協立情報通信は調整一巡、24年3月期大幅増益予想

協立情報通信<3670>(東証スタンダード)は、中堅・中小企業のICT化を支援するソリューション事業、およびドコモショップ運営のモバイル事業を展開している。成長に向けた基本方針として事業ポートフォリオの再構築、継続収益の拡大、サステナブル経営を推進している。24年3月期は大幅増益予想としている。第1四半期の進捗率は低水準だったが、積極的な事業展開で第2四半期以降の挽回を期待したい。株価は動意づく場面があったが、買いが続かず反落した。ただし高配当利回りなど指標面の割安感も評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。

■ソリューション事業とモバイル事業を展開

中堅・中小企業のICT(情報通信技術)化を支援するソリューション事業、およびドコモショップ運営のモバイル事業を展開している。23年3月期のセグメント別業績は、ソリューション事業の売上高が16億26百万円で営業利益(全社費用等調整前)が3億87百万円、モバイル事業の売上高が33億56百万円で営業利益が2億17百万円だった。

ソリューション事業は、NEC<6701>、NTTドコモ<9437>、オービックビジネスコンサルタント<4733>、日本マイクロソフト、サイボウズ<4776>の主要パートナー企業5社の製品・サービスを融合し、会計情報ソリューションやマイクロソフト365サービスなど、情報インフラ、情報コンテンツ、情報活用の3分野を総合したワンストップソリューションの経営情報ソリューションサービスを提供している。

体感型フューチャーラボの「協立情報コミュニティー」において、製品活用体験セミナー、フェア、イベント、システム導入相談会、教育サービスなどを提供していることも特徴だ。23年6月にはオービックビジネスコンサルタントより「OBCパートナーアワード 2022-2023 地域優秀賞」を受賞した。23年9月にはMicrosoft365セミナー(クラウド体験・聴講セミナー)を全面リニューアルした。

モバイル事業はNTTドコモの一次代理店であるティーガイア<3738>の代理店として、ドコモショップ6店舗(東京都内2店舗、埼玉県内4店舗)を運営し、個人向けモバイル端末などの店頭販売、および法人向けモバイルソリューション(ドコモ法人・モバイルサービス)を展開している。

■中期経営計画

スマホ市場の成長鈍化やクラウドSaaSの急速な普及など、事業環境の変化に対応して、23年6月に中期経営計画を見直した。新たな中期経営計画(24年3月期~26年3月期、ローリング方式)では、最終年度26年3月期の目標値には売上高60億円、営業利益4億円、当期純利益2.6億円、純資産23億円、EPS222円、BPS1960円を掲げている。株主還元については配当性向30%~40%程度を目途に、業績連動による適正な配当を実施するとともに、業績悪化時も一定水準を維持する方針としている。

成長に向けた基本方針としては、事業ポートフォリオの再構築、継続収益の拡大、サステナブル経営を推進するとしている。

事業ポートフォリオの再構築では、収益構造(売上高)の目標として、23年3月期実績49.8億円(法人系25.5億円、店舗系24.3億円)から、26年3月期に60億円(法人系40億円、店舗系20億円)へ、さらに長期目標の100億円(法人系80億円、店舗系20億円)を目指すとしている。24年3月期~25年3月期はパートナー共創の強化、融合事業サービスの強化、継続収益サービスの進化、26年3月期以降は事業拡張の強化、営業エリアの拡大、サービス領域の拡大を推進する。

継続収益の拡大では、売上規模の拡大を図りつつ、継続収入金額・比率の目標として、23年3月期実績9億67百万円・19%から、26年3月期に13億80百万円・23%を目指すとしている。クラウドサービスの深化、サブスク型サービスの拡大、サポートサービスの強化などを推進する。

サステナブル経営の推進については、経営理念のもと、すべてのステークホルダーに配慮し、環境負荷低減への貢献、ダイバーシティ推進と人財育成、顧客・パートナーとの共創、コーポレートガバナンスの充実などサステナブル(ESG、DSGs)経営を推進する。

■スタンダード市場上場維持基準適合に向けた計画書

22年4月に実施された東京証券取引所の市場再編に関してはスタンダード市場を選択し、21年12月15日付でスタンダード市場上場維持基準適合に向けた計画書を開示している。中期経営計画2024で打ち出した基本戦略を着実に遂行し、定量目標の達成による収益力の強化・利益の拡大、株主還元の充実、コーポレートガバナンスの充実、資本政策の検討・実施、IR活動の充実と情報発信の強化などによって企業価値の向上(時価総額の上昇)を図り、26年3月期にスタンダード市場上場維持基準の充足を目指すとしている。

なお資本政策の検討・実施については、流通株式比率37%以上の維持と株主利益に配慮しつつ、流通株式時価総額の適合に資する各施策(自己株式の処分、非流通株式の縮減、ストック・オプションの従業員行使など)について是非を検討する。

そして23年6月には、計画に基づく進捗状況をリリースした。23年3月末時点で、流通株式時価総額がスタンダード市場の上場維持基準を充たしていないが、当初計画通り26年3月期までに、上場維持基準を充たすために各種取組を推進するとしている。

■24年3月期大幅増益予想

24年3月期の連結業績予想は、売上高が23年3月期比4.3%増の52億円、営業利益が35.6%増の2億50百万円、経常利益が32.8%増の2億56百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が34.8%増の1億66百万円としている。配当予想は23年3月期と同額の55円(期末一括)で、予想配当性向は39.7%となる。

第1四半期は、売上高が前年同期比10.5%減の10億34百万円、営業利益が57.9%減の14百万円、経常利益が55.4%減の16百万円、親会社株主帰属四半期純利益が69.0%減の8百万円だった。ソリューション事業は順調だが、モバイル事業における店舗来店客数の減少や法人ユーザーのリプレース一巡などで減収減益だった。

ソリューション事業は売上高が10.0%増の3億91百万円、営業利益(全社費用等調整前)が39.4%増の1億09百万円だった。基幹業務システムの標準化やクラウドサービスへの移行、DX化を推進するための各種ソリューション・機器の提案・導入支援が順調だった。

モバイル事業は売上高が19.6%減の6億43百万円、営業利益が75.6%減の16百万円だった。オンライン手続きの増加に伴う店舗来店客数の減少や法人ユーザーのリプレース一巡などが影響した。

通期予想は据え置いている。ソリューション事業とモバイル事業の融合による法人向けサービス強化などを推進する方針だ。第1四半期の進捗率は低水準だったが、積極的な事業展開で第2四半期以降の挽回を期待したい。

■株主優待制度は毎年3月末の株主対象

株主優待制度は毎年3月末時点で5単元(500株)以上保有株主を対象として、保有株式数に応じて島根県の特産品を贈呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は調整一巡

株価は動意づく場面があったが、買いが続かず反落した。ただし高配当利回りなど指標面の割安感も評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。9月27日の終値は1542円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS138円58銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の55円で算出)は約3.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1578円86銭で算出)は約1.0倍、そして時価総額は約19億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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