソリューション市場占有率調査」で市場シェア57.1%)である。

22年2月にはecbeingが、海外市場向けマーケティング事業・越境EC支援事業を展開するクロスシーの第三者割当増資を引き受けて資本業務提携した。22年11月にはecbeingが、レビューマーケティングプラットフォーム「ReviCo」を展開する新会社ReviCoを設立した。23年7月にはecbeingが、MicrosoftのAzure OpenAI Serviceを活用し、強力な自然言語処理モデル「ChatGPT」を組み込んだAIチャットボットシステム「AIデジタルスタッフ」をリリースした。

ITソリューション事業は、連結子会社ソフトクリエイトの自社開発「SCクラウド」、不正アクセス端末検知・遮断システム「L2Blocker」、システムインテグレーション・IT機器販売、連結子会社エイトレッド<3969>が展開するワークフローシステム(パッケージ型「AgileWorks」、クラウド型「X-point Cloud」)を主力としている。

23年7月にはソフトクリエイトが、日本マイクロソフトの「マイクロソフトジャパンパートナーオブザイヤー2023」において、「Secure identities and access アワード」および「Community Response アワード」の2部門でダブル受賞した。

エイトレッドのワークフローシステムのシリーズ累計導入社数は4000社を突破している。そしてクラウド型「X-point Cloud」は、複数の市場調査レポートでワークフロー市場における出荷金額・売上金額実績シェア1位を獲得している。23年3月にはテクノ・システム・リサーチの2022年SaaSワークフロー市場データにおいて、従業員数別メーカーシェア100人未満カテゴリーおよび100人以上1000人未満カテゴリー、売上高別メーカーシェア100億円未満カテゴリーおよび100億円以上1000億円未満カテゴリーでシェアNO.1を獲得した。

成長戦略として、クラウドサービス(ECクラウドサービス「メルカート」、ビジュアルマーケティング「visumo」、レビュー最適化ツール「Revico」、「サイトミライズ」、オムニチャネル分析ツール「Sechstant」など)の拡販にも注力している。22年11月には新製品としてPC情報管理クラウドサービス「Survey Eyes」を開発・発売開始した。

■24年3月期2桁営業・経常増益予想、さらに上振れの可能性

24年3月期の連結業績予想は、売上高が23年3月期比11.3%増の270億円、営業利益が12.2%増の48億50百万円、経常利益が11.4%増の50億円、親会社株主帰属当期純利益が7.7%増の29億50百万円としている。配当予想は30円(第2四半期末15円、期末15円)としている。23年4月1日付株式2分割を遡及修正後で比較すると、23年3月期の25円に対して5円増配(4期連続増配)となる。予想配当性向は25.5%である。

第1四半期は、売上高が前年同期比21.1%増の66億54百万円、営業利益が58.9%増の12億57百万円、経常利益が53.4%増の13億55百万円、親会社株主帰属四半期純利益が51.0%増の8億09百万円だった。

大幅増収増益で第1四半期として過去最高だった。ECソリューション事業、ITソリューション事業とも順調に拡大し、コスト増加を吸収した。経常利益(前年同期比+4.7億円)の増減要因分析は、売上総利益増加で+6.2億円、人件費増加で▲0.6億円、広告費増加で▲0.3億円、研究開発費増加で▲0.1億円、その他経費増加で▲0.5億円としている。

なおセグメント別売上高の内訳は、ECソリューション事業のECサイト構築ecbeingが17.0%増の25.5億円、デジタルマーケティングが25.1%増の7.9億円、クラウドサービスが48.1%増の3.8億円、ITソリューション事業のセキュリティ・インフラ構築が19.5%増の14.5億円、ITパッケージが7.3%減の3.7億円、ITクラウドサービスが19.3%増の5.4億円、IT機器が58.1%増の5.7億円だった。なお一時的なサイト運用収益1.6億円を計上した。またIT機器はPC買替需要が増加した。

通期の連結業績予想は据え置いている。ECソリューション事業、ITソリューション事業とも伸長し、人件費の増加などを吸収する見込みだ。売上高計画はECソリューション事業が11.9%増の149億円、ITソリューション事業が10.7%増の121億円としている。経常利益+5.2億円の要因分析は売上総利益増加で+11.0億円、人件費増加で▲5.0億円、採用費増加で▲0.3億円、広告費増加で▲0.4億円、その他経費増加で▲0.1億円だった。

第1四半期の進捗率は売上高が25%、営業利益が26%、経常利益が27%、親会社株主帰属当期純利益が27%と順調である。クラウドサービスの収益が積み上がる構造を勘案すれば、通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待制度は3月末と9月末の年2回

株主優待制度は毎年3月31日および9月30日現在の1単元(100株)以上保有株主(長期保有優待の基準日は毎年3月末)に対して、保有株式数および保有期間に応じてQUOカードを贈呈している。なお株式2分割(基準日23年3月31日、効力発生日23年4月1日)に伴って、株主優待を23年9月末対象から増額(詳細は会社HP参照)した。

■株価は調整一巡

株価(23年4月1日付で株式2分割)は、8月の年初来高値圏から反落して上値を切り下げる形となったが、調整一巡して出直りを期待したい。9月19日の終値は1708円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS117円74銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の30円で算出)は約1.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS600円51銭で算出)は約2.8倍、そして時価総額は約471億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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